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思っていたよりもサクサク進む時もある

 地下31階


 階段を下りると大扉があって、それを開ける。風が吹き抜けてきた。そして、大扉の向こうへと視線を向けると――キラキラと星が輝く夜空と、真っ暗であまり先が見えない草原が映る。


「……草原?」


「はい。その通りですよ、アルンくん。地下31階から地下35階の一部までは草原が広がっています。また、今は夜の時間なので暗闇が広がって先が見えないと思いますが、そもそも大半が草原で目印となるようなものがあまり点在していません。先達が棒や旗といった目印となるようなものを地面に突き刺したりといったことも行われましたが、ここはダンジョンで魔物が徘徊していますから、基本的に潰されてしまい、あまり意味を成しませんでした。また、階段の位置を知っていたとしても、魔物との戦闘などによって少しでもズレれば到達することは難しく、非常に迷いやすいのです。それが、ここから先に進める者が限られている要因の一つとなっています」


「なるほど。物知りですね」


「先生ですからね」


 そうでした。普段の授業の時よりも生き生きしているから、ちょっと忘れていた。でもまあ、俺には「自動地図化(オートマッピング)」があるから、目印があまりない草原であっても道に迷うことはないと思う。ただ、問題がない訳ではない。


「ここはずっと夜なんですか? マウマウ先生」


「いいえ、違います。地上の時間と連動しています。今は丁度夜なので、夜空が広がっているのですよ。どうしますか? 万全を期すのであれば、夜が明けるまで待つのもいいと思いますが?」


「そうですね………………あれ? 俺が決めるんですか?」


「ええ。教職員として補佐や提案、助言はしますが、アルンくんが決めてください。その方が、アルンくんは動きやすいと思いますから。何より、アルンくんは単独(ソロ)でここまで来ていますからね。ここで下手に私が介入して指示を出すよりも、好きにさせた方がいいと思ったのです。あっ、相談はいつでも受け付けますよ」


「わかりました。ありがとうございます」


 なら、好きにさせてもらおう。となると、今の問題は夜でも進むかどうかだ。……普通は進まない。視界不良で全方位から魔物に襲われる可能性もあるのだから。でも、俺には「全適応」さんが付いている。直ぐではないかもしれないが、夜でも問題なく進めるようになると思う。となると、問題はマウマウ先生が夜でも進めるかだが……早速相談。……ふんふん。なるほど。魔法で視界は夜でも確保できる、と。……それでそれで……階段の場所もわかる。でも、夜だからズレる可能性もある、と。……ふむふむ。ついでに魔物との戦闘は……ある、と。どうしたものか。俺一人なら迷うことなく進むところだが、マウマウ先生が居るから……。


 うんうん、と悩んでいると、マウマウ先生が苦笑を浮かべる。


「進みたいけれど、私を気遣って悩んでいるようですね。私の方は問題ありません。簡易結界も張れますし、魔物の襲撃があったとしても先手を取られるようなことはありませんから。進みたいのなら進んで構いませんよ。それと、一つ助言をするのなら、まずは地下35階を目指すべきです」


「拠点を目指す、ですか? でも、そこにも人が居るんですよね?」


「大丈夫ですよ。ここまで来たのなら、アルンくんも見知っているはずです。そもそも、ここまで来れる者は少なく、ここより先に行ける者は限られています。地下35階の拠点に補給を出している商会もありませんので基本的に無人の休憩所ですから、誰かに見られる心配は考えなくてもいいです。何より、ミノタウロスの目撃情報が多いのは地下36階からなので、当面の目標とするのがいいと思います。もちろん、それまでに見かければ優先して倒しますが」


「……わかりました。まずは地下35階の拠点に向かいますので、案内をお願いします」


「ええ、案内します。離れず、しっかり付いてきてくださいね」


「はい」


 マウマウ先生は自らに魔法をかけて、迷いのない行動で草原の中を進んでいく。マウマウ先生曰く、闇夜の中でも真昼のようにしっかりくっきり見えているそうだ。その後に付いていく。マウマウ先生は俺にも魔法をかけようとしてきたが、この状況に適応するために断った。でも………………う~ん。真っ暗。何も見えない。目の前のマウマウ先生しか見えない。ついでに、魔物も見えない。気配は……感じている。でも、姿は見ていない。襲いに来ていない訳ではなく、姿が見えるまで近付かれる前に、マウマウ先生が魔法を放って倒しているからだ。こちらに近付いてくる気配が消えていっているので間違いない。


「……マウマウ先生。これ、何が近付いて来ているんですか?」


「地下31階の魔物の基本は狼系統です。魔物ですので人よりも体躯が大きく、脚が六本で、火を吐いてきたりと、色々普通ではありませんが、まあ魔物ですからね。そういうものです。ああ、偶にですが氷の礫を吐くのも居ますね。見た目はまったく同じで吐いてくるもの以外で見分ける方法はありませんから注意が必要です」


 生徒に物事を教えるように答えてくれる。あっ、先生だったな。そんなマウマウ先生はズレることなく一直線に進んでいたようで、進んだ先に一部屋分くらいしかない小さな神殿があった。そこに地下32階への階段があったので下りる。

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