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自分としてはあえてでも、他から見ればそうではない

 地下24階


 ここも変わらず神殿内のままだ。それは別にいいのだが……本来は地下28、29階に出るハイ・オーガが、それ以外の階でも稀に出てくると、折角マウマウ先生が教えてくれたのに、ここまで出会うことがなかったのが残念である。まあ、それが普通というか、だからこそ稀なのだが。


 あと、地下24階までスキル「気配察知」を使っていたことでいくつか気付いたことがある。学園のダンジョンに入っている人の数が下に行けば行くほど少なくなっていた。冒険者パーティも入っているだろうから、生徒パーティとなるとより数は少なくなるので、サーフェ、ナリが驚いていたように、学生の間にここまで来るのは大変なんだと実感する。だからといって、歩みは止めない。妹を救うために。


 それと、察知した気配は皆パーティだった。ソロは居ない。……まあ、別に。気にしていない。俺はソロだけど、パーティを組もうと思えばサーフェやナリが居るし、そう、今は先を急ぐから一人で行動しているだけだから。あえてよ、あえて。………………だから、ソロでもいいし。


 ともかく、人が少なくなっているとはいえ、一年生でソロというのは非常に目立つ。これまで以上に見つかる訳にはいかない、と気を引き締めて先へと進んでいく。


     ―――


 察知できるパーティの数が少なくなった分、かなり動きやすくなった。すいすいと進むことができる。その分、魔物との遭遇率も高くなったが、かなり気が楽になった。いや、本来なら魔物との戦闘は避けるべきだ。ソロなら尚のこと。危険で一杯だが、今のステータスで脅威と感じる魔物とは遭っていない。もう少しはこのままでもいけそうな気がする。


 そうして進んでいると、妙な部屋を見つけた。


 小部屋。入口一つ。室内の中央に台座があって、その台座には赤く輝く宝石が飾られている。他には何もない。見るからに罠。寧ろ、罠以外ありえない。こんなの、引っかかる方がおかしいだろう。


 それはわかっているが、今は罠を経験することが必要なのだ。「気配察知」で周囲に人が居ないことを確認してから俺は小部屋に入り、台座に飾られている赤く輝く宝石を手に取る。


 ――ガシャーーーン! と大きな音が響き、聞こえてきた方へと視線を向けると、小部屋の一つしかない入口に鉄格子が嵌まっていた。アレが落ちてきたのかな?


 すると、今度は入口がある壁以外の三方向の壁が一斉に上がり――そこにスケルトン、レイス、大蝙蝠に、オオムカデ、オーガと地下21階からここまでに出てきた魔物がたくさん居た。なるほど。これは所謂モンスターハウスというヤツか。しかも、逃げ道は閉ざされている。出るためには魔物全部を倒せばいいのかな?


《――100%。得られた経験により、「罠」に適応しました。スキル「罠感知」を取得します――》


 この状況で、「全適応」さんから待望のお知らせが来た。「罠感知」を得たのは嬉しいが、今はこの状況をどうにかしないといけない――と赤く輝く宝石を「アイテムボックス」に入れて身構えたのだが……魔物たちが襲ってこない? どういうことだ、と不思議に思っていると――。


「「「カタカタカタッ!」」」


「「「ヒョヒョヒョッ!」」」


「「「カチカチカチッ!」」」


「「「ググググググッ!」」」


 なんというか、魔物たちから笑い声のようなものが聞こえてきた。その魔物たちが見ているのは、俺。もちろん、言葉は通じない。でも、何故笑っているのかはわかる気がする。


 ――おいおい、こいつ、あんなあからさまな罠にかかった間抜けだぞ、と笑っているのだ。


 ………………大きく息を吸って……吐いて~……。


「いやいや、これ、あえてだから。あ・え・て。お前らが思っているようなことではないから。いや、本当に。本当と書いてマジと読むくらいに……ぶっ殺す!」


 言葉が通じないからね。言い訳しても仕方ない。ただ、証人隠滅……魔物だから証魔物隠滅か? ともかく、俺から襲いかかった。今だけは、思いのままに本気を出して倒していく。倒せなかった魔物ではなく、モンスターハウスだからといって強くなっている訳ではないので、次々と倒していく。当然、魔物側も襲いかかってきて、直ぐに乱戦となった。問題ない。今の俺は本気である。


 ただ、そこは俺一人で、魔物側はたくさんだ。物量に押されて、危ない場面が起こる。四方から抱き着くようにして物量で押さえられて、動きが制限された。振り払えなくはないが、少し時間がかかる。そこを狙ってオーガが突っ込んできて大鉈を振り上げてきたので、咄嗟に防御姿勢を取った――が、それはフェイントで、オーガは力任せに大鉈の軌道を変えて俺の胸部を突く。突かれた瞬間――大鉈は砕け散った。オーガが目を見開いて固まる。まあ、ほら、今の俺のVITは「魔蜂(異常個体)の死針でも貫けない」だから、それよりも弱い威力だと、ね。しかし、本当に危なかった。もし、刺突ではなく斬撃だったら傷を負っていたかもしれない。気を付けよう。


 その後は、押さえていた魔物たちを振り払ってオーガを倒し、そのまま残る魔物も倒していく。そうして、すべての魔物を倒すと、再びガシャーーーン! という音がして、入口に嵌っていた鉄格子はなくなっていた。


 とりあえず、結構な数が居て、すべて倒すのに時間がかかったので、今日はこれで帰ることにした。証魔物隠滅は成されたのである。

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