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なんかこう、推理って人に披露したくなるよね

 俺、サーフェ、ナリの内の誰かが、レスキューフィンガーの新たな中指である――とタオ・マージクは確信しているようだった。でも、言わせて欲しい。それは違う、と。まだ新たな中指は決まっていない……あれ? それだと俺たちの中から選ばれるみたいにも捉えられるから、そんなことは知らない。寧ろ、なんの話? という態度を見せた方がいいかもしれない。答える前にそのことに気付けて良かった。


「な、ななな、何を言っているだ、な、なあ?」


「………………(こくこくこくこく)」


 駄目だ。遅かった。サーフェは見るからに動揺しているし、ナリも凄い速さで頷いている。しかも、二人共がチラチラと俺を見てくるのだから、俺がそうだと言っているようなものだ。サーフェとナリとはしっかりと話し合って誤解は解けた……と思うが、レスキューフィンガーから中指と呼ばれているのは目撃しているのだから、それを思い出して「……やはり?」と動揺してもおかしくない。さすがにこれは、タオ・マージクも俺が中指だと誤解するのではないだろか?


「ふっふっふっ。そう簡単に尻尾が掴めるとは私も思っていないよ。何しろ、レスキューフィンガーの新たな中指なんだから。正体は秘密。それはわかっているんだけど、私の推理を聞けば誤魔化せないってわかるはずだから」


 ………………。

 ………………。

 あっ、これ、気付いてないな。自分の考え付いた推理を披露したくて仕方ない感じで、こちらの様子は気にしていないようだ。ホッと安堵。ここはその推理とやらを聞いて、返答できっぱりと違うと言えば済む話だろう。なので、タオ・マージクに先を促す。


「その推理とやらに随分と自信があるようだけど……まあ、聞かないで否定するのもなんだから、まずはその推理を聞かせてもらおうかな」


「もちろん。そのつもりだし。私の推理はいくつかあって、一つ一つは点でも、線で繋げば一つの真実が見えてくるから。まず、今回のオリエンテーションの場所の中で、注意喚起された地下12階が選ばれたのは、あなたたちだったの。私たち一年Eクラス女性陣『夢追う麗人ビューティ・ドリーマー』含めて、他は地下12階を通過はしても、オリエンテーションの場所はすべて地下13階以降だったんだよね」


 バーン! という感じでタオ・マージクが言い切る。でも、通り道だったのなら、誰にも可能性はある訳だ。論外。余裕を持って先を促す。ちなみに、サーフェとナリは体全体で無を表現していた。動揺がバレないように、だと思うので、それを維持して欲しい。


「続いて、地下12階で何があったかはどれだけ調べてもわからなかったというか、情報統制でもされているんじゃないかってくらい厳重だったのが気にかかるけれど、それは私の目的とは関係ないと思ったから放置。でも、何かがあったのは明白。だって、私たちがオリエンテーションを終えてダンジョンから出た時に、マウマウ先生は待っておらず、別の先生にマウマウ先生はどこか尋ねると、地下12階の様子を見に行ったレスキューフィンガーからあなたたちが死んだと聞かされて確認しに行った、と教えられたけれど、あなたたちはこうして生きている。そこに何かしらの策謀が感じられるんだよね」


 目を逸らしたくなるが、逸らさない。タオ・マージクから見えないところでグッと拳を握る。サーフェとナリは足が小刻みに震えているので限界が近い。


「そして、最後に、数日前からレスキューフィンガーが五人目――中指を任せられる人物を探さなくなったの。これは、最近レスキューフィンガーに助けられた生徒たちが尋ねて、探していないと返答を受けたそうだから確定情報。それに付随して、この時期、レスキューフィンガーが助ける生徒は主に一年生であることから、一年生の中に中指候補が居るのではないか? と噂だけれど広まっている」


 思わず、天井を仰ぎ見る。本能による行動だったため止められなかった。外堀から埋めようとしていないか? レスキューフィンガーは。サーフェとナリは、タオ・マージクから目を逸らして俯いている。


「これらのことを組み合わせて考えると、地下12階で何かしらが起こり、あなたたちはそれに関わっている。それは情報統制されるくらい大きなこと。少なくとも生徒だけでどうこうはできない。だから、レスキューフィンガーとマウマウ先生に協力してもらって事態の収拾を図った。その時に、あなたたちの誰かが新たな中指と見初められたのでは? と私は考えたわけ。これが私の推理だよ」


 どや? と胸を張るタオ・マージク。お前、それ、何がとは言わないが、マウマウ先生よりあるんだからマウマウ先生の前でやるなよ。


 でも、肝心の推理の方はちょいちょい当て嵌まっているというか、そう言われるとそうかも? と思ってしまうので否定しづらい。それに、サーフェとナリの様子を見ると危ないというか、もうここまでわかっているのなら言ってしまうか? それで秘密にしてもらう方が話は早いのでは? という雰囲気なのだ。俺が断ったと教えたとしても、同じように誤解しかねない。現に、サーフェとナリは再び誤解していそうだし。どうしたものか……そこで気付く。


「……なるほど。推理はどういったものかわかった。それで、その推理を裏付ける証拠は?」


「それはないけど……でも、直ぐそこを突いてくるなんて、中々やるね。……はっ! つまり、あなたが新たな中指?」


「違う」


「まあ、そう言うしかないか。正体は秘密なんだから。だったら、素直に認められるように必ず証拠を見つけてみせる! 私の目的のためにも!」


 そう告げて、タオ・マージクはEクラスの教室から出て行った。これで漸くお昼ご飯が食べられ……あれ? なんか誤解されたような?


 サーフェとナリを見ると、「やっぱり……」と目を輝かせて俺を見ていたので、再び誤解していたのを解くのが大変だった。これはタオ・マージクも誤解していそうだから、その誤解を解く必要がありそうだ。……大きく息を吐く。

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