もうそれは見た、という時もある
マウマウ先生、「星の輝き」と共に地下40階の転移魔法陣を目指す。地下30階の転移魔法陣でないのは、ここからだと地下40階の方が近く、早く着くからだ。
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地下38階
地下37階からは直ぐ下りた。寄り道はせず、一直線に。防臭の魔法はかけられているけれど、やはり長居はしたくないからだ。満場一致の意見である。俺としても腐臭の付いたミノタウロスはちょっと……ね。だから、本格的なミノタウロス探しはここからだ。マウマウ先生と「星の輝き」も先を急ぎたいと思うのだが、「これくらいは許容範囲内です」と探すのを手伝ってくれることになった。ありがたい。少し遠回りしながら、地下39階への階段を目指す。だから、お礼という訳ではないが、俺が「全適応」さんから教えてもらった現状の情報を話した。マウマウ先生は前のこともあって知っているので驚くようなことはなく、情報をしっかりと覚えることを意識していた。問題ない。でも、「星の輝き」からすれば初見である。話している間は、ぽかーん、と口を開けていて、話し終わると「ゴルブルワ帝国? どうしてそこまでわかる! それは本当のことなのか!」と色々詰められそうになったけれど、マウマウ先生が「知ると色々と面倒になるかもしれませんよ? それと、このことを話すともっと面倒になります。アルンくんについてはそういう子、ウルケストくんに任せておけばいい、くらいで留めておくのが安全ですよ」と言うと、すん……と大人しくなった。なるほど。これが大人の処世術というヤツか。……でも、俺ってそんな面倒な存在なんだろうか? 否定したくなるが、その前に一つ。先ほど「星の輝き」に詰め寄られた時、お尻を撫でられた気がする。位置的に居たのは神官のリースアさんだが……追及するのは止めておこう。危険な気がする。
ともかく、伝えられることは伝えたので、後はミノタウロス探しに集中したのだが……残念ながら見つけられなかった。地下39階への階段に辿り着いたので下りる。
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地下39階
………………。
………………。
魔物は居る。そう、魔物は居るのだ。「気配察知」も全力で使って魔物を探しているのだが、中々ミノタウロスにぶつからない。
「……これ、本当に出現するようになっているんですかね?」
「そのはずです。まあ、ダンジョンのボスを倒した後に直ぐ出現しないのと同じで、封印を壊してまた出現するようになったとしても、実際に出現するには少し時間がかかるのかもしれません」
マウマウ先生の答えに、なるほど、と思う。今日はもう無理かもしれない――と思ったところで、「気配察知」が強い気配を感じる。いや、実際に俺から見て強いかどうかではなく、他のと比べて強い気配ということだ。これは、当たりか――と向かった先に居たのはミスリルゴーレムだった。
「お前じゃねえんだよ!」
全力の拳で即座に砕き倒した。「星の輝き」から「お~」と拍手される。ども、ども。回収できるだけ回収して、先へと進む。
………………。
………………。
結局、見つからないまま地下40階への階段に辿り着いた。マウマウ先生が言ったように、出現するまでに少し時間がかかっているのだろう。きっと。まあ、俺はダンジョンに残るし、マウマウ先生と「星の輝き」を見送った後なら、出現するのにいい時間になっているかもしれない。そこに期待しよう。地下40階へと下りる。
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地下40階
この階に居る魔物はボスだけである。通常でミノタウロスが居ない以上、ボスに期待……いや、通常はライオンキメラだし、レアボスであっても普通のミノタウロスとはならないだろう。つまり、マウマウ先生と「星の輝き」を見送った後、俺はここから引き返すということだ。でも、やっぱり期待してしまうもの。レアボスで、お供にミノタウロスが居ないかな? というか、そもそもボス再出現しているのかな? と思いながらボス部屋に入ると……ライオンキメラが居た。
「だから、お前じゃねえんだよ! もういいんだよ!」
全力の蹴りを放って即座に倒した。「星の輝き」から「おお~」と拍手される。先ほども似たようなことをやったので特に思うことはない。回収だけして、ボス部屋の奥の部屋へ。マウマウ先生と「星の輝き」が転移魔法陣の中に立つ。
「いいですか、アルンくん。確かにアルンくんの強さなら大丈夫だろうと、一晩だけですし単独行動は許可しましたが、決して無理無茶はしないようにしてください。それと、報告は必要です。どのような結果になろうとも、明日一度学園に来て報告しに来てください。いいですね?」
「わかりました」
マウマウ先生の言葉に、力強く頷く。それで完全に安心はしないと思うが、「それでは、また明日学園で会いましょう」とマウマウ先生が口にした瞬間――転移魔法陣が発動してマウマウ先生と「星の輝き」の姿が俺の前から消える。そうして見送った後、ミノタウロスを探すために来た道を戻っていった。




