領主の屋敷への侵入者
「村長就任おめでとうアルル」
「もう一度繰り返さなくていいです、どういうことですか?」
「村長が引退を決意したのだよ、それで君が村長をすることになった」
流石に老執事が間に入った。
「ちゃんと説明した方がいいですぞ、どうして村長に候補したのかを」
「候補って他に誰がいるんですか?」
「会議に呼ばれる人間からだ、村人の中で一番君が適任だと私は思った」
「雑貨屋や鍛冶屋とかの大人の人達の方がいいと思うんですが」
「彼らは自分の商売目線でしか物事を決断しないからダメだ。そして村長と同じぐらいの年の者はこれから変わる村に柔軟についていけない。」
「君の場合自警団として村の手伝い以上に能力で活躍して村での信頼もある。ダンジョンのことも詳しく知ってるし異世界人やその物についても君ほど詳しいのはいない。」
「それって私の兄も当てはまりますよね?クランでの活躍も新聞やラジオで知られてますし」
「君の兄は時々村には戻ってきたが10年近く村を離れている。村の根本的なことは君の方が詳しい。それにエルフの村での友好的な交流も行ってる」
「自警団の仕事も忙しいですし」
「君のやることは今までと根本的に変わらない、今までと同じく会議にでて発言するだけだ。決定権はどうせ私にあるんだからね」
アルルはなら村長そのものがいらないんじゃとは思わない、村人達の話を聞きまとめそれを伝える村人の代表は必要だと考えているからだ。
「君が村長になれば異世界の物や情報がいち早く届くしピザも増産させるように内政を」
「やります!!」
領主と老執事はやっぱり頭お花畑な所があるなと思った。
「だけど1つ条件が」
* * *
「というわけで兄さんも村長やることになったから」
「なんでそうなる!」
アルルは家に帰り2人で村長をやるのを言った。
「私の補佐でもいいからお願い、今は村の手伝いで忙しいけど兄さん村で何の仕事にもついてないでしょ。村長の肩書きがあればあまり働かなくてもすむよ」
「身体が良くなれば働くつもりだ、ニート暮らしをするつもりはない」
アルルが村長引き受けたのは村の飲食店を全てピザやにしたいからだけではない。兄が冒険者に戻らないようにするためだ。
強制的な回復で壊れた身体を元に戻しても1度壊した身体は壊れやすい。
そしてクウガはクランを引退していない、だから村長という役割を通して村で身体を傷つけず過ごして欲しいのだ。
「お前宛に届いたお土産部屋の前に置いておいたぞ」
アルルは部屋で中身を確認した。
その日の夜。
簀巻きから解放されたグリーンとミドリは幸せな夢を見ていた。
グリーンの見た夢は自分好みのイケメン領主がグリーンの美しさに惚れ、不相応な酷い境遇と扱いに邪悪なオーク神父に戦いを挑み華麗な剣捌きで首を切り落とす。
そして今までグリーンにとって虐げたと思っているもの達を領主の裁きにより磔にし火炙りにする。
火炙りにされたミドリが苦しむ前でイケメン領主とキスをしてハッピーエンドという内容だ。
ミドリの見た夢は自分好みのイケメン領主がミドリの美しさに真実の愛に目覚め、邪悪な正体を表したオークに領主は苦戦するが愛の力で目覚めたミドリが聖なる力で消滅させる。
そしてミドリにとって虐げたと思っているものを領主の裁きでギロチンに架けていく。
ギロチンで落ちたグリーンの首を踏み台にイケメン領主とキスをしてハッピーエンドという内容だ。
そんな幸せな夢を見た2人は夜中に目を覚ました。
* * *
アルルは兵士に起こされ部屋着のまま屋敷に向かった。
屋敷の庭にはツタに絡まれ動けなくなったグリーンとミドリがいた。
「助けて~!!領主様~!!」
「領主様~!!真実の愛はここよ~!!」
2人は今すぐにでも領主に愛と贅沢に満ちた生活欲しさに夜中に突撃し塀を乗り越えたのだ。
老執事はアルルに頼む。
「まさかアルル殿に頼んだ罠が使われる日が来るとは、アルル殿2人をお願い致します」
アルルはツタで2人を縛った後、罠用のツタを静めた。
「離しなさいよ花畑!!」
「領主様を呼んでよ!!私を見れば分かってくれるわ!!」
「随分騒がしい侵入者だな、アルル夜中にすまないな」
「この罠私にしか解けないから仕方ないですよ」
屋敷には頼まれて何ヵ所に罠が仕掛けられている。
アルルが罠を解くか、日の光を遮り水を与えるのを止め続け枯れさせない限り安全に罠は外せない。
「それはそうと、その服は何なんだ?」
「起こされて急いで来たんで部屋着のままなんですよ」
「そういうことじゃなくてだな」
アルルが着ていた服はイケメンが決め顔で女物のパンツを握り締めている絵と『権力よりパンツ』という文字がプリントされた服だ。
アルルに届いたクランからのプレゼントの1つである。この服は普段着として着れないので適当な部屋着として選択したのだ。
プリントされた男はクウガのクランのリーダー、アレックスである。
パンツ泥棒の濡れ衣を着せられ、濡れ衣がはれる前に販売された現在生産中止の服である。
クウガがアルルにこの服が届いたのを知ったとき「なんて物を送ってきたんだあいつら」と呆れたものである。
「そんなことよりこの人達どうします?」
「屋敷に入り込む奴なんて初めてだからな、後はこっちに任せて帰っていいぞ」
ブックマークや評価は大変励みになります
よろしければお願いします




