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転生 002

 ここは部屋……というか小屋だった。よくわからない素材で出来ていいる、ということが解っている。木造でもなければコンクリートでもない。ただただ白い壁に閉じ込められたような感覚を覚える。

 外に出る扉を開けると、そこは空だった。この小屋は空中に浮いていたのだ。

 まあなんというか、これくらいで驚いていては拉致があかない。転生というよくわからない現象がこの身に起こっているのだから、空を浮くぐらいは当然だという結論に達した。


 室内の物を整理していると日常生活に必要な物は粗方揃っていたので、これで暮らせということだろう。

 冷蔵庫と台所が隅に寄せてあり、ベッドやテーブルなどは部屋の中心辺りに置いている。

 散乱していた本などは、本棚に収納した。表紙の題名らしき文字は読めなかったが、意味と内容が頭に飛び込んできたのは気のせいではないだろう。ということは恐らく言語も現地のものに調整(チューニング)されると思ってみていいか。

 掃除の途中で冷蔵庫の中身を漁ると、開け閉めするたびに中身が補充される謎現象が発生していた。これで食糧には困らない。生の肉や野菜は調理しないといけないだろうが……俺は料理ができない。それはまあいい。後で考えよう。




「使命とは、なんだ」


 あの声の主……名付けるとするならば『偉そうな奴(ロッカー)』だな。偉そうな奴は使命を与えるなんて言っておきながら、肝心の内容を伝えていなかったのだ。

 後から言うのか、ただ単に忘れていたのか怪しいところではある。

 夢に出てきてお告げをするのか、目の前に姿を現すのか……なんにしても、偉そうな奴だ。





 ◆





 当面の問題は解決できたところで、今度はこれからのことを考えるにあたって本を読み漁ることにした。

 幸いにも俺は読書が好きだから楽勝かと思っていたが……


「なんだこれ…………」


 ……まあ、聖書(という名のライトノベル)や聖典(という名の漫画)しか読んでこなかったため、内容が頭に入ってこない。

 ちなみに、今手に持っている本のタイトルは『魔術と魔法との付き合い方』。

 どうやら魔法の危険性について説いているようだが、残念なことに魔法が何たるかを知らない俺には難しすぎた。


「しゃーないか」


 とりあえず『魔法の使い方』という本を読むことにした。初心者にはこれくらいが良いのだろう。

 その内容はまだ理解の範疇だったので良い。

 簡単な魔法の使い方と書いてある欄の『操作(コントロール)』を覚えるために、『魔力』というエネルギーを認知し自覚して使わなければいけないらしい。

 そのためには『幻創の聖杯』に注がれた聖水を、神の前で飲むという儀式を行わなければならない。


 ものすごく面倒そうだ。なので魔法を使うのは諦めた。



 魔術は魔法とは違い、ぽんぽん火の球を撃ったりなんてことは出来ないようだ。

 必要な貢物を揃え、魔力で魔法陣を形成して、魔法陣に貢物を放り込んで呪文を唱えるというのが一般的。

 前提として魔力が使えなければいけない。これも無理。




「あれ? 詰んでね?」


 あまりにも早計すぎると判断して、本棚を端から端から余すところなく探り読み尽くすことにした。他にも何か方法はあるはず。

 なぁに、時間はたっぷりあるさ。慌てず使命を全うするための力を身に付ければいい。

 まずは知識から吸収すれば良いだけのことだ。

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