表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/287

一を聞いて十を知るとか、凄すぎない?

「……あぁ~、ああ~~~!」


 また蔓があったので、蔓を使った移動方法で横合いから魔物の群れの先頭へと勢い良く迫り、そのまま魔物を何体か蹴り飛ばしながら抜けていく。その先に蔓はない。残念だ。仕方ないので、蔓を放して先にある木を掴み、くるっと反転して突っ込み、再度魔物の群れの先頭に居るのを何体か殴り、蹴り飛ばす。


 それでも、魔物の群れは俺には目もくれず、先を進むサーフェに向かっていく。


「少しは足を止めて、俺と戦えっての!」


 口にするが、魔物の群れは止まらない。それでも、魔物の群れの速度を少しでも落とすために攻撃はし続ける。サーフェとナリが進んでいる先にも魔物が現れる可能性はあるが、そちらにナリに任せた。上手く避けるか、素早く倒すか、ナリなら上手く速度を落とさずにやってくれるだろう。というか、本当にこの狂ったような魔物の状態はどうなってんの?


《――現在、同時進行で「疑似魔物大暴走(スタンピード)」と「現状」に適応中ですので、詳細は少々お待ちください――》


 待てばわかるようだ。なら、待とう。


「ナリが、もう少しで着くってよ!」


 先を走るサーフェからお知らせが届けられた。できるだけ早く頼む。その願いが届いたのか、魔物の群れの先頭を狙って潰している内に、ほどなくしてどこを目指していたのか見えた。飛び出している崖の下にある洞窟で、洞窟の前は少し開けているので視界は悪くなさそうだ。洞窟の中に入っていくナリとサーフェが見えた。俺は速度を上げて魔物の群れよりも前に出て――洞窟前に陣取って、魔物の群れを迎え撃つために身構える。


「ここは? 大丈夫なんだな?」


 洞窟入って直ぐのところでナリが身構え、サーフェが休んでいるのが見えたのでナリに向かって尋ねる。


「……何かの魔物の巣穴跡。今はもう使われていないから大丈夫」


「洞窟の奥は?」


「……行き止まり」


「確かだな?」


「……少し前に来て入ったから間違いない。中に魔物の気配はない」


 なら、奥から魔物は来ないな。あとは、ここで俺がやられるなり、抜かれたらヤバいってことか。拳を握って、力を込める。


「上等! あとは任せろ!」


 まずは先頭に居た、でっかい蟻型の魔物を蹴り飛ばす。次いで、その後ろに居た俺の倍の大きさはある蟷螂型の魔物を殴り飛ばした。もちろん、生かして戻ってくると物量で押し込まれかねないので、全力一撃必殺のつもりで倒していく。


「無理すんなよ! 回復したら俺も戦う!」


 サーフェの声が届く。手足は止めず、振り返りもしない。言葉だけ返す。


「はあ? 無理するな! 走り回って疲れているだろ!」


「大丈夫だ! 俺が得たスキルは『根性』と『自己回復』! これくらい直ぐ回復する!」


 ……いや、スキル名言われても効果知らないし。寧ろ、どんな効果? と思考が逸れて危うく魔物を抜かせるところだった。


《――スキル「根性」と「自己回復」とは――》


「全適応」さんがさらっと説明してくれる。……まあ、「全適応」さんなら知っているよね、当然のように。次々と迫る魔物を倒しつつ、「全適応」さんの説明を聞くと………………いや、スキルが噛み合っているというか、強くない? 確かに単純な戦闘力には直結しないけれど、敵に居た場合に倒すのが困難だよね? え? なんでそれでEクラス? 間違えていない? ここの教職員のスキルを見る目は節穴? いや、教職員と一つに纏めるとマウマウ先生も入るから、一部の教職員か? マウマウ先生は違いますよー。


《――それについては「現状」の方に適応しましたのでわかりました。「疑似魔物大暴走(スタンピード)」の適応の方はもう少しお待ちください。もう少しで――》


 それじゃあ、現状についてわかったことだけ教えてくれる?


《――かしこまりました――》


 魔物を倒しつつ聞くが……なんか、まだ魔物が増え続けているような……大丈夫か、これ?


《――まず、Eクラス入りの疑問についてですが、「時機(しょうもない)」スキルを持つ者――適応者が認識している呼び方だと赤髪の男性が、借金がある教職員の一人に金を渡して不当に評価を下げされたことによる結果です――》


 なるほど。


《――また、現状についてはその赤髪の男性が、自分よりも金もないくせに、俺だって上手くやれる、と嫉妬や勝手な逆恨みを募らせたことによる暴走です――》


 面倒な。


《――ただ、赤髪の男性が「魔淫香(まいんこう)」を使用するに至った起因は別にあります――》


 ……え?


《――そもそも「魔淫香(まいんこう)」は所持禁止アイテムです。それが何故使用されたかといえば、赤髪の男性の親が営むエンベズ商会が所持していたからで、エンベズ商会が何故そのような物を所持していたかというと、クコイバ男爵がエリアスト王国の西にあるゴルブルワ帝国の秘密の貴族派閥からの命令で王都に運び込んだからです。その秘密の貴族派閥の正体は、戦争強硬派。運び込んだ目的は王都の現戦力の確認。「魔淫香(まいんこう)」で「疑似魔物大暴走(スタンピード)」を王都近郊で起こし、どのような対応をして、どれだけの戦力を有しているかを調べるためです。何故そのようなことを調べるのかというと、多くの国が「災厄撒布(さいやくさんぷ)」による被害、その後の「魔障」からの復興中で国力が落ちているため、攻め時なのではないか? と考えて画策・暗躍しているようで、クコイバ男爵はその協力者で、エンベズ商会はその手下です。クコイバ男爵邸の寝室のベッドの下にある小箱の中、エンベズ商会本店の商会長室の金庫の中、それぞれに関係書類がありますので、ダンジョンから出て直ぐにでも報告するなりして早々に回収して対処すれば後手に回ることはないと思われます――》


 ………………いやいや、待って。情報が多い。思わず、魔物を倒す手を止めてしまうところだった。というか、暴き過ぎじゃない?


《――日々成長していますので。あと、「魔淫香(まいんこう)」について補足を一つ。所持禁止アイテムとなったのは、魔物を集めて狂わせるという理由だけではありません。「魔淫香(まいんこう)」で魔物を集め過ぎると、そこから異常個体が生み出されるからです――》


 ん? 異常個体とは? と思った時、魔物の群れの奥の方で何やら黒い靄が集まり出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