転生日記14
久しぶりの更新です。
これからは三日に一度のペースで更新していきます!
【十九日目】夜
森が騒がしい。何か起こっている気がする。
直感でそう感じた俺は外に出た。
外は月の光が辺りを薄く照らし、木の葉と葉が擦れる音が聞こえる静寂。
その中で見えた光る目。一つや二つではない、数えるのがめんどくさいほど沢山。あたり一面光る目だらけだろう。そして、月光が彼らを照らす。
光に反射するその灰色の身体。
正体は狼。それを知った俺はゴブリン達に伝えようと巣に入る。
しかし狼が吠え、俺はその動きを止める。
そのままこちらに向かって走ってくる、距離にして約200メートル。
これをそのまま放置はできない。やることは一つ。迎撃だ。
そして月夜の元で戦争が始まった。
しかし、明らかに数的不利である。敵の数は多い。俺一人で何が出来るというのだろう。
必死に考える。しかし、判断は早く。
そしてたどり着いた結論。
今出来る事は少しでも進行を遅らせる事。そのために俺は使える魔術を使いこなす。
『火炎魔法の発動』
火の玉一つでは足止めにもならない。
しかし量が多ければ、やつらの進行を食い止められる。
一気に火の玉を作るのだ。
『体内魔素の確保…成功。”火炎魔法”の異次元化…成功。対象を選んでください。』
対象は目の前にいる狼。とりあえず五匹ぐらいを目標にする。
『”火炎魔法”を発動します。』
成功するかもわからないが、成功しなければ巣は奇襲され死を迎えるだろう。
なら、ここで止める。
俺の頭上に幾つもの火の玉が現れる。それを俺は目標に飛ばす。
感覚としては近づいてくる狼に向かって視線を合わせるような感覚だろう。
単純な作業だが、威力はそこそこあり、当たると激しく燃え音も出る。
一匹、一匹ずつ確かに消えていくが、火の玉の生産量では追いつかなくなるほど押されてしまう。最終的には巣の入り口の前まで来てしまった。
ここを死守しなければ家族は死んでしまうし、俺自身も無事ではないだろう。
そこで俺は、一か八かの賭けに挑戦することにした。
『魔法の発動、大きな壁』
今まで一度も発動した事の無い魔法。
失敗すれば俺は死ぬ。成功すれば奴らは死ぬ。
『体内魔素の確保…成功。”大きな壁"の異次元化…成功。対象を選んでください。』
俺の目の前に高さ三メートルぐらいの壁を作り、飛び掛ってくるものを当てる。
そのタイミングはとても重要だ。足を地面から離した瞬間を狙う。
魔法の発動には若干ラグがあるので、少し速めに……
『”大きな壁”を発動します。』
突如目の前に土の壁が出来たらびっくりするだろう。しかし、やつらがそう思うのも一瞬の筈。
なぜなら、壁に当たり気絶しまうのだから。
あまりにも速いスピードで突っ込んで、硬い壁にぶつかるのだ。最悪死んでしまうだろう。
だが、予想は外れる。あまりにもスピードが速すぎて壁が破れる。
バリン!と鏡が割れる音が聞こえ壁が崩れる。
計算ミスをしてしまったようだ。
あの壁は硬い。ちょっとやそっとじゃ崩れないはず、という思いがあったのだろう。
賭けに負けたのか、と思い笑みが溢れる。
死を覚悟した。
しかし、神は見捨てていなかった。
みんなが巣の中から飛び出たのだ。
『全軍突撃!我が友を助けろ!』
サリーの指揮の元、二百を超えるゴブリンが一斉に動き始める。
俺を狙っていた狼もこれには驚いたらしく、ゴブリンを見入っている。
その瞬間を狙い火の玉を発射する。
形成逆転だ。ここからは守勢から攻勢に立つ。
ゴブリン達が接近戦をしている間に、呪文を唱える。
火の玉を急ピッチ生産し、ピンチになると発射し防衛ラインを上げていく。
最初は押していた狼も数で劣るようになり、撤退を考え始めただろう。
それを狙うようにゴブリンは四方から囲みに掛かる。
全滅は時間の問題だが、時間は有効に使いたい。
この戦いを終わらせることにした。終止符は俺が撃った”爆破魔法”だ。
囲まれた狼の中心をピンポイントで爆破する。あまりの爆風にゴブリンも少々吹き飛んだが気にしない。
ゴブリン達は狼の死体を手際よく片付ける。片付けると言っても一箇所に集めるだけだが。
終わると寝床に入ろうとする者や、狼の皮などを丁寧に剥ぎ取り利用しようとしている者もいる。
それが終わると、朝になり昨日は何も無かったかのように一日を始める。
俺は返り血を落とすと、寝床に入り僅か数秒で深い眠りについた。




