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転生 001

 嗚呼、悪い人生だった。

 いじめられ、虐められ、苛められ。

 散々な毎日だったさ。

 こんなアスファルトの上で死ねるなら、それはいいことだろう。

 ストレスの捌け口にされながら死ぬというのが一番屈辱的だ。


 ……嗚呼、悪い人生だった。


 瞼が上がらない。

 視界が0に。しかし……暗転(・・)!?



「え?」


 眩いほどの光が差し込んでくる。

 これは、なんだ?

 ここは、どこだ?

 手足の感覚がない。体もない。意識しかない。

 この状態は、魂?

 そうしていると、どこからともなく、声が響く。



『子よ、我が子よ。偉大なる神によって生み出された、悪の象徴よ。その願いを我が聞き届けたり』



 意味不明な言語で、耳に届く。

 しかし、理解(わか)る。

 脳で日本語に変換されたかのような、不思議な感覚。

 その言葉は、今は無き体に沁み渡る。

 この声の主は……神?

 願いとは、なんだ。



『汝に二度目の生と、使命を与える。転生するのだ、悪の象徴よ。その魂は天界へと昇りやがて方向を変えてとある地に降り立つ』



 要するに、転生ってことなのだろうか。



『拒否権は非ず。故に、在るが儘を受け入れよ』



 二度目の人生を与えられた。

 疑問しか浮かばないが、定められてしまったということが脳に焼き付けられた。



『逝くが良い、悪の象徴。次の世で使命を全うすれば、漸く…………』



 そこでテレビの電源でも切るかのように、意識が途切れた。









 目が覚めた場所は、どこかの家の中。

 そこには現代日本の家具、寝具、日用品などが乱雑に置かれていた。

 唯一散らかっていないベッドの周囲を見渡して、現状を確認する。


「転生、したのか。ここは………?」


 問いに答える者はいない。

 静寂が場を支配している。


「ひとまず、状況確認をしないと話にならないな」


 自分しかいない部屋でも、口を動かさないと駄目だということは前世で学んだ。

 舌にも筋肉があって、使わないと衰えてくる。

 


「おっ、鏡か」


 大きな姿見だ。そこに自分の姿が映し出された。

 黒い髪で、眼の色は蒼く、とても虚弱に見える、少年がそこにいた。

 表情は暗い。


「これが、俺か?」


 どうやら、声の主は楽に今世を生きさせてはくれないらしい。


「自ら鍛えよ…………ってことか」


 前世に比べれば、大分マシな条件下だ。

 面白くなってきた。

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