表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/287

チラッと黒いことを考える時だってある

 マウマウ先生は明日のための準備があると早々にどこかに行ったので、時間ができた。学園のダンジョンに籠る本番は明日となったが、こちらの準備は万端。やることがない……なんてことはない。それならそれ。今日も学園のダンジョンに行って、ハイ・オーガを探そう。ついでに『簡易版魔力補充式転移魔石』も学園のダンジョン内で使えるか試しておこう。……あっ、そうだ。『簡易版魔力補充式転移魔石』のことを、マウマウ先生に話すのを忘れていた。……マウマウ先生がどこに行ったかわからないし、明日地下15階で合流する訳だし、その時でいいか。とりあえず、まずは学園のダンジョンである。


     ―――


 地下30階


 という訳で、来ました。地下30階。早速『簡易版魔力補充式転移魔石』を使えるか試す。向かう先は、ハイ・オーガが居るとされる地下28階。いざ――。


     ―――


 地下28階


 来れた。地下27階へと上がる階段前に着いた。「自動地図化(オートマッピング)」で確認できるから間違いない。使えるようで何よりだ。魔石から感じられる魔力的に、一人であれば往復できそうである。それだけではない。魔力補充の速度が凄く速い。多分地上と違ってダンジョン内は周囲の魔力が濃いのだろう。これなら一度使い切ったとしても、直ぐ魔力が補充されて使えるようになりそうだ。試して良かった。


 さて、『簡易版魔力補充式転移魔石』が使えることがわかったので、次はハイ・オーガ探しである。今日こそ見つけてみせる。


 ………………。

 ………………。

 くそっ。見つからない。いや、正確には居ることは居たと思う。それらしいのと二回も遭遇した。でも、どちらも既に冒険者パーティと戦闘中だったのだ。だから、それらしい。しっかりと確認できていない。しかも、冒険者パーティの方が優勢で形勢が逆転しそうになかった。いや、別に冒険者パーティが負けろとか不利だったら介入できるのにな、とか思ったりは………………まあ、少しは思ったけど、それでもこればかりは仕方ない。早い者勝ちだ。俺が上手く遭遇できていないだけ。残念だ。


 これまではボス部屋を通過しないといけなかったが、『簡易版魔力補充式転移魔石』で転移魔法陣がある部屋まで転移する。そこで気付いた。確かに便利な移動方法だが、この移動方法だと転移した先に人が居るかどうかわからない。これだと、転移した先でバッタリ、なんてこともあり得る。今の俺は目立たないように行動しているのだから、誰かに見られてはいけない。でも、使わないのももったいない。気を付けて使っていこう……どう気を付ければいいのかわからないけれど。時間も時間なので転移魔法陣で地上へと戻り、家へと帰る。『簡易版魔力補充式転移魔石』で一気に……と思ったが、エリアスト王立学園を出てから人の目がなくなる場所で使おうと移動している間に家に着いていた。使うタイミング……難しいな。


     ―――


「ただいま」


「おかえり」


 おっちゃんはもうリビングに居た。タオは帰ったようである。一息吐いてから、おっちゃんに明日からダンジョンに籠ること、マウマウ先生が協力してくれることを話す。下手に知らない担当者になるより全然マシだと、おっちゃんは満足げだ。それと、『簡易版魔力補充式転移魔石』のダンジョン使用についても話した。魔力補充速度が地上に比べて速いことは、おっちゃんもある程度予測していたようで驚くことはなかったが、階を跨いで転移移動できることは少なからず驚いていた。まあ、行きは知らない場所だから使えないが、帰りは知った場所なので使えるし、今回みたいに戻る時にボス部屋を通らなくてもいいのは、時間的に助かるのは間違いない。


「でも、マウマウ先生に言いそびれてしまって……」


「そ、そうか……」


 互いに何とも言えない表情を浮かべる。


「ま、まあ、元々事後報告みたいなものだし、明日でも大丈夫だろ。今日話し忘れたことを怒ることはない……はずだ」


「だ、だよな」


「「ははははは……はあ……」」


 リビングに乾いた笑いが響いた。その後、妹の様子を見に行く。部屋に入ると、妹はベッドの上で横になっていたが、起きていたようで身を起こそうとする。その様子は非常に弱々しかったので駆け寄り、支えとなった。


「無理はするな」


「ん、ごめん。でも、お兄ちゃんと話すの久々だったから」


 妹が笑みを浮かべるが、その笑みも弱々しい。早く元気にしてやりたいと改めて思いつつ、ここ最近の出来事を妹に話して聞かせる。「私は壁(背景の一部です)」と「俺は床(構わず踏んでいけ)」については実演もしてみて、そんなのあるんだと可笑しそうに笑っていたので、少しでも元気が出たのなら獲得した甲斐があったというものだ。


「でも、残念。体が元気だったら実際にお兄ちゃんを踏んでみて感触がわからないか確かめたのに」


 ……お兄ちゃん、妹の未来を心配してもいいだろうか?


 それと、明日から最長で二泊、ダンジョンに籠ることも伝える。


「……私のためだってわかるけど、無理はしないでね」


「大丈夫だ。今のお兄ちゃんからすれば無理は無理じゃないから」


 問題ない、とグッと親指を立てて見せる。それで安心したのと、長話で疲れたのだろう。その後は横になって妹は眠る。寝顔をジッと見るのは失礼だが、それでもしっかりと見て決意を固めた。明日からの学園のダンジョン二泊で、必ずハイ・オーガとミノタウロスを見つけ出してみせる、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