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Angel In Online  作者: 一狼
第2章 Vortex
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8.臨時PTと自己紹介

8月6日 ――6日目――


 俺は昨日臨時PTを書き込みした掲示板をチェックしてみた。

 ・・・うん、俺は何も見なかった。舞姫信者なんて見なかったし、おっぱい名誉会長なんて見なかった。


 朝食をとるため1階に下りていく。


「おはようございます」


「おはよう。お嬢ちゃん、朝食を食ったら村長のところに行ってもらえるか。

 昨日のことを話したらお礼を言いたいそうだ」


 そりゃそうだ。村を助けてもらうのに村で一番偉い人が挨拶もなしと言うわけにもいかないからね。

 俺は朝食を終えて村長のところへ向かう。

 アルテ村の村長はいかにもという感じの白いひげを蓄えた小柄の老人だった。


「このたびはアルテ村を救っていただけるそうで、何とお礼を申し上げてよいのか」


「えーと、お礼は『水龍の王』を倒した後ででもいいですよ。まだ倒せると決まったわけでもないですから」


 『水龍の王』に返り討ちに会うことだってあり得るしね。

 もちろん死ぬつもりはないので生きて帰るつもりでいるけど。


「ところで今回生贄になるルーナちゃんは?」


「ルーナは村の北にあるルナムーン神殿に居ります。彼女は月神の巫女でしてな。といってもまだ見習いですが。

 今回の生贄で月神の巫女の血筋が途絶えてしまうと危惧していたところでして。」


 神殿なのに巫女なのか? 設定がごっちゃになっているぞAI-On(アイオン)


「それじゃルーナちゃんに会ってきます」


「はい、ルーナ会って安心させて下さい。あの子も我々にも気丈に振る舞っておりますが、心の中では恐怖で押しつぶされそうになっているはずです」


 村長の家を後にして北にあるという神殿に向かう。


 北にあった神殿はいかにも村には似つかわしくない存在を醸し出していた。

 王都にある勇猛神を祀るブルブレイヴ神殿と比べるとみすぼらしく感じるが、明らかに立てる場所を間違えたのではないかと思ってしまう。

 それとも村が神殿の繁栄に追いついていないのかもしれない。

 あ、そうか生贄の儀が原因とも考えられるか。


「ごめん下さい~ 誰かいますか~」


「はーい、どなたですか~」


 神殿の奥の部屋から銀髪の髪をポニーテールにした12歳くらいの少女が出てくる。


「あなたがルーナちゃん? わたし昨日この村に来た冒険者のフェンリルって言うの」


「あ、村長さんに聞いてます。『水龍の王』を倒してくれる冒険者だって。

 あたしが生贄になることでアルテ村が助かるんであればそれに越したことはないんすけど、月神の巫女が居なくなってしまうことだけが心配でしたので、今回のお話はすごく助かります」


「えーと、ルーナちゃん小さいのに随分しっかりしてるね?」


「小さい時、父と母が亡くなって月神の巫女としてしっかりしなくてはいけなかったので。

 と言ってもまだ修行中ですけどね」


 子供とは思えないほどしっかりした口調で話す彼女は無理に大人になろうとしてる子供を操沸させる。

 村の助けがあるとはいえ小さい頃からの1人での生活、生贄としての自己犠牲、月神の巫女としての責任感、これらが入り乱れての結果でこうなってしまったんだろう。

 そう思うとNPCとはいえ不憫に思えてくる。


「ルーナちゃんお姉さんに任せてね。必ず『水龍の王』を倒してルーナちゃんに月神の巫女を続けさせてあげるからね」


「ありがとうございます」


「ルーナちゃん、堅い堅い。もっと子供らしくありがとでいいんだよ」


 俺は微笑みながらルーナちゃんの頭を撫でる。


「お姉ちゃん、あ、ありがと・・・」


「ん、それじゃわたしはいろいろ準備があるから行ってくるね」


「うん、行ってらっしゃい」




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 ルーナちゃんには準備と言ったが、ぶっちゃけ臨時PTが集まるまでほとんどやることがない。

 出来ることと言ったら確認してなかった水中呼吸スキルを試してみるくらいだ。

 ああ、水中での魔法の威力の確認も必要か。

 ついでに泳ぎスキルのLv上げも出来るな。


 昨日に引き続きクリスタル湖に足を運ぶ。

 水の中に入ると魔法少女の姿からスクール水着の姿へ変わる。

 くっ、この股に食い込む感じが落ち着かない。

 女の子は水着を着るときいつもこんな感じでいるのか?

 胸も押し付けられて苦しいし。

 ・・・もしかして水着が小さいのか? 

 このピチピチした格好が萌えなのか!?

 ツインテールのピチピチスク水ロリ巨乳が萌えなのか!?

