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駄目にしない方が大変な時だってある

 時はアルンがマウマウたちを見送った後に遡る。


     ―――


 ミノタウロス探しのために来た道を戻り、ボスの居なくなったボス部屋に入った時に気付く。というか、思い出した。


「あっ、そうだ。『簡易版魔力補充式転移魔石』があったんだった。地下31階以降に居るのは俺だけっぽいし、もう好きなだけ使ってもいいよな」


 使って地下39階へ。


     ―――


 地下39階


自動地図化(オートマッピング)」で確認しながら、できるだけ行っていない場所を目指して駆け回る。魔物は居るが、ミノタウロスは居ない。まだ出ていないようだ。まあ、先ほど確認したばかりだし、出ていなくてもおかしくないか。


 ………………。

 ………………。

 ミノタウロスが出るようになったことで少し気が逸っていたようだ。大きく深呼吸して自分を落ち着かせる。「気配察知」でしっかりと周囲を探ると……周辺に居る魔物よりも強い反応を感じ取った。ミスリルゴーレムではない。二回遭遇して「気配察知」でどのように感じ取れるかはわかっている。つまり――これはミノタウロスで間違いないはずだ。大急ぎで感じ取った場所へと向かう。別に誰かに取られる訳ではないと思うが、それでも急いだ。気が急く。それでも、「自動地図化(オートマッピング)」を頼りにどうにか辿り着くと、そこは大部屋で、中にミノタウロスが居……居………………あれ? ミノタウロスっぽく見えるけれど、何か違和感がある。なんというか、こう、思っているよりも大きいし、肌が赤黒い。何か見覚えもある。


「ブモモモモッ!」


 俺を見て咆哮を上げてきたが、どこか聞き覚えがある。「全適応」さん、これってもしかして……。


《――以前得た経験から、対象はミノタウロス(希種)であると断定します――》


 だよね。そうだと思った。ということは、必要な素材として使えないということだ。大きく息を吐く。


「はあ……お前じゃない! ミノタウロスになって出直してこい!」


 当初は「全適応」さん覚醒前だったので何にも適応しておらず、ただやられていっただけだったが今は違う。試しに赤黒いミノタウロスの攻撃を受けてみたが少しも痛みを感じなかった。以前は倒すのも苦労したが、今回は全力の拳を顔と腹に一発ずつ入れて倒すことができたので、自分の著しい成長を感じる。……いや、成長を感じるではないんだが。俺の成長は今どうでもいい。問題はミノタウロスが見つからないことだ。普通の。そう、普通のミノタウロスが。赤黒いミノタウロスは念のため回収して、ミノタウロス探しを再開する。でも、地下39階では見つけられなかったので、『簡易版魔力補充式転移魔石』を使って地下38階へ。


     ―――


 地下38階


 できれば、この階で見つけたい。地下36階と地下37階は腐臭がするし、マウマウ先生が居ない今だと消臭と防臭ができないからだ。地下31~34階は広過ぎるし……うん。やっぱりこの階でどうにか。お願いしたい。気合を入れて探す。……気合でどうにかなるとは思わないが。でも、このままだと明日は徹夜で学園に登校することになるな。徹夜か……まあ、いけるな。でも、一応確認。「全適応」さん。徹夜に適応ってできる?


《――何事も経験です。一徹くらいでは適応は難しいでしょう。ですが、三徹して限界を超えて四徹に突入すれば、あるいは一度で適応する可能性はあります――》


 うん。今日は無理ということだけでもわかれば十分。ミノタウロス探しを再開。


 ………………。

 ………………。

 駄目だ。見つからない。本当に、魔物は居るのにどうしてミノタウロスだけ……。大きく息を吐き、肩を落とす。赤黒いミノタウロスが出たのだから、普通のも居るはずなのに……。少し落胆したことで気を抜いてしまった。「気配察知」で確認していたつもりだったが、曲がり角を曲がった時に何かと衝突する。


「失礼」


 思わず口にする。


「ブモ」


 向こうからも似たようなニュアンスが返される。そのままお互い右に避けて、交差して通り過ぎて――。


「ん? ブモ?」


 振り返った先に居たのは、分厚い筋肉の肉体を持つ人身牛頭の魔物。ただ、これまで見てきた赤黒いミノタウロスほどは大きくないというか、そもそも赤黒く……はない。茶色だ。なんだ。普通のミノタウロスか。……普通のミノタウロス? 普通のミノタウロス!


「見つけたあ~!」


 逃がしはしないと襲いかかる。普通のミノタウロスは俺の速さに対応できていない。一瞬で距離を詰めて、拳を握って全力を放――ちょっと待った。一旦距離を取る。そこまでやってから普通のミノタウロスは俺に対するように拳を放って空振った。ふぅ。危ない。いや、普通のミノタウロスには何の脅威もない。感じない。今危なかったのは、全力の拳を放って普通のミノタウロスを爆散させてしまいかねなかったことだ。爆散だと必要な素材が駄目になってしまうかもしれない。丁寧に倒さないと。


「それじゃあ、できるだけしっかりと形を残して倒さないとな」


 もう普通のミノタウロスは敵ではない。必要な素材を駄目にしないように、かなり気を遣って丁寧に普通のミノタウロスを倒した。

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