プロローグ&新領主?とパンはご飯派?
ナツメグ国ピーコロ村に訪れた驚異は去ったが一時的なものだ。
再び驚異が訪れるだろうと考えた領主は国に事態を説明し村を守る人員を要請した。
その人員にピーコロ村で商売をしたいと考える商人や村人が付いてきた。
全員がこの国の者で身元も調べられている。
クウガのいたクランの者も村に住む予定の者も数人早く住んでくれることになった。
そして王都からやって来た兵士達は”領主であるクウガ”の前に集められた。
* * *
クウガが領主になったのは領主に呼び出され襲いかかってきた者や能力の変化を直接聞くために呼びよせた時だった。
アルルとともに呼び出されお菓子を食べながらの談笑感覚で話していた時クウガは飲み物の入ったコップを倒し自分の服に溢してしまった。
「すまない領主、何か拭くものくれないか」
「使用人にやらせるから気にするな、ワトソン、彼にお風呂と着替えを用意してやれ」
「ワトソンじゃありません、分かりました」
クウガは風呂には入らず汚れた場所だけシャワーを浴びていた。
「これは洗いがいがありそうですね」
ラティの尻を揉み領主の熟女本をアルルに教えたメイドが中世風水着で引き締まった背筋と尻をじっくりと見ていた。
「な、なんでいる!?」
「お体を流そうかと思いまして、それにしても立派ですね」
クウガの身体をなめ回すように視姦しながらメイドは言った。
「汚れた場所だけ洗い流すから必要ない!」
「せっかく用意したのでちゃんと浴びてお風呂にも入ってください」
なんとか追い出して上がった後、用意された服を見たクウガは廊下でクウガの尻を手で他のメイドに表現していた視姦メイドにドアから顔だけだし声をかけた。
「用意する服間違ってないか?豪華すぎるんだが」
「間違っておりませんよ、それを来たら髪をセットしますのでそのあと領主様の所にお戻りください」
髪型がオールバックになったクウガが領主の所に戻ると領主が執事の服でアルルがメイドの服を着ていた。
「似合ってるよ兄さん」
「似合ってるな」
「どういうことなんだこれは?」
「そろそろだな、2人とも付いてきてくれ」
連れてかれた場所は何の変哲もない廊下だった。
「ここで暫く待っていてくれ」
待っていると2人の人物がこっちに走ってきた、グリーンとミドリである。
「やっと会えましたわ領主様、私の運命の人」
「違います、あなたの運命の真実の愛は私です」
2人が間違うのも仕方がない、見た目が高身長で鍛えた抜いたガタイのいい身体に修羅場を潜ってきた顔つきに高貴な服装と髪型が合わさったのだ。
そして2人はダンジョンや何度もラティに会いに来てるクウガを見てはいるのだがどうでもいいモブとして覚えてなんかいないのだ。
クウガはどういうことだと言う目で領主を見ると領主は2人の前に立ち塞がった。
「領主様に対して無礼だぞ!こいつらを牢に連れ戻せ!!」
執事のふりをした領主の言葉に2人は兵士達に連れていかれた。
「領主様~~私は信じて待ってます~~!!」
「あなたの真実は私です~~!私とあなたが出会うのは運命なの~~!!」
3人は再び元いた部屋に戻った。
「どういうことか説明してくれるか?」
「あの2人をわざと脱獄させる物を与えて牢の欠点や兵を引き締めるのに使っている、君がさっき遭遇したのは君を領主だと思わせるためだ。領主はそっちにいると誘導してね」
「俺はあの2人に対しての影武者というわけか?」
「君が身体を洗いに行ったとき思いついた。あの2人にだけでなく暫く続けてくれないか?もちろん報酬は出す」
「ラティが執務室に忍び込んだことやあの2人の襲撃があったから身を守った方がいいと考えたわけか」
「そんなところだ」
「兄さん、引き受けたら?身体がまだ本調子じゃないのに村の仕事手伝いすぎで身体の治りが遅くなってるんだし、それに私も護衛メイドとして側にいるからさ」
「それでメイドの格好をしていたのか、あんたに死なれたら村が困るからな、引き受けよう」
「あとお姉ちゃんも呼んでおこう、誰にも気づかれずに侵入できるくらいだし侵入された場合の対処や侵入経路とか分かって参考になると思うし」
そしてクウガは王都から来た城の兵士達の前で守るべき領主であると兵士長から紹介された。
