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今日から学校と仕事、始まります。②莞

実力不足は言う事が違うなぁ~

作者: 孤独

「ピッチャー、米野」


勝負事には、その差が必ずある。

スポーツの世界ではそれが顕著である。



「しゃあああぁぁっ!!」


現在の日本のプロ野球選手の、頂点と呼ばれるべき選手は何人もいるが、それらの選りすぐった選手達がただ頂点の1人の名前を挙げるとしたら、米野星一のことである。

日本球界の守護神。歴代最強左腕と評価であっても、間違いではないと認められている投手。


「死ねおらぁぁっ!!」


気迫、気合。時おり威圧、暴言もある。

それはこの世にいる誰もが持つ、ぶちまけたい事をぶちまける。大海原に向かって、畜生この野郎と心の開放を純粋にして投手をやっている者。

そんな彼の投球スタイル、心意気。子供人気よりも大人人気のある選手で、現実の不平を正面からぶっ潰して乗り越えていく姿が魅力的である。昔の高校球児にいる、気合入った投球の頂点かつ変異体ってところ。



ドゴオオォォッ


「ストライク!バッターアウト!!ゲームセット!!」

「どーだっ!おらぁっ!!」


今日も抑える。付け入る隙なく、


「おおおお!!さっすが、米野ーーー!!」

「これで18試合連続無失点セーブ!!」

「サイコーー!!米野ーーー!!」


守護神と呼ぶべき貫禄は、打者につけ入る隙を与えず。ストレートも変化球、制球力も、プロのレベルを超えたモノを秘めており、今日の試合でシーズン30セーブに到達。

プロ野球に入って、通算でもう200試合以上の登板をしながら、未だに無敗のリアルレジェンド。

そんなマウンド以外の彼は


「今日のヒーローインタビューは米野選手ー!今日で30Sです」

「はい。野手の方々が点をとって、先発の皆様が試合を作り、最後に僕が抑えた。その地道に積み重ねた結果が30セーブに届いたと思います」

「どーですか?自身が持っていたシーズン最速記録を更新です」

「そうですね。セーブに関しては、チームの皆様のおかげでその機会を沢山作っていただいた事で、僕が登板できます。チームの皆様がいなければできなかった事なので、自分だけでなくみんなの記録だと思っています」

「最後にファンの皆様に一言」

「いつも応援、ありがとうございます。次は40セーブを目指し、優勝に貢献したいです」


凄く……別人。


「おおおーーっ!頼んだぜ、米野ーーー!」

「謙虚過ぎーー!」


謙虚&謙虚で、優等生といった感じな人物である。まったくこれっぽちも、打者を抑え込む投手には思えず、外見も込みで言えば野球選手としてもそこまで大きくない。一般人に紛れても気付かれないオーラ。

彼ほどギャップのある選手がいるだろうか。そこが大人ファン達にとって、魅力になっているのだ。


「はぁ~、今日も抑えられた」


米野の趣味は読書。

移動バスの中でも寝ていたり、本を読んでいたりと。かなりインドアな人。

そんな彼に今シーズンだけでなく、色々と言われている事がある。



◇         ◇


「そりゃあ、そうですね」

「でしょ!即刻止めさせてください!」


米野の投球時、気迫あると言えば聞こえはいいが、打者への威圧となる行為なのだ。

それは野球の規則とは、ある種違う意味で違反行為である。

米野だけがしているというわけではないが、米野は常にその状態。試合を決める場面での登板で熱くならないでどうすると言いたいが、


「投手の威圧行為は打者の妨害に繋がってますよ!」


過度なため、注意どころではなくなる。

そして、これは審判団、球団を通して米野に伝えられる。本人。


「いいっすけど。はい。ちょっと力が出ませんね」


残念そうに納得する。

そーいう投球なのが悪いと言えば、客観的であるが。米野本人からしたら、1つの武器を失うこと。ファンとしても



「ええーー!あの投球ができねぇのかよ!!」

「米野の気迫を観たいのにーー!」


楽しみが減って残念である。一方で打者としてはチャンスである。最強投手の弱体化パッチがついた。ここらでいい加減、こいつを負けさせないと威厳に関わること。

そして、試合は始まり。米野の登板機会が来る。


「ピッチャー、米野」


普段なら雄叫びと共に、この魅入るほどの状況をさらに盛り上げてくれるのだが。


「……はぁ……」


うわぁっ。すっげ、暗っ!

