真っ白少女は夢を見ている
こんにちは飽那です。まだまだ拙い文章かとも思いますが、読んでいただけると幸いです。
純文学、というジャンルにしたのですが、純文学というものではないかもしれません。
違うのであれば、教えていただけると幸いです。
これは無垢な少女が見た、短かくて長い、夢のお話。
真っ白な真っ白な部屋で、何も知らない真っ白な少女は、絵本を見ている。
「ねえ、おねえちゃん。どうしてこのおうさまは、まおうさんをころしちゃったの?」
『それはね、その【まおうさん】が、【おうさま】の大切な人に悪いことをしたからなんだよ?』
「なんでわるいことしちゃたのかなぁ。」
『それはね、【まおうさん】は【わるいこと】が好きだからなんだよ?』
「そっかぁ、わるいことがすきなまおうさんもわるいひとなんだ。ありがとう、おねえちゃん。」
違う日も違う日も、少女は絵本を読み続ける。
「ねえ、おねえちゃん。どうしておひめさまは、おうじさまからにげちゃうの?」
『それはね、【おひめさま】が【おうじさま】に、自分の醜い姿を見られたくないからなんだよ?』
「おねえちゃん、みにくい、ってなぁに?」
『難しい言葉使ってごめんね。【みにくい】っていうのはね、自分の汚いところ、みたいなものだよ。』
「わかんないけどわかった!ありがとう、おねえちゃん。」
今日のまた、少女は絵本を読んでいる。
もう少しで終わりに近づく夢。
少女は知らない。
そんな夢の話を、絵本の結末を。
いつまでもいつまでも読み続けていた絵本は、今日で最後のお話。
少女が結末を知るとき、それが夢の終わり。
追い続けてたことは、いつも唐突に、終わる。
真っ白で無垢な少女は、夢を見ていた。
「わあぁ、おねえちゃん、おねえちゃん。このおはなし、わたしとおんなじだよ!あ、でもわたしには、おねえちゃんがいるから、ちがうね。」
少女は誰もいない空間に、一人話し続ける。
「おはなしのおんなのこ、ずっとひとりなんだってぇ。おねえちゃんがいてよかったぁ。ひとりはわたしいやだから。」
少女は、知らない。
少女は、気づかない。
たった一人の、無垢な少女は、今日も夢を見ている──。
「──おねえちゃん、きょうもいないなぁ。」
ここまでお読みいただきありがとうございました。誤字脱字があったら教えていただけると嬉しいです。アドバイスや感想も送って下さったら幸いです。