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色々やっていたら時間なんてあっという間

 ステータスの確認が終わったので、サーフェとナリ、レスキューフィンガー四人が集まっているところに戻る。


「どうだった? 上がってたか?」


 サーフェがなんでもないように尋ねてきたので頷きを返す。


「だろうな。俺もナリも上がっていたわ」


「……(こくり)」


 俺が確認している間に二人も確認していたようだ。まあ、疑似魔物大暴走(スタンピード)を乗り越えたのだから、ステータスくらいは上がっていてもおかしくない。


「そっちも上がっていたか。当然と言えば当然だけど。それだけは、心から良かったと言えるな」


「それは間違いない。それで、これからどうする?」


 サーフェの問いに首を傾げる。ナリも俺に尋ねるような視線を向けていた。


「どうする、とは? マウマウ先生が戻ってくるのを待つだけだが?」


「いや、そうだが、待っている間何するかってことだ」


「………………とりあえず、魔物の死体を片付けるか」


「そうだな」


「……(こくり)」


 近くの魔物の死体から「アイテムボックス」に入れていく。そのまま周囲を歩きつつ、サーフェとナリが俺の側に魔物の死体を持ってくるので、それも「アイテムボックス」に入れていった。そのまま作業を続けていると――。


「……いやいや、当然のように始めているけれど、もしかして中指は『アイテムボックス』持ちなのかい? いや、見た限りそうとしか言えないけれど」


 親指が話しかけてくる。顔の表情はわからないのに、困惑しているのがわかった。そういえば、レスキューフィンガーが居たな。サーフェとナリには既に言ったから始めてしまったが……まあ、いいか。吹聴とかはしないだろう。もし、吹聴されて人が集まったとしても……「全適応」さんがいるから問題ない。


《――適応者をさらに強化できるスキル持ちが来てくれれば問題ありません――》


 寧ろ、喜びそうだ。なので、その通りだと実演してみせると――。


「『アイテムボックス』持ちとはさすがだね、中指」


「だから、中指と呼ぶな」


「自分たちの中に『アイテムボックス』持ちは居ない。君が入ってくれて、完璧になったな」


「まず入った覚えがない」


「それじゃあ、中指が居れば、回復薬とか魔力回復薬とか異常状態回復薬とか、もっとたくさんの医療道具を持っていけるね♪」


「う~ん、返答に困る。ただ、中指認定しないで」


「ふふふ。いつでもこのスーツを脱いで着換えができるわね。よろしく」


「いや、スーツとか言って大丈夫? あと、さらっとよろしくしないでください」


 親指だけではなく、他の指たちも俺を中指のように扱い出した。非常に困るというか面倒である。


《――もう入ってしまえばいいのでは?――》


 推奨しないように。もう一度、勝手に入れた認定しないようにと、レスキューフィンガー相手に協調しておいた。サーフェとナリの聞き耳が大きくなっていたような気がする。その後は、レスキューフィンガーにも協力してもらって、一気に魔物の死体は「アイテムボックス」に入れた。これについては金に換えたとしてもどれだけになるかわからないので、判明してからどう分配するか相談である。レスキューフィンガーにも手伝ってくれた分は出そうと思ったが「これも救助の一環だよ」と辞退された。


 魔物の死体の片付けが終われば、後は特に決めていない。各自思い思いに時間を潰す。


     ―――


「……今、助けを呼ぶ声が聞こえました」


 親指がそう口にすると、残るレスキューフィンガー三人の雰囲気が変わり、親指に向けてこくりと頷くとどこかに行ってしまった。誰かを助けに行くのだろう。でも、俺にそんな声は聞こえていない。確認のためにサーフェとナリを見るが、二人も聞こえていないと首を横に振る。獣人は身体能力に優れていると聞くし、ナリならと思ったが……そうなると、やはりあのスーツに秘密が……入隊するつもりはないので深く考えるのは止めた。それよりも……。


「あんたは行かなくていいのか?」


「もし、この場に誰か近付こうとした時に、今君たちを出す訳にはいかないからね」


 ……確かに。


     ―――


 レスキューフィンガーは行ったり来たりと忙しくしている。今日は一年のオリエンテーションであるし、レスキューフィンガーが出動することも多いのだろう。ただ、レスキューフィンガーが出動する度、戻ってくる度、サーフェとナリはお見送りとお出迎えをしているのだが……俺もした方がいいのだろうか?


「いや、お前はされる側だろ」


「……(こくこく)」


 未だ誤解しているようなので、サーフェとナリがしっかりと理解するまで、しっかりと話し合った。


     ―――


 人差し指から、思い付いたことがあると言われ、教えられたことを実践してみる。


 木に向かって跳ぶ。タイミングをみて、木の枝に向けて手をかざし、「アイテムボックス」から先ほど蔓を真っ直ぐに勢い良く射出。出た蔓を掴み、手首のスナップをきかせて蔓の先を木の枝に巻き付かせる。「投擲」と「刺突」がなんか作用している感じがした。そのまま振り子のような移動方法で前に跳び、落ち切る前に木の枝に巻き付けた蔓を回収して、次の木の枝に向けて再び「アイテムボックス」から蔓を射出して巻き付かせて、さらに前へと振り子のように跳び――を繰り返す。


 すると、あら不思議。「あ、ああ~」と叫ぶ暇もないくらいの蔓による高速移動ができた。向かう先に蔓がなくても「アイテムボックス」を利用した画期的な移動方法な気がする。なんというか、蜘蛛にでもなった気分だ。蜘蛛のように移動する者。略してスパイダ……何故だろう。これ以上は考えてはいけない気がする。


 ………………。

 ………………。

 まあ、今のAGIでこの移動方法が必要かと言われれば……まあ、楽しい移動方法だから良し。


 ただ、これをした後に戻ると、サーフェが「これは中指確定だ」と言い切り、ナリは何度も強く頷き、レスキューフィンガーは「はい、中指」と俺を指差してきたので、断りを入れるのが大変だった。彼らの前では二度としないと強く思う。


     ―――


 そんなことをしていると、マウマウ先生が戻ってきた。

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