全部わかった(たぶん)
考え続けた先に、
整理されることもあれば、
一気に崩れることもあります。
どちらが正しいのかは分かりません。
ただ、その瞬間には、
妙な納得だけが残ることがあります。
【スクリプト最終節】
(「私」、震える手でペンを握り直し、白紙の原稿に向かって狂ったように書き殴り始める。その顔には、困惑と解放感が混ざり合った、歪な笑みが浮かんでいる)
私:
「ハハッ……ハハハハハ! 分かったよ、全部わかった!」
⸻
「マルクス! 君の言う通りだ!
私は搾取されてる——この店員の『愛想笑い』という、偽物の商品にな!」
⸻
「アダム・スミス! 見えざる手は今、私の後頭部を全力でどついてるぞ!」
⸻
「カント! 普遍的法則? 知るか!
全人類がこの瞬間に発狂したら——それが新しい法則だろ!!」
⸻
(隣の席の客が怯えた目でこちらを見るが、お構いなしだ)
私:
(書きながら叫ぶ)
「ニーチェ! 深淵を覗いたら、深淵がこう言ったぞ——」
⸻
『ご注文は以上でよろしいでしょうか?』
⸻
「サルトル! 私は今、自由だ!」
⸻
「この“意味不明な混乱”を、そのまま私の本質として叩きつけてやる!!」
⸻
「タイトルはこうだ!」
⸻
『全人類が哲学者になった日の、最悪なカフェの接客について』!!
⸻
(ペン先が紙を突き破らんばかりの勢いで動き、文字が踊る。もはやそれはスクリプトではなく、純粋なエネルギーの奔流だ)
私:
(爆笑しながら、最後の一行を叩きつける)
⸻
「……店員さん!」
⸻
「お会計は『歴史の必然』で払っておいてくれ!」
⸻
「私は今から——」
⸻
「自分の『実存』を証明するために、
この店をスキップで出ていくからな!!」
⸻
(「私」は、書き上げた原稿を高く掲げ、椅子を蹴り飛ばして立ち上がる)
唖然とする店員と客たちを背に、
⸻
高笑いを響かせながら、
カフェの自動ドアを突き破るように飛び出していく。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
考えすぎた結果、
何かを理解したような気になることがあります。
それが本当に理解なのか、
ただの混乱なのかは、後にならないと分かりません。
ただ、その瞬間に感じたものは、
確かに自分の中に残ります。
それをどう扱うかは、
また別の話になりそうです。




