表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/287

頭が真っ白になる時だってある

 おっちゃんと共に魔障治療薬を作り、妹を救った。マウマウ先生と約束したので、その日の内にエリアスト王立学園へと報告しに行った。まあ、気が付いたらお昼過ぎだったので、ある意味休んだようなものだが。ともかく、マウマウ先生に報告すると喜んでくれた。その日は会えなかったので、翌日にサーフェ、ナリ、タオにも、もう妹が大丈夫なことを伝えると、同じように喜んでくれる。ただ、魔障治療薬を飲んで直ぐ治る訳ではないというか、発症して直ぐならまだしも、それなりの期間苦しんで消耗した分、完全回復するのに少し時間がかかるようだ。まあ、もう魔障で苦しむことはない。ゆっくりと回復していけばいい。


 という訳で、魔障治療薬ができた以上、もうエリアスト王立学園に行く必要はなくなった。でも、今も行っている。俺としてはもう行かなくてもいいというか、行かずに妹の側に居たいのだが、その妹から「毎日見なくても大丈夫だから行きなさい」と言われたというか「さすがに毎日付きっきりはちょっと……」と完全にウザがられる前に行くことにしたのだ。妹に嫌われる訳にはいかない。それと、学園のダンジョンも入る必要がなくなったというか、精々魔蜂たちの様子を時々見に行くくらいで大丈夫だと思っていたのだが、今も入っている。


 マウマウ先生にお願いされた『簡易版魔力補充式転移魔石』を複数個作って渡した時に、魔障治療薬に必要な素材――特にミノタウロス素材を集めて欲しいと依頼されて受けたからだ。だって、その、依頼主がこの国というか王さまかららしく、それが事実っぽいので断れなかったのである。仕方ない。もちろん、一旦お断りというか、どうして俺に? と思って尋ねると、なんでも学園のダンジョンの地下31階以降に行ける人たちの大半が王都を出たので、俺にも協力して欲しいということだった。なんでそんなことに? と聞けば、地下37階で見つけた例のミノタウロス出させないぞ祭壇と魔法陣がエリアスト王国内の各所にあるので、そこを潰しに向かったからである。「星の輝き(スターライト)」もそっちに行ったそうだ。


「え? マウマウ先生は行かなくていいんですか?」


「祭壇と魔法陣についてはしっかりと説明していますし、『星の輝き(スターライト)』や他の任せられた人たちなら大丈夫です。上手く処理してくれますよ。それに、私は一年Eクラスの担任です。受け持った生徒を長期間置いておくなどできません」


「………………」


「本当ですよ!」


 別に疑った訳ではないが、マウマウ先生は何故か慌てていた。ともかく、学園のダンジョン地下31階以降にソロで行ける俺にもお鉢が回ってきたという訳である。いや、当初は乗り気ではなかったというか、それよりも妹の側にと思ったのだが、その妹から「私と同じように苦しんでいる人たちを助けて欲しい」とお願いされたから行くことにした。「頑張って」とも言われたので、やる気は十分。ミノタウロスを倒しまくって納めまくった。


 そんな訳で、魔障治療薬を作れる人もそこまで多くないということと、妹がもう治ったということもあって、おっちゃんにもお鉢が回って最近は少し忙しくしている。一緒に乗り切ろう、と互いに称え合った。


 そうして、エリアスト王立学園に行き、ダンジョンに入ってから帰る、とこれまでと同じように過ごし、妹が治った今心持ちは晴れやかな日々を過ごしていく。そんな中、マウマウ先生から呼び出しを受ける。


「大っぴらに会うと色々と面倒なことになりかねませんので、秘密裏にアルンくんに会いたい人が居ます」


「誰ですか?」


「この場では言えません」


「……なら、どうして俺に会いたいと?」


「アルンくんがこれまでに伝えてくれた情報で色々と助かったため、そのお礼がしたいそうです」


 ピンとこないので誰かはわからないが、マウマウ先生は会って欲しそうだったので会うことにした。


 王さまでした。この国の。


 そのことを受け入れるのに時間がかかり、受け入れたとしても緊張でカチコチだったのでよく覚えていない。微かに、「全適応」さんから得た情報で国として色々と助かったらしいことと、『簡易版魔力補充式転移魔石』についてのお礼ということで、褒賞を与えたい云々……だった気がする。細かくは覚えていられなかった。とにかく、王さまと会っている間は頭の中が真っ白だった。何も考えられず、褒賞についても何も望むものはあるかと問われたと思うが答えられずに終わる。微かな記憶が確かなら、一旦持ち越しというか、何か望むものが決まったら、マウマウ先生に言えばいいということになった。そういえば、マウマウ先生と王さまの距離感がなんか近かったような……いや、微かな記憶だから気のせいだな。


 王さまとの面会が終わって帰ると、おっちゃんが温かく出迎えてくれた。何か思うところがありそうだったが、聞かない方がいい気がしたので聞かないでおく。きっとこれが正解。


 そんなことがあったが、概ね平和な日々を過ごし、定期的にある学園の筆記試験は平均点以上でどうにか乗り越えることができて、その後の夏の長期休暇では妹とおっちゃんと一緒に過ごすのはもちろんのこと、時々サーフェやナリと一緒に遊んだり、長期休暇でも関係なくほぼ毎日のように来るタオの相手をしたりもした。そうしている内に夏の長期休暇は終わり――エリアスト王立学園の新学期が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