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近道ばかりでは駄目な時もある

 転移魔法陣で戻るところはどこも同じなので大丈夫なのだが、使う前は気を付けないといけない。誰にも見つからずに戻り、誰も居ない時に転移魔法陣を使って地上に戻って家に帰ることができた。妹が起きていたので、今日の出来事を話す。楽しんでくれたと思うのだが、今では身を起こすのも辛そうになっている。妹は「まだ大丈夫だよ」と言うし、おっちゃんも「まだ危険な状態にはなっていない」と言うが、見ていられないと焦燥感に駆り出されそうだ。落ち着くために大きく息を吐く。無茶をして失敗する訳にはいかない。準備を怠って、余計に時間がかかってしまうとか論外だ。今は、妹を安心させるために笑顔を見せるのが精一杯。


     ―――


 翌日。サーフェの生傷が増えていた。大丈夫かと心配になるが、サーフェ自身はなにやら手応えを感じているらしいので、ナリと共に応援しておく。三人でお昼ご飯を食べた後は、「また明日」と各自行動に移る。


 地下21階


自動地図化(オートマッピング)」で確認しながら行っていないところを少し回ってみた。その甲斐があってか、小部屋の中を覗こうと手を付いた壁に突起があって、そこを押すと小部屋の天井や壁から毒の霧が噴出される、という新たな罠を見つける。……ふむ。ポチッ、とな。小部屋の中に毒霧が充満して……そこに突入した。


 ………………。

 ………………。

 気分がすっごく悪い。吐き気も凄い。床に倒れた。「全適応」さんがもう少しだと励ましてくる。部屋から出たくなった。いや、その前にポーチの中に毒解除の回復薬があったような気がする。……一本いっとく? 我慢できずに伸ばした手をもう一本の手で押さえたところで――。


《――……100%。得られた経験により、「毒(弱)」に適応しました。無効化します――》


 先ほどまでの悪い気分や吐き気がなくなり、なんでもないように立ち上がった。気分爽快。毒霧はまだ漂っているが気にならない。いや、視覚的な印象が悪い。なので、小部屋の外に出るが……「毒(弱)」?


《――そこの罠に使われている毒は強くありませんでした。ですので、強力な毒にはまだ対抗すらできません。注意してください――》


 それなら強力な毒が良かった――と思ったが、思い返す。最初から強力だと適応する前に死んでしまう可能性があると思い至ったからだ。それに、毒(弱)が通じない――ある程度毒に対する抵抗があるからこそ、強力な毒に適応するまで耐えられる、ということもある。近道ばかりでは駄目な時もあるということだ。


 思いのほか探索に時間がかかったのと、毒で苦しんでいる時間もそれなりにあったので、今日のところはこれで帰る。妹にこのことを話すと、最初に強力な毒だったらどうなっていたのか、と怒られた。おっちゃんからは小言と、各種状態異常回復薬のそれなりに強いのを渡される。


     ―――


 翌日。俺は別に罠について詳しい訳ではない。だから、毒霧を噴出する以外にも罠があるかもしれないが、地下21階では見つけられなかった。なので、地下21階のこれ以上の探索は時間の無駄になると考えて地下22階へと向かう。地下23階への階段を見つけていないし、探索するならこちらの方だろう。


 ………………。

 ………………。

 少し離れたところから騒ぎが聞こえてきた。何かあったのかもしれない。こそっと近付いて聞き耳を立てて情報を集めると――オーガが出て、冒険者パーティが戦っているから、生徒たちが見学に行こう、と騒いでいるようだ。なるほど。まだオーガは見たことないので興味がある。今後の参考になるかも、とスキル「隠密」全開でこそっと人の流れに付いていく。


 大きく開けた場所でそれなりに激しい戦闘が行われていた。人の目はそちらに向けられているので俺に注目するようなことはなさそうだが、バレないように気を付けつつ中を見る。戦っている冒険者パーティに興味はないので魔物の方に視線を向けた。


 人型ではあるが、人よりも大きな体躯に筋骨隆々な体付きで、軽装を身に付けていて、手には大鉈が握られている。何より目立つのは、頭部の額から突き出すように伸びた一本の角。あれがオーガのようだ。


 オーガは二体居るのだが、冒険者パーティは危なげなく戦っている。真剣は真剣なのだが、どこか余裕があるというか周囲を気にしているように見えた。集まった生徒たちが邪魔……違う。生徒たちにどう戦えばいいのかを見せているのだ。ここに入れて、そういうことができるのなら、冒険者パーティはそれなりに強いのかもしれない。


 まっ、オーガがどんなものか見た限り、ステータス的に俺の方が上回っていると思うので、出てきたとしても問題なく対処できると思う。だからといって油断はしない。それに、狙いはハイ・オーガだ。参考にはなるが、それだけ。長居して見つかると困るので、そっとこの場を後にする。


 もう一つ、見に来て良かったことがあった。ここから行っていない方を進んでみると、地下23階への階段を見つける。もちろん、下りた。

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