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落ち着くまで時間が必要な時もある

「レ……ヒ、ヒ……ヒュゥ……」


 最後によくわからない声を上げて、デスレイスが消滅した。一緒に「罠感知」の感知も消える。う~ん。「星の輝き(スターライト)」がかなり警戒していたが、俺としてはそこまで強いとは思わなかった。まあ、デスレイスは鎌を持っていても魔法主体のようで魔法を使おうとしていたのだが、その前に俺がボコしただけなので総合的な判断は……いや、そもそも前提が違うのか。殴る蹴るといった直接的な攻撃が通じないのであれば、俺でも脅威を感じる相手だったと思う。でも、直接的な攻撃が通じるのであれば、そこまで脅威ではない、かもしれないといったところだ。……待てよ。デスレイスが魔法主体だったのなら、適応しておけば良かった? もしかしてMPアップチャンスを逃した?


《――適応していませんので一概に言えませんが……否定はしません――》


 だよね。……はあ。まあ、もう終わったことだ。どうしようもない。まだ何かしらの機会があるさ、と今は悔いるのを止めよう。


「終わりましたー!」


 少し離れた位置に居る、マウマウ先生と「星の輝き(スターライト)」に声をかける。最初、動きは止まっていたのだが、直ぐに動き出す。


「あんな感じで倒せる魔物では……まさか、ここまで強く……さすが、私が受け持つ生徒ですね!」


 マウマウ先生がない胸を張る。それは、遠回しに自分が凄いと言っていないだろうか?


「なんだろう……甥っ子が頑張った姿を見て感動したみたいな気持ちに……」


 リーダーのマックスさんが目頭を押さえている。おっちゃん繋がりの感情かもしれないけれど、多分その気持ちは違う。錯覚だ。甥ではない。


「何故かはわからないけれど、ウチの甥っ子が凄かった、みたいな衝動が……」


 剣士のソーレさんもリーダーのマックスさんと似た気持ちを抱いている気がする。だから、何故そう……ははぁ~ん。さてはリーダーのマックスさんといい仲……いや、深くは問うまい。


「……へっ。やるじゃねえか。そうでなけりゃよ」


 武闘家のモルフさんが鼻の下を擦りながら嬉しそうに言う。なんかこう、ライバルはそうでなければ、みたいな雰囲気だ。ライバルになった覚えはない。


「……私の弟子が最強だった件について」


 魔法使いのウィナさんが自慢げな表情で俺を見ている。……いや、もしそれが俺だとして、あなたの弟子にはなっていない。そもそも、俺は魔法使っていませんよ。


「……若いツバメを手に入れる絶好の機会かしら」


 神官のリースアさんが微笑みを浮かべているが、危険な気がする。一番危ないとも思う。気が付いたら事後で外堀を埋められていてどうしようもなくなっていそうな……いや、さすがにそこまでは………………うん。今後迂闊に近付かないというか、安易に二人きりにならない方がいい気がした。


「とりあえず、正気に戻ってください」


 なんとなく気が動転してそうなので一声かけて、皆の気が落ち着くまで待った。


     ―――


 「「「「「「……はっ!」」」」」」


 正気に戻った合図の声が同時に聞こえた。見た感じ、もう大丈夫そうである。「気が動転していました。すみません」とマウマウ先生を皮切りに「星の輝き(スターライト)」も「もう大丈夫だ。すまなかった」と言ってくれた。問題はないと頷きを返す。


 その後、武装したゾンビとミイラについては、マウマウ先生がこちらで調べておきますと自前のマジックバッグに入れる。後は祭壇だ。


「アルンくん。祭壇を壊しちゃってください」


「俺でいいんですか?」


「ええ。構いません。スカッと一発気持ちいいのでお願いします。ああ、下手に残すと効果が残るかもしれませんので、きちんと壊してくださいね」


「わかりました!」


 思いっきり殴る。祭壇は跡形もなく壊れたというか、消し飛ばしたかのように粉々になった。ふぅ。スッキリ。マウマウ先生もスッキリしたのか、俺に向けて親指を立てて見せる。残るミノタウロスの牙や骨は俺が貰った。欲しいのはミノタウロスの肝なので、正直に言えば要らなかったのだが、マウマウ先生も「星の輝き(スターライト)」も俺がもらうべきだと譲らなかったので貰うことにしたのだ。まあ、「アイテムボックス」の中で眠るか、おっちゃんに渡すかになるだろう。


 ともかく、これでミノタウロス出現を封じるものはなくなった訳だ。


「マウマウ先生。これでミノタウロスが出てくるようになったということですよね?」


「ええ、そういうことです」


「それじゃあ、探しに行ってもいいですか?」


「そうですね……まあ、アルンくんなら一人にしても大丈夫でしょう」


 一人? どういうことか尋ねると、マウマウ先生としては今直ぐ戻ってこのことを報告したいそうだ。確かに報告は大事。けれど、俺の妹を救いたい気持ちもわかる。だから、俺を一人でここに残すことを決めたそうだ。でも、俺一人? 「星の輝き(スターライト)」は?


「報告に連れて行きます」


「「「「「え?」」」」」


 初耳だったようだが、マウマウ先生が一睨みして「星の輝き(スターライト)」を黙らせた。明確な力関係が構築されているようである。マウマウ先生と「星の輝き(スターライト)」は、地上へと戻るために地下40階へと向かう。俺もそれに同行することにした。運が良ければ、それでミノタウロスを見つけてそのまま帰ることができる。

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