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大きいからといって強いという訳ではない

 サーフェとナリとお昼ご飯を共にした後に向かうのは、そうダンジョン。待ちに待った攻略の時である。何しろ、俺のAGIは以前と比べて相当上がった。速度を上げて移動すれば、行き来の時間がかなり短縮できる。それに、地下19階までは攻略しているのだ。次の転移魔法陣がある地下20階までもう直ぐである。……もっとこう、1階毎に区切って転移できれば楽なのだが、そういう訳にはいかないのがもどかしい。まあ、移動速度は上がったのだから、後は階段を見つけるだけ。いや、その後地下20階も攻略しないといけないが……そこは早く終わることを切に願う。こう、真っすぐ行ったらあった、みたいな感じがいい。


 そんなことを考えている間にエリアスト王立学園敷地内にある砦に辿り着き、そこにある転移魔法陣で地下10階へと移動する。


     ―――


 地下11階


 地下19階まで一気に行きたいところではあるが、その前に魔蜂のハチミツを回収しておこうと思う。オリエンテーション前に魔蜂たちの協力を得て巣の近くに花畑を作ったが、それが上手くいっていることを願う。妹の「魔障」が治るまで定期的に欲しいので。


 ハチミツがたくさんありますように、と願いながら魔蜂の巣に向かうと――。


「………………」


 魔蜂の巣の前に陣取った数匹の魔蜂が立ち塞がる。何かを伝えようとしているので、どうにか読み解くと……。


「え~と……ここよりも、先に、あっちに行け?」


 その通り! と立ち塞がった数匹の魔蜂が前脚を同じ方向に指し示す。正解のようだ。指し示した先にあるのは……花畑? 何かあったのだろうか?


「いいけど、また少しハチミツはもらうからな」


 わかっている、と数匹の魔蜂が頷く。協力関係にある以上、ここの魔蜂が問題とすることには俺も介入するのである。そうして花畑に近付くと声が聞こえてきた。誰かに見つかった? まあ、それならそれで、ここの魔蜂たちは問題ないと説明すればいいだけだな、と突入する。


 花畑を挟んで、たくさんの魔蜂と、数匹の少し体の大きな魔蜂が対峙していた。どちらの魔蜂も相手を威嚇している。また、大きな魔蜂数匹の方には、俺と同い年くらいの緑髪の男性が居た。


「……ん? 誰だ、貴様は?」


 緑髪の男性が俺を見て首を傾げる。いや、それは俺の方こそ言いたい。


「俺は、まあ、そこに居る魔蜂たちの協力者みたいなものだけど?」


「協力者? 妙な言い回しだが、要はテイマーか? しかし、上の学年にも同学年にもお前のようなテイマーは見ていない。一年か?」


「そうですけど、何か?」


「それなら話は早い。私は二年の者だ。わかるな?」


 わからない。ただ、こういう人は自分で話したがりというか、先輩らしいので緑髪先輩の主張はこうだった。


 まず、先日のオリエンテーションでテイムしている魔蜂たちが頑張ったので労いたい。どこかいい場所はないか? そうだ。魔蜂をテイムした場所――地下11階ならいい場所があるのではないか? 捜索。花畑(いい場所)を見つけた! 良し。ここで労おう……おや? どこかからたくさんの魔蜂が? 自分の魔蜂が花畑(いい場所)に入ろうとしてくると邪魔してくるだと! ここが自分たちの場所だとでも言うつもりか! なんて生意気な! 許さん! 教育してやる! ←今ここ。


 ということのようだ。


「いや、ここは俺とこいつらで使った花畑なんで。こいつらが駄目だというのなら駄目だから、どこか別の場所に行ってくれ」


 俺の答えに満足そうに頷くこちら側の魔蜂たち。わかっているじゃないかと肩を叩いてくるのも居た。すると、緑髪先輩は顔を真っ赤にして怒りを露わにする。


「き、貴様! 一年の分際で二年の私に歯向かうなど……許せん! どうやらわからせる必要があるようだな! 幸い、ここに教職員の目は届かない! 二年の……先輩の恐ろしさというものをその身に刻んでやる! 後輩は黙って付き従っていればいいのだ! 行けっ! 僕の可愛い天使たち(マイエンジェルズ)! テイマーバトルだ!」


 テイマーではないのだが。ともかく、緑髪先輩が指示を出して大きな魔蜂たちが襲いかかってくる。こちら側の魔蜂たちが迎撃に出た。まあ、確かに緑髪先輩の魔蜂たちの体は大きいが……それだけな気がする。戦闘能力はこちらの側の魔蜂と大して変わらなそうなので、数が圧倒的に多いこちら側の魔蜂たちが勝つと思う。


 それを眺めているだけで終わりそうだな、と思っていたら、緑髪先輩の魔蜂の一匹が俺に襲いかかってきた。


「自分は襲われないと思ったか? 確かに、互いにテイムした魔物の力だけで競い合うテイマーバトルにおいてテイマー本人を襲うのは反則行為だが――言っただろう! ここに教職員の目はない! つまり、反則でもなんでもないのだ!」


 緑髪先輩の魔蜂の一匹が、俺に針を突き刺――そうとして突き刺さらなかった。ついでに言えば、パキリ、と軽い音を立てて針が折れる。訂正。多分、こちら側の魔蜂よりも弱い。


 馬鹿なあああああ! と言いたげに落ちていく緑髪先輩の魔蜂の一匹――を、こちら側の魔蜂数匹が引っ掴んで運んでいった先では、他の緑髪先輩の魔蜂たちがこちら側の魔蜂たちによってボコられており、運んだところでそのまま一緒にボコられる。


「………………え? あれ?」


 困惑して動かない緑髪先輩。とりあえず、俺はテイマーではないし、手を出されたので出しても問題ないと思う。


 ――緑髪先輩をボコった。


     ―――


 さて、ハチミツをもらって攻略を進めようと思ったのだが、もらう前に魔蜂たちからボコった緑髪先輩と体の大きな魔蜂たちをどこかに捨ててきて欲しいとお願いされる。………………仕方ない。


 ハチミツをもらった後、緑髪先輩と体の大きな魔蜂たちを担いで地下10階の転移魔法陣で戻り、部屋の外に居る兵士たちに事情を話す。……どうやら、緑髪先輩は前に何度か似たようなことをしていたようだ。襲うことに迷いがなく、即行動していたのはそういうことなのだろう。話は早く、任せてよさそうなので任せて、俺はダンジョン攻略を再開した。

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