あの場所へ
中を照らすと真っ暗で自分の足下を照らすのに精一杯だった。
廊下の先を照らしても光が闇に吸い込まれるように何も見えない。
僕らが目指すのは一階の一番端にある図書室の倉庫から繋がる地下である。
そこの地下には戦時から集められてきた古い書物など保管されておりほとんど何が書いているのかさっぱりだと言う。
ちょうど僕らが図書室に入る直前だった。
図書室の奥から女性と男性の悲鳴があがった。
僕らはびっくりし息をのみ込んだ。
一瞬固まったが他にも肝試しをしにきている人達がいるのだろうと直ぐに察し少し緊張がほぐれた。
邪魔になっちゃ悪いし極力音を立てないよう図書室に入りその人達が出てくるのを椅子に腰掛けて待つことにした。
数分後、奥の部屋がだんだんと賑やかになってきた。
どうやら地下から戻って来たのだろう。
僕はその人達の声がする部屋に懐中電灯の光を当てると、うわぁっと一度びっくりされたが向こうも僕らに気づき光を当ててきた。
お互い確認しあい人であることを認識できたとたん笑みがこぼれた。
君たちも肝試しかい?
どうやらそのグループの2人組の男性は大学生でウチの卒業生。
本当は4人で来ていたらしいが地下ではぐれてしまい探したが見つからず一度外に出ようとしていた時だったらしい。
はい、僕たちも地下にいくので肝試しがてらに見つけたら外に出て行きましたと伝えておきますね。
最早、雰囲気はあるが肝試しの気分ではなくなっていた。
気を引き締めて、雄也の一声で地下へと向かった。