つばさくん再び
私の部屋に中学生三年生になったつばさくんが訪ねてきた。
呼び方が花梨先生からママに、そして花梨ちゃんになった今も、こうして半年に一回くらい私の部屋を訪れ、私の作ったご飯を食べ、泊まっていくのを、悟さんも黙認してくれていた。
つばさくんの身長はとっくに私を追い越し、声も低く変わっていた。
「おー、またおっきくなったねー、どう、もうあそこに毛は生えた?」
「とっくだよ、もうマスだってかいてるぜ」
「ほんとー、見てみたーい」
「ねえ、花梨ちゃん、エッチさせてよ。クラスの男子で、誰が一番早く経験するか競争してんだよ」
冗談っぽく語る彼のことばの中に、本気が滲んでいるのを感じた。そうか、彼もそういうことを考える歳になったんだ、いや、私が気づかなかっただけで、もう前から私のことをそういう目で見て、言い出すタイミングを計っていたのかもしれない。
「結婚を前提にお付き合いしてくれるならいいよ」と、ここは大人の余裕でかわしておく。
「えー、先生と僕じゃ全然年が違うじゃない」
「たった二十歳しか違わないよ」
まだ子供だと思っていたのに突然そんなことを言い出すから、私は、この愛しい元息子の、少年から大人になりかけの身体を思うさま観察し、この目に焼き付けておきたいという衝動を抑えられなくなった。
「それより、一緒にお風呂入ろうよ」
「え、いいけど」
思いがけない私の提案に、彼の返事の声が裏返った。
食事を終えると、私は彼を浴室に誘った。先に入って、リビングに向かって「早くおいでよ」と声をかけた。
「何隠しているのよ。ちゃんと見せてよ」
おずおずと姿を現した彼を私は存分に観察した。そして窮屈な洗い場でその身体を洗ってあげた。
最初は固くなった下半身を恥ずかしがっていた彼も、途中からはすっかり私に身を委ねた。大人になりかかった彼のものは、ボディソープで泡だった私の手の中で勢いよく精を放った。
風呂場での戯れで変わってしまった二人の関係性に危うさを感じながら、いつものように私のベッドの横に布団を敷いた。案の定、彼がそういう話題を振ってくる。
「僕が子供の頃、僕が寝ている隣で、先生とパ…親父、エッチしてたんだよね」
「そうだねー。つばさくんはいつもすやすや眠ってたよ」
「それって、なんか傷つくよなー」
やはり青い欲望は歯止めが利かない。私と悟さんが絡み合う姿を想像し、自分と重ね合わせてしまったのだろうか、パジャマの前をとんがらせた彼が、布団から抜け出てベッドに上がってきた。
「か、花梨ちゃん、おれ…花梨ちゃんと…」
そして私も、愛おしさと、彼のことをもっと知ってみたいという好奇心を押し留めることができなかった。
「いい、絶対に今夜だけだからね」
私はパジャマを脱ぐと、慌ててパジャマを脱ぎ捨てた彼の身体を抱きしめた。
狭いベッドの上で、私は彼の若い肢体を存分に慈しんだ。
彼がもうこれ以上は、というところで、私は、私の上に彼を誘い、身体をつなげた。
どうしていいかわからない彼が私に必死にしがみついてきた。私が動くと、やがて彼は私の中にたっぷりとその若い精を放った。
私の隣ですこやかな寝息を立てているつばさくんの寝顔を眺めていると、私の腹の中で不思議な感触があった。今、彼の精子が私の卵子をとらえた、そんな気がして私はお腹にそっと手を当てた。
もし、こどもができたらどうしよう。
「産みたい」と思った。
そしたら思い切って悟さんのところに帰ろうかな。正直に話せは、多分悟さんは受け入れてくれるだろう。
でも、そうすると、産まれてくる子は、本当はつばさくんの子どもで悟さんの孫なのに、悟さんのこどもでつばさくんの弟か妹ってことになるのか。
ややこしいな。
でも、まあ、いいか、どっちにしても私の子どもであることは変わりない。
これはさすがに紗理奈や美和にも呆れられるだろうなー。
いくつになっても、私の人生、波乱万丈だな。
(完)




