1 執事とお嬢様の朝
他作品を執筆中に唐突に思い付いて書いてしまいました・・・乙女ゲームシリーズに戻る作者・・・
間違えて短編小説で投稿してしまったので連載に変えました。
すみませんm(__)m
「おはようございます。お嬢様。」
朝、寝ぼけている主を起こすことから俺の一日は始まる。
俺の主であるお嬢様・・・アクシグス公爵家ご令嬢のスティアお嬢様は俺の顔をみてぼーとしていたかと思えば意識が戻ったのかはっとして、あわてて布団に引きこもってしまった。
が、そのあとに顔を半分だけ出してこちらをみていた。
「お嬢様?いかがされました?」
「・・・・・また寝顔見られたぁ。うぅ・・・」
お嬢様はなにやら呟いた後に毅然とした態度でこちらをみた。
・・・顔から下は布団の中なので格好はつかないが。
「おはよう。レスター。着替えるから出ていってくれる?」
「心得ております。」
ここで着替えの手伝いも本来ならしたいが、恥ずかしがり屋なお嬢様は嫌がるので大人しく下がる。
前に着替えを手伝いたいと言ったら「まだ早い!」って怒られてしまったので我慢する。
まだということはいずれは・・・そんな期待を胸に抱いて俺はお嬢様の準備を待つ。
とはいえ、お嬢様が出来るのは服を着ることまでなので化粧などの最終的な身だしなみを整えるのは俺の役目だ。
本来なら侍女の仕事なのだが・・・いかせんうちのお嬢様の性質上どうしても俺がやるしかないのだ。
「レスター。」
着替えが終わったらしいお嬢様の声が聞こえてきた。
俺は許可を取って中に入る。
「では、お嬢様。失礼します。」
「え、ええ・・・」
時間もないのでさくさく準備を進める。
最初に髪を整えるため手櫛で髪をいじる。
「お嬢様の髪は相変わらず綺麗ですね。こんなに長くて綺麗な金髪の髪をお持ちのご令嬢は他にはいませんよ。」
「そ、そうかしら?」
「もちろんです。」
そう、うちのお嬢様は実はめちゃめちゃ美少女なのだ。
長い金髪とアメイジストの瞳に整った顔立。プロポーションも出るとこ出ててめちゃめちゃセクシー。
だけど、目が吊目がちなのでどうしても睨んでるようにみえてしまい、物語の悪役のような感じに見られがちなのが可哀想だが・・・
「ね、ねぇ。レスター。」
「いかがされましたか?お嬢様?」
そんなことを考えていたらお嬢様が話しかけてきた。
もちろん話をしながらでも手を休めることはしないのは執事として当たり前のことだ。
「今日も《あれ》に会うのかしら・・・」
「でしょうね。間違いなくきます。」
「そうよね・・・」
あからさまに面倒そうな感じのため息をつくお嬢様。
まあ、仕方ないかな。
気持ちは分かるし。
何せ・・・
「どうして毎回あの方は私に突っかかってくるのかしら?おまけにレスターには媚を売ってるし・・・まったく・・・レスターは私のなのに・・・」
後半は小声で聞こえなかったが、前半はまったくもってその通りだ。
「まあ、きっと頭がお花畑なのですよ。でも大丈夫ですよ。お嬢様。」
「そうかしら?私一応これでも公爵家の令嬢なんだけど、なんで男爵家のご令嬢があんなに突っかかってくるのよ・・・おまけに何故か王子の婚約者とか勘違いされるし・・・挙げ句のはてにレスターに酷いことしてるから解放しろとか何様なのかしら?」
「まったくですね。あんな王子の婚約者とかありえませんよ。おまけにお嬢様が私に酷いことなど出来ませんよね?」
「当たり前よ・・・」
ため息をつくお嬢様。
俺は髪を整えたあとに薄く化粧を施していく。
正直、お嬢様は化粧とか全く必要ないほどに素の顔が美少女なのだが、最低限礼儀として毎日施している。
それに、吊目のインパクトをいかせれば悪い虫はつかないしね。
「でも、ほんとに不思議なのよね・・・」
「そうですね。まあでも、何があってもお嬢様は私が守るので問題ありませんがね。」
「そうね・・・頼りにしてるわ。」
にっこりと笑って答えてくれるお嬢様。
信頼したもの以外にはなかなか笑顔をみせてくれないので嬉しいし、何より可愛い。
そうこうしていると準備は整った。
「お嬢様。ご準備が整ったのでお食事に参りましょう。」
「そうね。いつもありがとう。」
「当たり前のことですよ。私はお嬢様の執事なのですから。」
そう、当たり前のことなのだ。
お嬢様は知らないだろう。ここ最近やたらと学園でお嬢様に突っかかってくる男爵家のご令嬢が何故突っかかってくるのか。
何故ならおそらく、男爵家のご令嬢が“ヒロイン”でお嬢様は“悪役令嬢”という設定を・・・そういう内容の乙女ゲームを男爵家のご令嬢が前世の記憶で知っていたからだろう。
男爵家のご令嬢が転生者と呼ばれる前世の記憶持ちだからだろう。
何故そう思うかって?
俺も“そうだから”。
では、遅くなったが、自己紹介を。
俺の名前はレスター。
アクシグス公爵家でスティアお嬢様の専属執事をしていて、一応転生者だ。
そう、前世の記憶を俺も持っているのだ。