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始まりであっても、その中での始まりもある

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ナハァトです。

 漸く、ある程度形になりましたので、投稿していこうと思います。

 少しでも笑って楽しんで頂けたら幸いです。


 少しの間、一日二話投稿でいきます。

 よろしくお願いします。

「――では、アルン。中に入りたまえ」


 名を呼ばれたので前に出て、ぽっかりと開いた出入口に向かう。

 ――どうか、いいのが当たりますように。でないと……いや、関係ない。どのようなものであろうとも、俺がやるべきことは変わらない。


 そのために、俺はここに来たのだから。


     ―――


 俺には「イシス」という名の妹が居る。俺も妹も、両親と同じく黒髪黒目で、父に似て俺は平凡な顔立ちだが、妹は母に似て可愛い顔立ちである。分け隔てなく愛情を注がれ……いや、訂正。どちらかと言えば妹の方に愛情が注がれて――まあ、俺も妹が可愛いので特に気にしていない――育ったが、そんな両親は幼い俺と妹を残して流行り病で死んだ。


 そこからは死んだ両親の親友で、両親が健在の頃から何度か会っていたおっちゃん――「ウルケスト」という名の、銀髪で眼帯をした人相の悪い、本人が言うには気持ちは二十代の三十代の男性――に引き取られて日々を過ごしていく。


 孤児院行きもあった。路上で生活していたかもしれない。おっちゃんが実は裏ではヤバいヤツだった可能性もある。でも、そういうことはなかった。運が良かった、ということだろう。

 そう思っていた。このまま無事に生きていける、と。


 突然、悲劇は襲いかかってきた。


 今より少し前――妹が十四歳になり、俺が十五歳になる前に、大災害と言っていいものが起こる。自然なものではなく、人為的なもの。自らを「災厄撒布」と名乗る者がたくさんの魔物を率いて多くの国を襲った。それだけではない。その「災厄撒布」は、多くの国を襲ったあと、一つの病気をばら撒いたのだ。


 ――「魔力器官障害」。通称「魔障」。

 体内にある、魔力の源と言われる魔力器官が正常に働かなくなり、魔力が溜まらず、抜けていき、障害であると示すように魔法や魔力を使う力が使用できなくなる状態である。それだけに留まらず、この状態が続けば魔力が尽きれば欠乏状態が続き、果ては死に至る危険な病気である。

 ただ、ばら撒かれたといっても必ず発症する訳ではないし、高価で希少な素材を使うらしいが治療薬もない訳ではなかった。


 そんな病気がばら撒かれた多くの国の中に、この国――エリアスト王国がある。「災厄撒布」によってかなり侵攻されて、その魔の手は王都にまで届いた――ところで、勇者を名乗る者が現れて倒したそうだ。


 しかし、それで万々歳、とはならなかった。

 魔障は各国各地で発症し続けたのだ。それも、「災厄撒布」が進んだ場所だけではなく、そこから離れた場所でも。しばらくの間、各地で発症者は増え続ける。薬は直ぐになくなり、新たに作ろうにも必要な素材の中には魔物素材もあって、その素材を集めるだけでも非常に困難であった。勇者と名乗る者に頼ろうにも、そいつはもうここには用はないと姿を眩ませたらしい。魔力回復薬で一時的に復調はするが根本的な回復とはいかず……苦しむ人は増えていく一方であった。


 それから少し経って、発症自体は数が減っていた頃、妹が体の異変(だるさ)を口にして、念のために調べてもらうと――魔障を発症していることが発覚した。

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