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行きたいところにはそう簡単に行けない時もある

 地下26階


 これまでと同じく神殿内部。うん。だろうなって思っていた。10階区切りで変わっていたからね。ここも当然である。拠点を越えたからといって、何かが変わる訳はない。いや、変わったことがあった。人の気配を感じない……そうでもなかった。少し進めば、遠くの方で一パーティくらいは感じ取れる。でも、それくらい。他にはない。地下24階までと比べて、地下26階以降に進む人は極端に少なくなるようだ。まあ、それだけ危険だということだろう。魔物がより強くなったか……あるいは殺傷性の高い罠が豊富なのか。


 魔物の気配を感じ取ったので、試しに戦ってみる。相手は初見。鎧を身に付けたスケルトン。武器は剣。盾持ち。筋肉がないくせに素早い動きで襲いかかってきた――ところにカウンターで拳一発。どれだけ強いのか測るために割と本気で殴り――なんでもないように拳は鎧を貫いて、パーン! と鎧スケルトンは砕け散った。いやいや、これは測ったとは言えない。偶々。そう、偶々この鎧スケルトンが弱いというか、鎧と骨に耐久力がなかっただけ。この一体を倒しただけで、余裕だな、と思うのは危険だ。「気配察知」で他の魔物を探り、戦ってみる。


 ………………六枚羽の大蝙蝠。何やらうるさかったのでワンツー。地に落ちた。


 ………………二首二尾の大蛇。踏みつけた後、締め上げた。ダウンした。


 ………………大きいゴーレム。材質が土だったのか殴れば勘単に砕けるくらい脆かった。土に戻った。


 うん。何度か戦ってみたが、大丈夫そうだ。確かに魔物の強さは上がっているが、今のままでも十分に通じる。適応できている。つまり、魔物は問題ないということだ。一気に強くなるとかない限りは、このまま地下30階まで十分通用すると思う。……真っ黒な巨大魔蜂みたいな異常な強さを持つ魔物(イレギュラー)でも出ない限りは。


 となると、注意すべきは罠の方か。まあ、「罠感知」がある。事前に感知できるのだから、罠に引っかからなければいいだけだ。余裕。余裕。……そう思っていた時期が俺にもあった。いや、余裕なのは間違いない。ただ、「罠感知」について不便なことが一つあった。感知はする。そこの壁の出っ張りとか、床の一部の凹みとか、その場に罠が仕掛けられていることはわかるのだ。ただ、それがどういった種類の罠を発動させるのかがわからない。さっぱり。いや、考えてみれば当然というか、スキル名が「罠感知」であるように「罠を感知する」だけ。これで、「罠把握」とかそういう罠の種類がわかるのがあれば、かけ合わせることでより利便性は増したかもしれない。……まあ、罠なんて動かさない方がいいものだし、感知するだけでも十分と言えば十分なのだが……ただのないものねだりである。


《――ですが、罠の中には、違う場所へと強制的に移動させる転移系のものもあります。それを使い、運が良ければ……この場合は運が悪ければ、でしょうか? どちらにしろ、何階かすっ飛ばして一気に地下30階、なんてことも起こり得ます――》


 非常に魅力的な案だ。「全適応」さんからの誘惑一杯。是非ともその転移系の罠に引っかかりたいところだが……まず、それがどの罠かわからない。でも、それって下手をすれば戻る――地下20階とか地下10階とかにも転移する可能性はあるってことだよね?


《――否定はしません。ですが、適応者であれば上手いこといく………………おかしいですね。不思議と、適応者の場合は0か100……地上に戻るかダンジョン最下階のどちらかになりそうな気がします。細かく微調整はできそうにありませんので、転移系の罠での移動は推奨しません――》


 いや、うん。言いたいことはわかるというか、俺も納得するのだが……何故か心に傷を負ったような、そんな感覚を味わったのは……うん。気にしないことにしよう。深く考えてはいけないこともある。


 ともかく、罠を回避しつつ、人も少ないということで、AGIを活かした高速移動で駆け続けながら下へと向かう階段を探す。魔物も出てくるが敵ではないので、出会い頭に倒すか、駆ける勢いのまま弾き飛ばす、あるいは面倒なので放っておく。俺の方が速いので追い付かれることはないから逃げることもできる……間違えた。逃げたんじゃない。戦略的撤退である。時間も有限だし。罠に関しては、地下26階にある部屋の三分の一くらいは罠が仕掛けられていた。どういった罠かはわからない。ただ、台座の上に宝石の模造品、みたいな罠はあった。もう騙されない。取らないよ。でも、偽物だと思わせておいて実は……みたいな、模造品が本物の罠もあるのだろうか? その確認の意味も込めて、あえて……そう、あ・え・て、取るというのも……時間の無駄か。


 そんな感じで駆け続けた結果、「自動地図化(オートマッピング)」で確認すればそれなりに広範囲を動いていたが、高速移動だったので思っていたよりも時間は経たずに、地下27階への階段を見つけた。このペースなら今日中に地下30階まで行けると思う。

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