恋をする。
夢中だった。
あなたの困った顔を見た瞬間から、あなたをどうすれば笑顔にできるのか。あなたの手を引いて、どうにかあなたを安心させたくて。
ああ、こんなところが男っぽいって言われるのかな。そんなことを言われるのが嫌だ。けれど、私はかっこいい人か可愛い人のどちらの方が好きなんだ、って訊かれると、可愛い人の方が好き。
「あっ、ここです!」
立ち止まったとき、あなたはとびきりの笑顔を見せてくれた。
「本当にありがとうございます!」
あなたがお礼を言ったときには、あなたに夢中で仕方なかった。こんなに素敵な人に出会うことは二度とない。そこまで言い切れる。
あなたの姿が小さくなっていくと、私の寂しい気持ちは大きくなっていく。
――あなたとはまた出会うことができますか。
――もう、二度と会えませんか。
――この縁はこれっきりで終わってしまうのですか。
そんな想いが私の体を駆け巡ってゆく。そんな私が今、どんな状態になっているのか、私には心当たりがあった。
ほら、やっぱり。
私は可愛いあなたに恋をする。
この話を脚色したものが『EN-エン-』という作品のプロローグ『恋の始まり』となります。本作品に出てくるキャラクターと、『EN-エン-』という作品に出てくるキャラクターは同じです。
この後の二人はどうなっていくのか。気になる方は是非、『EN-エン-』という作品を読みに来てみてください。
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