ティーフ・ロサリオ
頭の理解が追い付かず、何故?と言う疑問さえ浮かばなかった。
ただ、理解出来たのは翼竜が死んでいると言う事実だ。
目の前に人がいない。
その事実を理解した瞬間に様々な疑問が浮かんでくる。
これは、僕がやったのか?
でも、どうやってやった?
目をつむっていただけだ。
これがチート級の力なのか?
魔法??それとも、声??
そんな馬鹿なと思った時、木からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「誰だ!?出てこい!!」
強がってそう言ってはみたものの、心臓がうるさいくらいに音をたてる。
ガサッと言う音ともに銀髪ストレートのイケメンが降りてきた。
「そいつをやったのは、俺だよ。」
イケメンがそう言った。
「ありがとうございます。お名前をうかがっても 宜しいですか?」
反射的に僕はそう言っていた。
イケメンはまたも笑い始める。
そして、こう言った。
「すまない。こうも律儀な奴は久し振りに会ったので笑ってしまった。
そうだな、俺の名前はティーフ・ロサリオ。今は冒険者をしている。元は…まぁ、今はいいか。
そう言えば、君の名前を聞いて無かったな。教えてもらえるとありがたい。」と。
僕は答えた。
「僕の名前は千光寺櫻です。駆け出しの冒険者です。」
ロサリオはそれを聞いた瞬間こう聞いてきた。
「櫻、俺とパーティーを組まないか?」と。
それを聞いてビックリした。
こんなに強いイケメンもとい、ロサリオがパーティーを組んでない事に。
こうも、すんなり行くと裏があるのではと思ってしまう。
しかし、その不安もロサリオの一言ですぐに払拭された。
「いきなり、名前呼びは不味かったか。
なにか、気に障る事が有ったのなら謝る。
すまなかった。」
さすがにそんな事を言われてはこの僕もあせる。
「そんな事はない。名前を馬鹿にされないだけでも嬉しい。ましてや、いきなり友達みたいに名前呼びされて驚いただけ。それこそ、パーティーを組むのはこちらからもお願いするよ。ティーフ。」
ロサリオは苦笑、いやもっと複雑な表情を浮かべて言ってきた。
「名前を馬鹿にするわけないだろう。お前みたいな良い奴と出会えたんだ。そして、パーティーを組んでくれてありがとう。あと、櫻も俺の事を名前で呼んでくれないか?」
わかったよ、ロサリオに笑顔でそう言うと、ロサリオも嬉しいそうな顔をしていた。