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孤独な青年K

作者: ロック

また吐いた。

朝が来るたびに強い吐き気を感じ、血の混じった嘔吐物を吐き出す。

そして、便所から漂う、汚物の臭いによりまた吐いた。


脱水症状、これで何日目だろう。

体調不良が続く、心因性のものだろう。

いや寧ろ大きな病の前兆であるなら、それでも良い。

きっと俺が死ぬとわかったら、誰かは、俺に同情してくれるだろうから。


俺は孤独な35歳だ。現在は無職で転職活動を何度も繰り返しているが、どこにも受からない。

一応「適応障害」と診断され、療養している身分であるが生活保護申請のために再度診断をしてもらおうかと思っている。

「社会不安症」か「うつ病」なら生活保護の申請もしやすくは、なるだろう。


こんな未来、俺は望んでなかった。

俺は専門商社で営業職をやっていたが、すぐにクビになってしまった。

その後何度も何度も転職活動を繰り返すものの、一向に決まらない。

しんどい、生きていくのがしんどいと嘆く日々。かつては多趣味だったが現在は唯一ネット配信だけが楽しみになっていた。


よく言われるんだ「声だけはかっこいい」と。だから声真似とかゲーム実況をしていたら、それなりの美少女と仲良くなれる。

もしかしたら彼女達は実態のない虚像かもしれない、だがそれでも慰めになる。

惨めな現在よりはまだ彼女達に癒してもらっている現在の方が過ごしていて心地が良い。


俺は何度も自殺未遂を繰り返した。

けど、結局死ねなかった。兄の子供は現在中学生で進学校に通っている。

きっと彼は幸せな生涯を歩むのだろう、僕とは違って。


僕も幸せになりたかった。

幸福の定義は、総合商社の総合職、そして既婚状態である。

年収は700万円以上ならおそらく幸福だ。

じゃあその幸福な状態になったら何をするだろう。

脳内で結婚後の自分をシミュレートする、そこには自分が相手に延々と語っている姿が見える。

とにかく自分を受け入れて欲しくて、一方的に語っている姿が見える。

そういった弱さが僕の結婚できない理由であり、僕が孤独な要因なのだろう。


孤独な現状を果たして変えたいかと言われると、今となっては何も思えない。

ただ通話アプリや配信などを通し、自分語りをしている時は孤独を感じないからその時間だけでも続けば良いなと考えている。


しかし、今日もまたブロックされた。

だからその傷を1人の女子中学生に慰めてもらうため、無料通話アプリの「LINE」で彼女に現状を語る。


そうすると優しい彼女は慰めてくれる。

僕はまた孤独感から解放される。

これを何度も繰り返してる。そして慰めてくれた相手も大人になるにつれて、僕を嫌う。

けど、また誰かと通話すれば孤独は紛れる。

しかし、これが本質的な孤独な原因なのだと僕は理解している。

孤独な現状を打開するのではなく、すぐにSNSという安易な手段に頼る。

これだから本質的な問題は何一つ解決されない。

いや解決されるとしたら、もう一つしか方法はないだろう。


それは


美女が多い職場に行くこと。


総務のM氏は特段可愛いというわけじゃなかったが、孤独な僕に優しくしてくれた。

それがただ嬉しかった、彼女との時間が唯一の娯楽だったとも言える。

その時はSNSよりもリアルが充実していたと言っても過言ではない。

しかし、会社を4ヶ月でクビになり彼女とは会えなくなった。

それでまたSNSに戻り、誰かに甘えている。


そんな僕が・・・だ。


今日をもってこの生活が終わるのだ。


女子中学生のD氏と僕は、リアルで会い互いに愛し合ったが、近所の警察から通報があり、今日出廷する予定だ。

しかし、世間に僕の顔が知られては困るため、僕は今日こそは自殺をするために駅のホームに向かう。


もう戻れない、楽しかった日々には。

僕はゆっくりと駅に向かって歩いて行った。

すると、1人の少女の後ろ姿が見えた。

それは僕がかつて愛した女の背後を彷彿とさせた。


思い出した。俺もかつて本当に人を愛したことがあったことを


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