出るかどうかは人それそれである
翌日。授業が終わり、昼食を食べ終わると、早速職員室へと向かって、マウマウ先生に学年別代表決定戦に出たいことを告げる。「これで勝利は確実です! ぐふふ。今からAクラス担任の悔しがる顔を見るのが楽しみですね!」とご機嫌になった。……うん、まあ、別にいいけどね。出れるならその辺りはどうでもいい。
「これで、Eクラスからは三名が出場ですか。Eクラスから半分も出るとは先生は嬉しいです」
「三名? 俺以外に二人? 全員ではなくて?」
「戦闘ですからね。タオ・マージクさんとハインサさんは自分は戦闘職ではないと、ナリくんは衆目監視の中での戦闘はやりたくないと、参加を見送りました。ですので、参加するのは、アルンくんにサーフェくん、それとカレリナ・アーシャルさんの三名です。Eクラスということで周囲から侮られると思いますが、拳で黙らせてやってください」
好きなだけやってしまって構いません、と拳を握るマウマウ先生。好きなだけやってしまっていいのだろうか? そういう風に見えるだけで実際は、というのもあり得る。でも、見る限りだとマウマウ先生は構わないと言っているように見えるので……いいか。特殊な結界が張られているそうだし、大丈夫だろう。任せてください、と拳を握って見せる。しかし、出るのはEクラスで三人だけか。サーフェが出るのはわかるが、ナリは出ないのか。
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翌日。授業が終わって、サーフェ、ナリと一緒に昼食を取りながら、話題の一つとして学年別代表決定戦について話す。
「ナリは本当に出ないのか?」
「……うん。出ない。人目があり過ぎる。あと、そこまで攻撃力は高くない」
ナリにしては随分長く喋ったと思う。でも、言いたいことはなんとなくわかった。「疑似魔物大暴走」の時が参考になるというか、ナリはどちらかと言わなくても斥候とか諜報とか隠密系を得意としていると思う。そのためか、攻撃力が低いとか言わないまでも高くもない。自分の攻撃手段を明かしたくないというのもあるかもしれないし、ナリが出ないと決めたのなら無理強いをすることもないだろう。サーフェもその辺りはわかっているのか、ナリがそう決めたのならなんも言わねえ、という感じだ。
「そっか。なら、俺とサーフェのことを応援してくれよな」
「……わかった(ぐっ)」
任せて、というようにナリが親指を立てた。ナリの声量的に他の人の声にかき消されそうなので、見てくれるだけでも十分である。
「それと、サーフェ。学年別代表決定戦に出るのはいいんだけど、何か準備するものとか、やっておいた方がいいことってあるか?」
「そうだな……回復薬、回復魔法は戦闘終了まで使えないし、終了後は学園の方で治してくれるそうだから……特にないんじゃねえか? まあ、当日の武具類をどうするかとか、それくらいか」
「武具か……」
何かしらの武器は使わないし、特殊な防具を使っている訳ではない。この身一つでやっているので……あれ? 俺、準備要らない?
サーフェとナリも同じ結論なのか、俺を見て、準備は必要ないのでは? と首を傾げた。まあ、アレよ。いつどんな時でも戦闘できる気構えができているってことで。
「アルンに武具類は必要なさそうだから……ああ! そうだ! しっかりと鍛錬をして休んで体調を万全に整えておくことも大事だな! 師匠も常に戦場に立っているという気構えを持てって言ってたな」
ナリもそうだと頷く。体調……体調か。まあ、体調悪くても適応して無意味になりそうな気がしないでもない。気構えはわからなくもないが、持ち続けるが難しい気がする。気を抜くことも大事だ。きっと。あと、鍛錬はわかる。念には念を入れて学園のダンジョンの地下40階以降に行ってみるのもいいかもしれない。上手くいけば新たな適応でより強くなることもできるし。でも、そうすると妹と過ごす時間が減る訳だし………………まあ、学園のダンジョンはいいか。マウマウ先生の言葉通りなら今でも十分っぽいし。それなら妹と過ごす時間の方が大事である。
「となると、俺は特に準備するようなことはないな。サーフェは何か準備するのか?」
「俺か? 一応、師匠が今の俺に合う武器は用意するって言ってたから……まあ、防具くらいは次の休みの日にでも見に行こうかと思ってる。安くていいのがあれば、ちと考えるかな」
「防具か……俺も一緒に行っていいか? 買う気はないけど、どんなのがあるか興味がある」
「ああ、いいぜ。一緒に見に行くか」
「ナリはどうする? 参加しないけど、見に行くか?」
「……(こくこく)」
一緒に行く、とナリが頷く。次の学園が休みの日。三人で出かけることになった。




