転生日記1
「まだ泣いていないだと?」
白衣を着た中年のおっさんが慌てて言う。
その横で赤ん坊の母が手術台に寝ている。そして助手と思われる人物があたふたしている。どうやら今回の手術が初めてのようだ。
私は赤ん坊のようだ。夢だろうか。しかし、何か感覚が違う。
身体が動かせない。呼吸ができない。
何がどうなってるかわからないが、怖い。死という恐怖が迫ってきているような気がして。
頭の中がはっきりしない。何も考え切れない。周りの状況に対する自分の頭の整理が追いついていない。
生まれて何も出来ず人生終了。
あっけない。本当に。
だんだん意識が遠のく。
しかしその中、私はとある言葉を聞いた。
「・い・・い・・・か・・・・・よ・代価として魔力を支払う!」
その言葉を聞くと私は深い睡魔に襲われてしまった。
___________________________________________
魔力、多分私が生きていた二十一世紀には存在しない物。そう、私は二十一世紀から転生したのだ。転生といったら中二病やそっち系と思われるが、本当に転生したのだ。その証拠としてもう目が見える。私はあまり保育の経験や勉強をしていないのでわからないが、多分地球なら相当時間がたたないと見えないだろう。それともう一つの証拠として私は今ベビーベットらしいところで寝ているのだ。流石にこんなに早く退院できないはず。…うーん、とりあえず現状把握からかな。
元の世界の名前は渋沢光一十八歳。転生した理由は、多分学校帰りの電車に乗っている途中に何かあったのだろう。可能性を挙げよう。
1 その電車が異世界に行く電車だった。
ありえない。まあ、魔法が存在する事自体ありえないんだがそれは異世界だからとして、二十一世紀にはそんな電車はない。
2 死亡説
これが一番信用がある説かな。事故か何かで死んでしまい、そのまま異世界に転生した。でも、私は事故や死亡したことについて覚えていなく、微妙な説だ。とりあえず保留。
こんな感じかな。有力な説は2番だ。事故の記憶がないが、そこらへんは記憶障害かなんかあって飛んでいるなら辻褄が合う。まあ仮説だが。
やばい、考えていたら睡魔が襲ってきた。眠たい。欲に勝てないな。そこらへんは子どもだな。俺は小さく背伸び?をして、おとなしく寝た。
___________________________________________
過ごしてわかったことがある。この家には両親以外にも姉と兄がいる。まず私の名前はマイリ=マクギガン。マクって呼ばれているが、正直名前が気に入らない。次に母の名前はマイリ=ペナントだ。ペナと呼ばれ、年は三十歳くらいでまあまあ美人だ。夫はマイリ=ヨークで、ヨークと呼ばれている。少し痩せているが隠れた筋肉がる。両親の仕事は正確にはわからないが、多分農家かなんだろう。改めてすごいところに転生したなーと思った。兄はマイリ=テイルだ。そのままテイルと呼ばれている。年は十代前半ぐらいと思うが、意外と優しい。それは声と顔で判断した。姉はマイリ=ウィルソン。ウィルと呼ばれていて、一番先に覚えた名前だ。お母さんと似て美人なので将来有望。このまま綺麗だったら結婚したいと思うくらい完璧だ。ちなみに言葉はなんとなくでわかる。日本語ではないが、なんとなくわかるのだ。とりあえず何して暇を潰そうか迷っていたら、兄がおもちゃらしき物を持ってきた。流石兄さん、優しいよ。兄が持ってきたおもちゃで一日を潰した。
初めまして。アイスです。
今回が初投稿ということで、甘い点もあると思いますがご指摘よろしくお願いします。