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事前の準備を怠ると、後々大騒動になることもある

 転移魔法陣で地上へ行き――もう一度戻る。忘れ物をした訳でも、普通ではないクリスタルゴーレムと再戦する訳でもない。まあ、そもそも普通ではないクリスタルゴーレムはレアボスなので、再戦しようと思ってできる存在ではないが。そうではなく、今の俺の姿は不味いと思ったからだ。簡単に言えば血だらけに見える。いや、まあ、傷自体はもう塞がっているので問題ないが、血だらけに見えるような状態の服を着ていることが問題なのだ。このまま外に行けば人を呼ばれるの待ったなし。どうしてこうなったと根掘り葉掘り聞かれて誤魔化すのも面倒。余計な目立ちは不要。それに、俺は学習した。これも適応したと言うべきだろうか。こんなこともあろうかと、「アイテムボックス」の中に新しい服を入れておくことにしたのだ。これで大丈夫。パパッと着替えて、脱いだ服は「アイテムボックス」に入れて証拠隠滅。パッと見で問題ないことを確認してから、再度転移魔法陣を使う。


 転移魔法陣がある部屋から外に出ると、当然見張りの兵士二人が居た。知らない顔だ。当然、向こうも俺を知らない。ただ、少し驚きの表情を見せた後、そういうこともあるかと納得するような顔に変わる。多分、まだ生徒が学園のダンジョンに入っていたのが居たのか、から、出るのに少し手間取っただけだろう、と自己完結した感じである。となると、今は普段生徒が帰る時間から少し外れたくらい、といったところか。……俺の体内時計もそれくらいと告げている。お腹減った。でも、兵士二人が俺を見る目はそれくらいである。着替えていて良かった。兵士二人にご苦労さまですとぺこりと頭を下げて、砦の外へ。真っ暗な空の中で光る星が綺麗だ。今日の目的を達成したからか、より輝いて見える。


 ………………。

 ………………。

 帰るか。


     ―――


 家に到着。タオはもう帰っている時間だろうから……やはり、おっちゃんはリビングで寛いでいた。


「ただいま」


「ああ、おかえり~……いつもより遅かったな。なんか手間取ることでもあったのか?」


「まあ、地下30階までわりかし順調に進めたが、最後の最後でレアボス引いて、それに少しな」


「そうかそうか、それは大変だっ………………地下30階? レアボス? え? もう? なんかそんな話していたけれど、もう? 早くない?」


 おっちゃんが覚醒した。そう言ってもおかしくないくらい、おっちゃんは目を見開いて俺を見る。頷きを返す。なんも間違っていないから。詳しく聞きたそうにしているが、まずは妹の様子を見てきたい。絶対救ってみせると明日への活力になる。


「今は眠っているから、そっとな」


 俺がそうすることはおっちゃんも知っているので注意が入った。わかっている。人の気配って案外感じるからな。妹の様子を見に行く前に、俺はまだ完全に回復していないことをおっちゃんに伝えて回復薬をお願いする。おっちゃんが心配そうに尋ねてくるが、今は問題ないと態度で示してから、リビングを出て妹が寝ている部屋へ。そっと扉を開けて確認。……そっと閉じる。穏やかに眠っていた。呼吸は乱れていない。ホッと安堵の息を吐く。リビングに戻ると、おっちゃんが回復薬を数本用意してくれていたので、それを飲みながら妹の様子について聞く。


「今日は少しばかり起きたが、大半は眠ったままだ。それだけ消耗が続いているので依然として予断は許されないが、俺も居るし、まだ挽回は効く。ただ、タオ・マージク製の魔力回復薬を飲む量が昨日よりも増えている。このまま量が増え続けると、いよいよもって命の危機に直結する」


「ああ、わかった。その前にどうにかする。そのために、今日は地下30階まで一気に行ったんだからな」


「そうか……そうだよな。スキル『全適応』を疑う訳ではないが、さきほどの返答といい、アルンはソロだろう? 大丈夫なんだな?」


「大丈夫だ。より大丈夫になった」


 グッ! と親指を立てて返す。その後、地下30階までの話と、レアボスとの戦いについて話した。地下30階まで行ったことは凄いと褒めてくれた。えへへ。ハイ・オーガに出会えなかったことは残念がられて、「……まあ、そういうこともあるよな」と慰められる。うんうん。あるある。自分でも慰めておく。運良く出会えるかは本当に運次第だ。 新たなスキル「私は壁(背景の一部です)」と「俺は床(構わず踏んでいけ)」に関しては、何故か一回では理解されなかったようで、「……もう一回言ってくれ」と頼まれる。スキル名も含めて意味わからないよな。その気持ちはわかる。なので、実演付きで説明すると、おっちゃんはしばらく黙ってから「………………悪用はしないように。信じているぞ。本当に信じているぞ。アルンを信じているからこそ、二回言ったんだからな」と念押しされた。もちろん、悪用するつもりはないが……それ、本当に信じている? あと、おっちゃんによると、地下30階の通常ボスはアイアンゴーレムとアースゴーレム二体らしい。そっちだったら楽だったな。それで、普通ではないクリスタルゴーレムについては、その強さよりも素材がほぼ丸ごとあることの方におっちゃんは頭を抱えた。希少価値が崩れる云々と、色々と考えることがあるらしい。大人って大変だな。

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