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初対面とその後では印象が変わることだってある

 更に評価を上げるため、地下12階へと向かうことになった。ただ、地下11階を休みなく動いていたので一旦休息を取ることになった。それについてもナリがいい場所を知っているそうで、案内される。


 そこに向かうまでの間、もちろん会話はなく、探索中は別に気にならなくなったのだが……それでも、サーフェの様子が少し違うような気がした。周囲への警戒が少し薄くなって、その代わりに考え事をしているような……そんな感じである。どうする? どうかしたかと聞くべき?


 悩んでいる内に、ナリの案内が終わる。「自動地図化(オートマッピング)」で確認すると、辿り着いたのは地下12階へと続く階段の近くにある、少しだけ開けた場所。大きな岩がいくつか地面の上に出ているので、座る場所には困らないようだ。思い思いに岩の上に腰かけて、一息吐く。もちろん、警戒は怠らない。そのまま休んでいると、サーフェが俺を見ていることに気付く。


「……なんだ? 俺に何か用か?」


「………………前に話したことを憶えているか?」


「前? 何を?」


「Bクラスの奴をどうやって倒したかってヤツだ。お前はイカサマではなく拳、スキルで――つまり実力で倒したと言ったな。それに間違いはないな?」


「言ったし、間違いないが、それが?」


「間違いないんだったら、次、地下12階からは列の真ん中を頼む」


「は? つまり、ナリ、俺、サーフェの順で進むってことか?」


「そういうことだ」


 なんで急に? でも、サーフェは真剣そのものなので冗談の類ではないようだ。ナリと顔を合わせる。……特に気にしていない感じ。まあ、ナリが先頭なのは変わらないしね。うん。


「別に構わないが、理由を聞いても?」



 サーフェは迷いを見せるが、頭を掻き、「そりゃ、言わなきゃ納得できねえよな」と口にした。


「理由は単純だ。俺の力不足。今使っている剣と盾は予備で、いつも使っている武器じゃねえ。そんな装備じゃあ、地下11階はどうにかなっても、地下12階は苦しい。だから、任せられるなら任せたいだけだ」


 なるほど。サーフェの戦いを見て思ったことは、間違っていなかったようだ。同時に、納得である。「そういうことなら、わかった」と返しておく。ついでに、ここまで話したので、俺もサーフェに尋ねる。


「俺からもいいか?」


「なんだ?」


「聞くべきか悩んだが、実は数日前に――」


 商店での出来事を話す。聞き終える前からサーフェの表情は歪み、不快感を露わにして苛立ちを口にする。


「赤髪……あいつか……くそっ。こんな時にもちょっかいをかけてくるつもりなのかよ。なんだってそんなに……」


「ちょっかい? あれは冗談の類の話ではないってことか?」


「多分、な」


 そう返さるが、サーフェは冗談の類ではないと確信しているように見える。だからだろうか、サーフェは一転して意見を変えた。


「――悪い。やっぱ地下12階に行くの止めねえか? 評価は上げてえが、俺の事情にお前らを巻き込ませるのは好きじゃねえ」


 先ほどまでは評価を上げようと、列の位置を変えるくらいに意気込んでいたというのに、意見を変えるほどか、と内心で驚く。評価を上げようとしているのも、その辺りが関係しているのだろうか? その辺りのことは……さすがに踏み込み過ぎか。初対面みたいなものだし、教えてくれなさそう。でも、ここで俺とナリを巻き込ませないために止めよう、と決められるのは好印象である。いきなり面貸せと言われた時とは大違いだ。


 とにかく、サーフェは地下12階に行くか、戻るかの判断を俺とナリに任せるようだ。ナリと顔を見合わせる。……答えは同じのようだ。


「じゃあ、地下12階に行く、ということで」


「……それで」


 うんうん、と頷く俺とナリ。サーフェは一瞬呆れる。


「俺の話、聞いていたか?」


「いや、俺の話と言われても、その相手とどういうことになっているのか教えてくれた訳じゃないから、詳しいことわからないし。それに、そもそもアレが何をしてこようが、どうとでもできると思っているから、このまま地下12階に向かう、でいいんじゃないか?」


「……右に同じ」


 ナリはもう少し喋ってもいいんじゃないかな? 面倒なだけ? それとも、そういうキャラを狙って? ……これは聞かなくてもわかる。そもそも答えない。


《――アレは駄目でしたが、他ので適応するに相応しいのが居ればいいのですが――》


 寧ろ、「全適応」さんは接触する気満々である。というか、アレ? 他ので? ……事情を知っていそうだ。その上での接触希望という時点で、俺の中での脅威度は低い。


「で、どうする? 俺とナリは地下12階に行ってもいいが?」


「お前ら……本当にいいんだな?」


 俺とナリは頷きを返す。それで、サーフェは嬉しさを我慢するような表情を浮かべたあと、「ふ、ふん!」と表情を見せないように顔を逸らした。それを見て、俺は笑みを浮かべ、ナリもどことなく楽しそうな雰囲気を漂わせる。


 ……ん? あれ? もしかして、これ、今までで一番パーティらしいことしてない? オリエンテーションしているな、これ。


 そうして、なんとなく結束のようなものができてから、休息を終えて地下12階へと向かう。

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