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サイド カレリナ・アーシャル 2

「(全)適応」とは一体?


 いや、「適応」ならわかる。暑さや寒さといった環境変化に強くなるスキルだ。しかし、それに「(全)」が付いたとして……何が変わるのだろうか? 意味がわからない。私のスキル「天眼」にも限界はあるというか、ステータスや所持スキルは見えるが詳細までは見えないのである。スキルの中には成長するのもあると聞くし、もしかしたら将来では詳細まで見えるようになるかもしれないが、少なくとも今は無理だ。普通の「適応」ではないと思うのだが……。


 まあ、考えてもわからないものは仕方ない。気にしないことにする。今の私は他人に構っている余裕はないのだから……。


     ―――


 自分はアーシャル侯爵家の令嬢であるが、所謂普通の令嬢らしさはないと思う。というのも、両親から学だけではなく、時には武も必要だと言われて、幼い頃から武芸も学んできたからである。得意とするのは細剣と弓。同年代の中でもそれなりに戦える方だと思う。それを実感したのは、学園のダンジョンに入れるようになって、ソロで地下15階まで行けたからだ。ただ、それより先には行かなかった。地下15階まで行くのがギリギリだったため、今は力不足だとわかったからである。無理が死に直結するのがダンジョン。……はあ、政争負けとEクラス入りで以前の友達は手のひらを返したように居なくなったし、パーティメンバーどうしよう……一人は寂しい……。


     ―――


 妙なことが起こった。以前気にした「(全)適応」持ちが他クラスの生徒と揉めて直接やり合ったと聞いたのだが、「天眼」で見てみると、ステータスの一部が数値ではなく記号のような文字で埋め尽くされて判別できなくなっていたのだ。それだけではない。スキルの部分もまったく見れなくなっていて、その代わりに「覗きは犯罪です」という一文があるだけ。より意味がわからなくなった。でも、直感で、その一文は私に宛てたものだと理解する。……確か、アルンという名だったか。只者ではないかもしれない。


 ただ、そのアルンと揉めた他クラスの生徒の親はジション侯爵家側の貴族家だったので、少しだけざまーみろと思った。


     ―――


 オリエンテーション、いいね! Eクラス女性陣だけで組んだパーティ「夢追う麗人ビューティ・ドリーマー」、最高! パーティでダンジョン攻略するの、楽しい。「天眼」も使ってサクサクと進んでいく。地下13階で「湖水」も楽々手に入れた。オリエンテーション中だけではなく、このままこの二人とパーティを組んでダンジョン攻略していきたい……いや、駄目だ。アーシャル侯爵家とジション侯爵家の争いに巻き込んでしまう。それは駄目だ。でも、オリエンテーションは好成績で終えた。それは喜ばしい。


     ―――


 また妙なことが起こった。オリエンテーションで「一年Eクラス・男性組」が戻って来なかった。死亡した、なんて話も出ている。何かが起こったようだが……詳細は何もわからない。「天眼」でも見抜くことができなかった。けれど、「一年Eクラス・男性組」は死亡したなんて嘘で、なんでもないように戻ってきた。でも、アルンのステータスの一部がさらに読めなくなっていたのは、どういうことだろう……。スキルの方も「そんなに覗いてくるなんてムッツリですか?」と変わっていた。……いや、ムッツリじゃないし。


 ただ、このオリエンテーションの件が関係あると思うが、この後王都内にある大きな商店と貴族家の一つが潰れる。それがジション侯爵家に大きな資金を流していたところというのもあって、ジション侯爵家の勢いが少し減退し、アーシャル侯爵家が少し勢い付いた。嬉しい。


     ―――


 それからは特にこれといったことはなく、そのまま夏の長期休暇に入る。夏の長期休暇は自己鍛錬を中心に過ごす。夏の長期休暇明けにある学年別代表決定戦に出るためだ。狙うは学年別代表になること。そうなれば、アーシャル侯爵家はまだ死んでいない、まだまだやれると示すことの一助ができると思う。ただ、そんな簡単にいく話ではない。私が学年別代表決定戦で結果を残そうと考えているのは相手も考えているだろうし、ジション侯爵家が何かしらの邪魔を仕掛けてくる可能性は十分にある。それに、ミネエリア・ジションは魔法使いとして、同年代の中ではかなりの腕前を持っていると有名だ。直接対決で潰しにくることも考えられる。まあ、何にしても、注意が必要だ。私は自分の強さというものを理解している。それなりに強いとは思うが、最強では決してないということを……。


 そうして、自己鍛錬で夏の長期休暇は終えたが……正直に言えば自信がない。できることはやったと思うが、これで大丈夫だ、という自信が持てずにいた。悩むが答えは出ない。とりあえず、学年別代表決定戦で何かしら使えそうな物でもないかと、王都内の武具店を見て回る。本来であれば家に呼び出したり、自ら向かうとしても馬車を使い、執事やメイド、護衛と共に行くべきなのだが、買うかどうかもわからない買い物に付き合わせるのは悪いと一人で動く。……息抜きしたくて抜け出した訳では……まあ、そういう側面があることも否定はできないが。ともかく、一人で武具店を回り、少しばかり気分転換ができた時、クラスメイトと出会う。「一年Eクラス・男性組」の三人だ。


 挨拶くらいは、と口を開こうとした瞬間――アルンが私の目の前で何かを掴み、砕ける音が聞こえたかと思えば、体が何かにぶつかって少し押される。見れば、ぶつかったのはナリ。どこからか飛んできたナイフがナリに刺さる。

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