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第6話 モグモグ

 イルマとムギは二人顔を見合わせニヤリとする。


「イルマには最強能力がある! イルマは無敵!」

「ほう……最強能力とは大きくでたな。一体どんな能力だ?」

「モグモグ!」

「モグモグ?」


 イルマは森の中に突然こたつを出現させて、ムギと二人で座る。 


「……なんだそれは?」

「こたつ!」

「いや、それはわかってるが」

「ザウス、私たちに小石でも投げみろニャ」

「……ほれ」


 小石はイルマたち半径1メートルくらいまで近づくと、クロワッサンに変わった。


「美味しそう! もぐもぐ……美味しい! これがイルマの能力!」

「イルマのモグモグの結界、半径1メートル以内に入ったものは、何物でも食べ物に変わるニャ」


 等価交換の原則、エネルギー保存の法則を覆す現実改変系か。

 ふざけたスキルかと思ってたら、かなりすごいぞ。

 さすがの根源種といった所か。


「このこたつが優れもの。どんな場所でも快適に過ごせる。お外で雪が降ってても大丈夫!」

「そ、そうか。それでどうやって敵を攻撃するんだ?」

「…………」

「……もしかして攻撃手段はないのか?」

「ある!」


 するとイルマは白い液体が入ったチューブを出現させる。


「これはマヨネーズ! どんなものでも美味しくなる魔法の液体! それに――」


 イルマは今度はキューリを出現させる。


「イルマ、モグモグでは欲しいものなんでも作れる! キューリにマヨネーズかける。美味しい!」

「美味しい! …………それで?」

「キューリ欲しくなってきた敵、イルマの結界に入る! 敵、食べ物に変わる!」

「完璧だニャ!」


 俺はスルーしてラミアに向き合う。

 

「ラミア、昏き黄昏についてまだ報告は来ていないか?」

「まだ報告は来ておりません」

「聞いてる!?」


 食い気味にイルマから聞かれる。


「……聞いてるよ。お前らは敵が来たら、ずっとモグモグ使ってろよ」

「イルマのモクモグは最強!」

「最強だニャ!」


 俺たちは妖精女王が囚われているという最深部に向かって進んでいく。


もぐもぐ、もぐもぐ。

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