2 執事の記憶と物語
今回は説明回?
どうにもうまく書けない・・・
さて、俺レスターが前世の記憶と呼ばれるものを取り戻したのはだいたい5才の頃。
当日、スラムで母親と二人で暮らしていた俺は母親の死ともに記憶を思い出した。
おそらく大好きだった母親の死のショックからだろうと推察はできる。
前世の記憶とはいえ、知識面がほとんどで前世の俺の記憶は限られた部分しか思い出せない。
一応、社会人で仕事はしてたようだが、何をしていたのかはわからない。
一番強い記憶は病弱な妹とともに部屋で乙女ゲームとよばれる恋愛シュミレーションゲームをやっていたことだ。
前世の俺は相当なシスコンで妹を溺愛していたようだが、妹は体が弱く外にはほとんど出れなかった。
二人でいたときの遊びで一番楽しかったゲームは妹の趣味ややりたいのをやらせていたので、そのせいか俺は男なのにやたらと乙女ゲームなどをやっていたようだ。
さて、そんな俺は記憶を取り戻して、俺のレスターという名前と自身の容姿をみて前世の乙女ゲーム「王子とラブラブ?スクールハンター」というタイトルの攻略キャラの一人で悪役令嬢の執事の《レスター》を思い出した。
このレスターというキャラは幼い頃に母親をなくしてスラムで生きていたが、7才の頃に悪役令嬢の家に拾われて奴隷のような扱いを受けながら悪役令嬢に仕える執事として登場する。
ゲームでは悪役令嬢を恨んでおり、復讐のために機会をうかがって悪役令嬢の側にいたが、ヒロインと出会い徐々に心をほだされていき、やがて実は隣国の王子だったことが判明してそこで悪役令嬢に媚を売られるが、それをばっさり切り捨てヒロインと結ばれるというのが大まかなレスターというキャラのルートになる。
ちなみに、レスタールートはざまぁ度が高いルートでファンにもそこそこ人気があるルートだ。
扱いとしては隠しルートに近いものだが、攻略キャラ人気ではメインのキャラと似たりよったりの人気を得ている。
他の攻略キャラは全部で5人。
王子様と、悪役令嬢の義弟と、宰相の息子と、騎士団長の息子と、そして商人の息子の5人だ。
さて、少し脱線したが、つまりレスターは隠しキャラで悪役令嬢の執事で実は隣国の王子でしたというのが大まかな設定だ。
・・・設定盛りすぎとかいうのか禁句で。
当時の俺はそれはそれは絶句した。
だって、あと2年で悪役令嬢に拾われて奴隷のような扱いを受けると決まっていたからだ。
まあ、そう思ったのも一瞬でスラムより少しでもいい暮らしが出来るならいいかなーと思ったので問題はなかったが。
そんなこんなで、俺は自分に出来ることをするためにまずは体を鍛えた。
本来、子供一人でスラムで生きるのは難しいが俺はそこそこ頭の出来がよく、悪知恵も働いたので寝床や食い物はなんとかして調達した。
もちろん、周りには迷惑をかけないようには頑張った。
具体的には前世の記憶の中から食べれる草や動物の狩りの仕方などを思い出してやったり、まあ時には売ったりした。
何故そんな記憶があるのかは疑問だったが・・・
前世の俺がますますわからなかった。
まあ、そんなこんなで7才のまで俺はひたすらに体を鍛えて必死に生きた。
そして、とうとうアクシグス公爵家に引き取られることになった。
緊張はしたが、それでも意外と優しい公爵に連れられたのはゲームの中の絵でみたような屋敷。
あ、ちなみに公爵は中年のナイスミドルなイケメンさんでした。
で、屋敷につくと、思いのほか使用人の数が少なくて、俺は不思議に思い怒られるのを覚悟で公爵に聞いてみた。
すると、
「ああ、元々精鋭揃いだから使用人事態はそんなに数は必要ないんだよ。何より妻と娘は人見知りだから限られた使用人にしか話せないからね。」
とのこと。
ならなんで俺は連れてこられたんだと聞いたら、「娘の護衛に同い年くらいの子供が必要だった。」らしい。
まあ、たしかに俺はこの年にしては腕っぷしは強い。
実際やり過ぎて一時期スラムで最強の名を冠したほどだ。
まあ、そんなこんなで俺は初めて悪役令嬢のスティアに会った。
そして、驚愕した。
「す・・・スティアです・・・。」
見た目は同じ、悪役令嬢が幼くなった容姿だ。
だが、俺の目の前にいたのはもじもじして恥ずかしがっている幼い女の子。
決して原作通りの傲慢で我儘な悪役令嬢ではない。
むしろ、小動物のような愛らしい人だった。
「娘のスティアだ。今日から君の主になる。スティア。彼が専属の護衛・・・執事になるレスターだ。」
「よろしくお願いします。」
「よ・・・よろしく。」
怯えながらこちらをみていた女の子・・・お嬢様に俺はできる限り優しく微笑んだ。
すると、ぎこちなくもお嬢様もにこりと笑ってくれた。
それをみて俺は決意した。
この可愛いお嬢様を守ろうと。
悪役令嬢?攻略キャラ?乙女ゲーム?
そんなの知らん。
俺はお嬢様を守る。
そう決めた。