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誤解をそのままにすると、本人よりも誤解している当人の方が恥ずかしい時もある

 それから休日も挟んで数日が経った。サーフェとナリの再びの誤解は解けた……と思うが、タオ・マージクの方はまだ解けていない。いや、最初から誤解していないってこともあり得る………………希望的観測は止めておこう。まず間違いなく、タオ・マージクは俺が新たな中指だと誤解している。そう思えるくらいの熱視線だ。だから誤解を解きたいのだが、その時間が取れないというか、あれ以降タオ・マージクがこちらに絡んでくることがなく、お昼になると直ぐに出て行ってしまうのである。多分、証拠集めをしているのだろう。そんな証拠はどこにもないが。だから、俺から話しかけて誤解を解こうとしても、そのための機会と時間がまず確保できていなかった。どうしたものか。このまま諦めてくれるというか、自力で誤解だと気付いて欲しい、と思う。


 そして、この数日間は、ただタオ・マージクの誤解を解こうとその機会を窺っていただけではない。もちろん、学園のダンジョンに入れる時は入っている。攻略を進めたいところだが、今は慎重な行動が求められているので、思い切って進むことができず、地下23階より先には到達していない。一応、地下24階への階段は見つけている。ただ、その時は時間的な問題と、丁度地下24階から上がってきた生徒パーティが居たので、様子見も控えたのだ。


 では、何も成果はなかったのか、というと、そうでもない。常に周囲に気を配って行動していたおかげで、経験が溜まってスキル「気配察知」を得ることができた。これで攻略速度を上げることができるはず。あとはスキル「罠感知」があればいいのだが……まあ、これはその内得ることができると思う。今後も罠に引っかかりそうなので。


 とりあえず、成果のある数日間で良かった。


     ―――


 そうして、今日は地下24階を攻略しよう、と思っていた日のお昼。サーフェとナリと共にお昼ご飯を食べようと集まったところで、タオ・マージクが話しかけてきた。


「あなたが新たな中指だという証拠は手に入ったぁ!」


 どん! と胸を張るタオ・マージク。マウマウ先生は……既にEクラスの教室から出ていたようで、ホッと安堵。いや、安堵している場合ではなく、え? 証拠得たの? もちろん、俺は新たな中指ではないので、そんな証拠があったとしても、それは――。


「捏造ではなくて?」


 思わず声に出てしまった。サーフェとナリの誤解は解けているので、まあ、そうなるよな、という表情だ。タオ・マージクは憤慨していると思ったが、違った。余裕の表情である。どういうことだ?


「ふふん! 最初に否定することで相手の出鼻を挫くテクニックだね。さすがレスキューフィンガーの新たな中指。でも、私には通用しないから。何しろ、証拠とは私! 私は見た! つまり、証拠とは私という証人!」


「「「……?」」」


 サーフェ、ナリと共に首を傾げる。いや、意味がわからない。あの時のことを見たのならわかるが、当然タオ・マージクは部外者だ。あの時のことは既に過ぎ去ったことで、何をどうしようとも見ることはでき……待てよ。仮に、そういう過去を見れるスキル、なんてのがあるとしたら? 可能性としてはゼロでは――。


「まず、そっちの二人――ツンツンした赤髪の方は貴族街の奥にある屋敷に入っていったから違うことと、灰色髪の方はあなたたちと別れた後は直ぐ姿を消すから怪しいけれど、ダンジョンに入った様子はないから違うのは、後を付けて確認したから間違いない」


 ん? え? 今、後を付けたって言った? 嘘でしょ? 思わず、サーフェを見る。マジか……と気付いていなかったようだ。ナリを見る。……知ってた、という感じに見えたので、気付いていたようだ。まあ、あの時の動きを考えれば、ナリはそういうことに敏感というか、得意分野っぽい気がする。


 ……いや、え? 待って。ということは――。


「そして、黒髪のあなた。レスキューフィンガーがダンジョンで救援活動をしている時にダンジョンに入っていたのは、あなただけなのを私は確認した」


 やっぱり、俺も後を付けられていたってこと! しかも、気付かずに! さすがに三人同時に後を付けるとかはできないから日は違っているだろうけど……くっ。今直ぐ両手で顔を覆いたい。せめて、「気配察知」を得た後だったなら……。


「そこで私は決定的瞬間を見ようと後を付けると、不思議なことが起こったの。あなた――どうして転移魔法陣を使っているのに地下10階に居ないの? 見失ったのかと先回りもして張っていたけれど、あなたが地下10階の転移魔法陣から現れなかったわ。もしかして、もう地下20階に行っているんじゃないの? それだけの強さがあるのなら、新たな中指でもおかしくないよね?」


 ぎ、ぎくぅ! バ、バレた! いや、中指のことではなく、地下20階以降に行っていることが! そういえば、ここ数日は地下10階に寄るのを忘れていた。


「さあ、白状しなさい」


 白状も何も、どう言えば誤魔化せ………………いや、待てよ。別に地下20階以降に行っていることがタオ・マージクにバレたところで困ることなくない? それに、誤魔化すも何も俺はレスキューフィンガーの中指ではない。その誤解を解くために話す時間を求めていたじゃないか。それが今。ついでに、地下20階以降のことは口止めしてもらえばいいのだ。


「……いいか。よく聞くんだ」


 誤解を解くならここだ! と話せる範囲で懇切丁寧に説明する。途中でサーフェとナリは予定があるからとお昼ご飯を食べ終えて出て行ったが、俺はタオ・マージクへの説明を続けた。


 ………………。

 ………………。

 その結果。


「……し、死にたい」


 誤解は解けたが、タオ・マージクは真っ赤になった顔を両手で覆い隠すことになった。

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