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第10話 鑑賞ざまぁ

「はははははははーーー!! 精霊石だと? くれてやってもいいが、イルマ、貴様本当に我に両親を救ってもらえると思っておったのか?」

「だって……クレメンス様がそういって……」

「馬鹿め! もう魔王になった我にお前は必要なくなったから教えてやろう! 貴様の両親を殺したのは私だ! 根源種の研究をするために、貴様の両親は切り刻んだ! あそこまで身体が破損したら神でも蘇生させることはできん!」

「イルマは一生懸命言いつけを守ってきました! お父さんとお母さんに褒めてもらうために! 精霊石をください! ください!!」


 イルマは大粒の涙をこぼしている。


「イルマはお父さんとお母さんと暮らすのです! 幸せに三人で暮らすのです! 抱っこしてもらって、いい子いい子してもらって……それでそれで……」

「あーひゃひゃひゃひゃあーーーッ!! 全ては嘘だったんだよ! 何も疑おうとせず、両親を助けたい一心で俺のいうことを聞き続けるお前は、全く見ものであったぞぉ!」

「うわぁああああああああああーーーん!! お父さん、お母さんーーーーっ!!!!」

「ご主人様!!」

「ザウス!!」


 俺はイルマの元に一瞬で移動する。

 そしてイルマを優しく抱きしめる。


「……イルマ、俺がお前の父代わりになってやる」

「……ザウスが?」

「ああ、ムギと一緒に魔王軍に入れ。寂しくなんてさせないし、何も不自由させない。魔王軍に入れば、あそこにいるラミアも今日からお前の家族だ。魔王軍は大勢いる、賑やかだぞ」

「家族……」


 俺はまた一瞬でラミアの元へと移動する。


「ラミア、イルマを頼む」

「はい、ご主人様がイルマの父代わりで、そして私が母代わりですね。ということは二人は……」

「ま、まあ頼んだぞ。俺は……終わりにする」


 俺はクレメンスの前に立つ。


「終わりする……か。確かに貴様を殺して、アマーリアを蹂躙した後には、すべてを終わりにしてやる。この世の終わりにな……」

「魔王になるとお前のような、破壊衝動が生じるのが普通らしいな。クレメンス、お前誰にたぶらかされたんだ? 昏き黄昏の奴らだろ?」

「くっくっく……昏き黄昏の至高なる方々だよ。世界は私の破壊の後に新時代を迎える!」

「誰だそいつは?」

「死にゆくお前には関係のないことだ」

「アルフレッド侯もその一人だな」

「……答えてやろう。く・た・ば・れ、だ」


 俺は椅子を一つ出現させてそこに座る。


「なんのつもりだ? これから私と戦うのだろう。それとも私が強大すぎて戦う前から降参か?」

「いや、じっくりと鑑賞しようと思ってな」

「鑑賞だと何をだ?」

「お前は変態して姿形は変わっているが、植魔であることは変わってない。つまり燃えやすい。そうだろ?」

「まさか私を燃やすつもりか? キラートレントに一切、火魔法が効かなったのをもう忘れたのか? 私はキラートレントより数倍、いや今では数百倍も上位の存在だ。やってみろ! 一切の火魔法は私に通用せぬわ!!」

「じゃあ、鑑賞をはじめるか」


 俺はパチンっと指ぱっちんをする。

 それで小さな黒色の炎が灯る。


「俺の指の摩擦でできた炎だ」

「はははははははは! 面白いやつだ! さあ、早く私にその炎で火を灯してみろ!」

「言われなくてもやってやるよ」


 俺は黒色の炎をクレメンスに飛ばす。

 何も起きない。


「ほれ見ろ! もう消えたわ、無駄な真似はもうやめ……なんだ?」

 

 獄炎がクレメンスの体を喰っていることに気づく。


「な、なんだこいつは!? 私の魔王の体を?」

「俺が対象と定めたすべてを喰らい尽くす獄炎だ。熱で燃やすというより、喰らうという性質が強い。さあ、どうするんだ?」

「そ、そんなもの魔王になった私には……」


 クレメンスは自らの口から『アイスブリザード』を吐き出す。


「くっ、なんで消えないこいつ!」

「悪いが俺の獄炎は炎というよりは生き物近くてな。それも物理と魔法に完全耐性を持った生き物だ。さあ、どうするんだ?」

「う、うわーーーー!! そんなもの防ぎようが!! こうなったら俺の種を!」

「ラミア、今だ! 天の裁きを放て!!」

「承知しました! メーデーメーデー、魔王軍本部、天の裁きを発射せよ!!」

「魔王軍本部了解なの! 天の裁き――一斉放射!!」

 

 天空魔王城から光線が一斉に放たれる。

 世界中の昏き力に汚染されてる森に光線が一斉に降り落ちる。

 

「あれ? ない……ないぞ……俺の種を受け止める昏き因子の影響を受けた植魔族が! 世界中にいるはず……なぜ……なぜだ?」

「もうお前の腕がなくなったぞ。さあ、どうするんだ?」

「う、うわーーーーー!!」


 クレメンスはジタバタとあがくが、獄炎は一切弱まる様子を見せない。

 

「ザウス……」

「……どうした?」

「いや……ザウス様!」

「どうした?」

「命を……私の命をお助けください! どうか私の命を!! 魔王ザウス様に絶対に忠誠を誓います! なんでもやります! やらせて下さい!」

「そうか……なら考えてやらんでもないぞ」

「ほ、本当ですか!? ありがたき幸せ、私クレメンス。以前にも増して魔王ザウス様の為に、誠心誠意つくさせて頂きます!」

「おおそうか。よろしく頼むぞ」


 ザウスの言葉とは裏腹に、獄炎はまだクレメンスの体を喰らい続けている。

 クレメンスの体はもう後、頭部しか残っていない、

 その頭部が地面に転がる。


「ザ、ザウス様? 獄炎を止めて頂かないと……止めて頂かないと私は死んでしまいます! ザウス様!!」

「…………」

「ザ、ザウス様!!」

「嘘だ」

「は? ま、まさか…………イルマの意趣返しのつもりか……このクソ野郎がぁあああああああああああああああああああ……」


 獄炎は遂にクレメンスのすべてを喰らい尽くした。


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