それが分かるほど、残念過ぎるオーラを引っ提げて、マウンドに昇る。いつもなら打者を見下ろして、ぶっ潰す気持ちが見えてくるのだが。今は凄く楽しくなさそう。


「ファン辞めよっかな」

「これ続いたら嫌だわぁ」

「負けたらファン止めるは、ホント」


そう声を漏らす人もいた。

まぁ、そこは米野である。最強投手と呼ばれる所以は、研ぎ澄まされた武器でもなく、いくつもある武器でもなく。あらゆる面が何もかも突き抜けているからである。単純な実力のみで


「……………」

「うおおおおお!?」

「アウト」

「……………」

「ぐわああああ!!」

「アウト」

「……………」

「ふーんっっ!」


パシッ


「アウト、ゲームセット!」


軽々と抑える。19試合連続無失点セーブ。

20試合目


「……………」

「くそっ」

「アウト」

「……………」

「へぁっ」

「アウト」

「……………」

「ふんっ」

「アウト、ゲームセット!」


20試合連続無失点セーブ。

21試合目


「……………」

「……………」

「アウト」

「……………」

「……………」

「アウト」

「……………」

「……………」

「アウト、ゲームセット!」


21試合連続無失点セーブ。


まったく威圧感のない米野であったが、相手にとっては別に関係なかった。

米野の曰く。


「実力不足は言う事が違うなぁ~」

「あの、米野さん……。ここまで22人の打者に出塁すらさせてませんが……」

「俺から打てない事を俺のせいにしないでください。絶妙に手加減しながら、相手を抑えるのは得意じゃないんです」

「ストーップ、インタビュー、ストップ!」


異常な暗さから米野の闇を感じる、皮肉な言葉も取り上げられる始末。どこにでもいる、嫌な上司なり嫌な人間が言いそうなことを述べちゃうマイナス。これ確実に米野が悪いわけだが、まったくマウンドで発散されないストレスがふとした発言に影響を与えているのだろう。他の選手に対する暴言である。だが、


「アウト、ゲームセット!!」


米野は積み重ね、24試合無失点セーブを記録。明らかな弱体化パッチを付けられているが、変わりなく!むしろ、黒すぎるヤバさが出てきて。


「ファン止めます」

「あんな米野は見たくねぇ……」


彼を知って、野球ファンになったのに。米野のこの変化に彼から離れる事態に


「ちょっとは打てーー!他球団!!ウチのスター選手に傷がついてるんじゃーー!!」


米野が所属する球団オーナーまで懇願する始末。目に見えて、彼のグッズ売り上げが落ちたのだ。

打者への威圧行為は良くない事であるが、米野がしてないのに打てないのはさすがに打者陣営がマズイ……。責任をとらねばならない事。


ファンを盛り上げる貴重な選手が、こんなことで潰れてはならないと。

球界全体で対策をこうじる。そして、


「米野選手。暴言以外は雄叫びをオッケーにしますので!」


彼に完敗する形で、元の状態に戻る。それを知るや否や


「しゃああああぁぁっ!!全力で雑魚打者共をぶっ殺せるぜっ!!!」


ガッツポーズ&即暴言を吐く。凄くストレスが溜まっていたんだろう。ともあれ、試合中じゃないので見逃せるが


「発言は考えてください!!」


これから米野は怒涛の快進撃で、38試合連続無失点セーブを記録。打者37人連続ノーヒットを記録したのであった。


書きたいなぁ、って思っていた話が。


皮肉めいた感じで自分に突き刺さったのは、正直に苦笑です。


後日、活動報告という形で反省と行動で示そうとは思います。


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