領主が国王の三男で顔を知ってる兵士も中にはいたが影武者であることは察しがついたようだ。
知らない兵士はこの人が領主だと信じた。
王都から来たエルフの兵士のココイは怖そうな領主だなと思い信じた。
* * *
クウガのクランの仲間が村にやって来た。
2人のうち1人は家族でやって来て冒険者ギルドと言う名のハローワーク事務所を国から許可とってやるようだ。
もう1人は早速村で騒ぎを起こしてしまった。
正確には彼の方からではなく近所のパン屋の魔族娘アネットから出した店の内容で敵意を向けられてしまった。
定食屋、つまりご飯物を出す店であり根っからのパン食派パン屋のアネットにとっては近くにご飯者屋を出されたのは宣戦布告されたようなものである。
店ができたのは突然だ、男がカプセルを投げると店が一瞬で出現したのだ。
アネットは店の看板を開店中に変えに行くとちょうど定食屋も開店するようだ。
「あら、ご飯君、朝からご飯屋だなんてお腹に重くて人来ないんじゃないかしら?」
アネットの言うご飯君とは根っからのご飯好きのご飯屋の彼に対する蔑称であるが彼は気に入ってしまっている。
「でもご飯は健康にいいですよ、パンより脂質も少なく無添加でビタミンやミネラルが含まれていて腹持ちがいいので朝から身体を動かすのには最高の主食ですよ」
アネットは内心ぶちギレで抑えてるため眉間と血管にスジが出るだけですんでる。
「それってパンが腹持ちが悪くて不健康って喧嘩売ってんのかテメェ?」
怒りを抑えてるため物静かに落ち着いたドスを効かせた声ですんだ。
「そんなこと思ってないですよ、パンもご飯にはない栄養素がありますしご飯に足りないものを補ってくれるサポート的食べ物としてもオヤツとしても最適じゃないですか」
アネットは今の発言がパンはご飯の脇役で食事には不向きと言われたようでぶちギレる寸前までいって口から『ふー、ふー』と荒い息をたて冷静を装っている。
ご飯君に悪気は全くない、天然なだけである。
「それとご飯は健康にいい色んな食べ物と相性がいいのでお悩みの便秘の解決にも役にたてますよ」
アネットはキレた、怒りに恥ずかしさが加わり意味のわからない奇声を上げた。
「アネットさん、今日ピザ作ります?」
アルル達3兄妹が現れた。
「ねえ3人とも、あなた達はパンと粒の集合体のご飯どっち派?」
アネットはピザ好きのアルルならパンと答えると思っていて余裕の笑みを浮かべた。
「基本的に家ではご飯です」
「なんで!あんた!ピザ大好きでしょ!?」
「ピザとパンは別物でしょ、それにご飯の方が体にいいので植物の能力の回復させるのに効率がいいんですよ」
「俺もご飯だな、クランで健康のためにご飯が中心だったからな」
アネットは恐ろしいものを見る目でアルルとクウガを見た。
「私は美味しければどちらでも」
アネットはどちらつかずのラティに僅かに希望を見た。
「でもご飯が粒の集合体ならパンって粉の集合体ですよね」
ラティが何となく思ったことを返した言葉がアネットの心をぶん殴る。
「そういえば村の人達もご飯派の人が殆どですよ」
「アルル...何言ってるの?」
「私、一応村長やってるんで村の食料事情知ってるんですよ」
アネットは子供の頃から家で作られたパンを食べて育ってきてそれが当たり前の常識となっていた。村の皆も主食はパンを食べていると思っていた、彼女は今まで見えていた世界が恐ろしいものに見えた。
「店長さん、いつものお願い」
蘭花がご飯君に声をかけ店に入ろうとした。
「朝からご飯なんて体に重すぎるでしょ」
アネットは絞り出すような声で言った。
「うちの店、朝は軽めの定食もやってるんですよ」
「日本の定食と同じのが食べれるなんていいお店ができて良かったわ」
アネットは放心した。
「アネットさん朝ご飯食べた?一緒に食べよ」
放心したアネットは蘭花に手を引かれご飯君の店に連れていかれた。
ご飯を食べて馴れない味に何故こんなのがいいのかと敗北を認められないアネットはご飯に勝てるパンを研究することに決めた。
それが国で一番の人気店パン屋へとなる始まりだった。
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