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意図せず事実が浮き上がることだってある

「……え? いや、ええ? ……この者たちは危険な犯罪組織に所属しているから、これ以上の手出しは命に関わる。アーシャル侯爵家の方で対処してキミたちには手出しさせないようにするから安心して欲しい」


「えっと、大丈夫です。さっきも言いましたが、今から潰しますので手出しはさせません。その後の処理をしてくれれば大丈夫です」


 俺が否定したことが信じられなかったのか、カレリナ・アーシャルが再度同じことを言ってきたので、俺も同じように返す。何故そうなるのだ、とカレリナ・アーシャルは額に手を当てた。


「……潰す、と簡単に言うが『黒月(ブラックムーン)』は実態が明らかにされていない。それでどう潰すというのだ?」


「もう少ししたらアジトの場所とかわかりますので、そこに乗り込んで潰します」


「……もう少ししたら、とは?」


「それは秘密です」


「……はあ。実態が明らかになっていないということは、それだけ手練れが多いということだ。どうにかできるとでも?」


「え? 手練れ?」


 そこで倒れている二人を見る。


「……先ほど倒した二人程度なら何人居ても問題ありませんが?」


「は?」


「まあ、そこの二人より強いのが居ても問題ありませんが」


「え?」


 カレリナ・アーシャルは戸惑うが、サーフェとナリは、そうだろうなと頷いている。と、そこで――。


《――現状に適応しました――》


 待ってました。


《――大筋はそこの侯爵家の貴族娘が話した通りですが、少し違う部分があります。今回の企ては対抗侯爵家ではなく、その傘下のヨーコヤーリ伯爵家当主が「黒月(ブラックムーン)」に依頼して、誘拐を目的としています。傷を加えられたと汚名を流布するなり、交渉で有利にことを運ぶためなど、多岐に渡って上手く使うためという他に、対抗侯爵家の娘を確実に代表へと選出するため、という表向きの理由があるのですが、実のところヨーコヤーリ伯爵はそこの貴族娘を嬲りたいという欲望を裏に秘めています。寧ろ、ヨーコヤーリ伯爵はそちらの方が本当の理由と言ってもいいと思います。一応、そこの貴族娘と対抗侯爵家の娘はそれなりに強いと話が広まっていまして、誘拐も確実に無力化するために手荒な方法を取ったようです。まあ、強いといっても適応者とは比べようもありませんが――》


 まあ、誘拐自体は未然に防いだようなものだし、その辺りいいよ。俺が聞きたいのは「黒月(ブラックムーン)」のこと。もちろん、わかっているんでしょ?


《――当然です。犯罪組織「黒月(ブラックムーン)」。本来は対抗侯爵家――ジション侯爵家が表に出せない、秘密裏に処理したいことを行わせるために作られた組織でしたが、途中でボスの代替わりが起こり、現在は独立を狙って他の貴族から秘密裏に依頼を受けて色々と活動しているようです。今回もその一つ。構成員は八名。少数精鋭(笑)を謳い文句としています。アジトは王都のスラム近くの一軒家。普通の家屋に見えますが、それは偽装で、アジトは地下にあります。現在、残り六名は家屋とアジトで待機中。そこの二人は偵察と実行を兼ねていて、仲間に連絡する前に適応者が倒したため、現状は仲間に伝わっていません。適応者単独による強襲を推奨します。他の者では強さが足りません。地下最奥にある金庫の中にジション侯爵家の他に今回の件も含めた秘密裏に依頼してきた貴族と繋がる書類、いくつかの貴族家に対する脅迫材料、犯罪の書類などがありますので、そこの侯爵家の貴族娘に渡せば「黒月(ブラックムーン)」は壊滅して、安全な明日を過ごせます。ああ、構成員については、生き証人として侯爵家の娘に渡した方がより苦しみを与えることができます――》


 なるほど。了解。


「それでは、色々とわかりましたので、これから行きます。えっと……アーシャル、さまでいいのかな? アーシャルさまには付いて来て頂けると助かるのですが……ああ、手は貸さなくていいです。俺が一人でやりますから。ただ、その後に証拠書類とか色々と渡すことになりますので、お願いできますか?」


 カレリナ・アーシャルがジッと俺を見てくる。なんというか、こう……何かを見定めているような、そんな感じだ。


《――現状に適応しましたので、そこの侯爵家の娘についても適応しています。元より何度か感じていましたが、やはり「鑑定」もできる看破系の上位スキル保持者のようです――》


 え? それって俺のステータスが見られているってこと? 文字ばっかりのステータスが?


《――見られていません。私が目覚める前ならまだしも、目覚めた後であれば……ふっ。見せないようにすることなど造作もありません――》


 なんというか、「全適応」さんが圧倒的勝者の余裕の笑みを浮かべているような、そんな感じだ。でも、偽装ではなく見せないようにしているって、その上位スキルよりも強いスキルを持っているって明かしているようなものでは?


《――………………――》


 ………………。

 ………………。

 まっ、今更か。それに、弱く偽装したところで侮られるだけだし、見られないようにするので正解だと思う。


《――はい。適応者が侮られるなど許せません。もちろん、そのような意図で、あえて(・・・)見せないようにしているのです――》


 うん。まあ、怪しいが、いいか。


「……わかった。私のスキルでも確認ができない上に、こうして無傷で二人倒しているのだから……貴殿のお手並みを拝見させてもらう。それと、別に口調は普段通りで構わない。話しにくそうだからな。クラスメイトだから気にするな」


「わかりま……わかった。なら、遠慮なく。それじゃ、行きますか」


 サーフェとナリにも付いて来て欲しいが、どうする? と視線で尋ねると、もちろん付いていく、と視線で返される。なら、カレリナ・アーシャルが突っ込んでこないように見張っていて欲しい、とこそっとお願いしておいた。

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