 考えて虚しくなってきた・・・やめよう、考えるだけ俺の男ゲージにダメージが行くんだ。


 早速、水中呼吸可能の獣化スキル戦技・フィッシュブレスを発動する。

 首のあたりにエラが出来てるとは思うが、萌えスキルの影響で外見に変化はない。

 こういう時の萌えスキルが便利だと思ってしまうのはちと悔しい。

 ちなみに腕の筋力が上がるベアアームは腕が一回り大きくなり毛深くなる。

 足が速くなり回避力が上がるガゼルレッグは足の形が動物の脚のように変化する。

 このように外見が(場合によっては醜く)変化してしまう獣化スキルは結構嫌われてるらしい。


「あー、あー。うん、ちゃんと呼吸もできるし、喋ることもできる。呪文の詠唱も問題なさそうだな」


 フィッシュブレスは獣化スキルLv20で覚えることが出来る戦技だ。

 今の獣化スキルのLvは28だからとっくに覚えてたんだが、なんでこんな便利なスキルを見逃していたのかというと、まぁ俺の勘違いだったんだけどね。

 碌に説明文を読まずに、フィッシュブレスと言う名前から鉄砲魚みたいに口から水を吐き出す戦技だと思っていたのだ。


「よし、後は水中での魔法の影響の確認だな」


 丁度向こうから昨日でお馴染みになった水中モンスターのジョーズが現れた。

 剣を両手に構えて戦闘態勢を取り、まずは小手調べにファイヤーボールを撃ってみる。


「ファイヤーボール!」


 放たれた火球はジョーズに当たり一撃で消滅する。


「おお、一撃で消滅か。と言うか威力上がってね?」


 そこで両手にあるのが魔剣であることを思い出す。

 チートとまではいかないが、かなりの威力を秘めた魔剣を持ってるのだ。魔法の威力も上がるに決まってる。しかも極大魔力と言うチートスキル付きだ。

 今さらにながら自分のスペックの異常さに眩暈を覚える。

 別に俺TUEEEをしてもいいのだが、自分の突出したスペックに何故かいたたまれなさを感じてしまう。


「ん、水中でも火属性は使えるな。よし、次は水属性を試してみるか」


 この後も水属性のウォーターボール、風属性のエアロボム、土属性のストーンブリット、雷属性のサンダーボールを試していく。

 武器を最初のころの剣に変えてみたり、極大魔力スキルを外してみたり、いろいろ試してみたところ次のような結果になった。


 火属性は約50%の威力

 水属性は水属性のモンスターには耐性があり、効果は約80%ほど

 風属性は約80%の威力

 土属性はほとんど問題なく約100%の威力

 雷属性は水中での効果が上がり約120%の威力


「ふむ、水中戦闘は土属性と雷属性の攻撃をメインとした方がいいな」


 この後の臨時PTで集まる人にはいい情報を提供できそうだ。

 もっとも俺はチートスキルとチート武器があるから雑魚戦ではあまり影響はないけどな。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


8月8日 ――8日目――


 臨時PT募集の時間10時が過ぎ、時間ぎりぎりに間に合った盗賊(シーフ)を最後に募集を締め切る。


 臨時PTは俺を入れてPT上限の7人丁度となった。

 思ったより集まりが少なかったがPT上限まで集まったので良しとしよう。


 もちろん期限前より早く来た人もいた。

 流石に他のメンバーをただ待っているだけとはいかず、とりあえず早めに来た人たちとPTを組み、サンオウの森やクリスタル湖でレベル上げを行ってはいたが。


 「えー、このたびは『水龍の王』討伐のための臨時PTの募集に参加していただきありがとうございます。わたしが参集者のフェンリルです。ご存知の方もいると思いますが不本意ながら『魔法少女』『剣の舞姫(ソードダンサー)』の二つ名で呼ばれている魔術師(ソーサラー)です」


 リーダーとしての挨拶、自己紹介、討伐のための戦略をするためアルテ村の宿にみんなに集まってもらった。

 自分でも忘れてたが参集者である俺がPTリーダーとしてみんなを引っ張っていかなければならない。

 勘弁してくれ、俺はリーダーって柄じゃないんだ。

 あわよくば他の誰かにリーダーを譲ろう。


「フェンリルちゃん堅いよ~。もっとフランクにしてもいいから」


「そうそう、ゲームで敬語なんて使わなくてもいいから。それに俺らこれから王を倒すため協力していくんだ。硬いままだと意思の疎通が出来ないぜ」


 一番最初に村に来た2人―戦士(ファイター)僧侶(プリースト)がそう言ってくれる。


「え、そ・それじゃあお言葉に甘えて。

 もうお互い知ってる人も居るけど、とりあえず来た順番に自己紹介をお願いね。そのあとで今後の作戦会議ね。はい、ヴァイオレットからお願い」


「おう、ヴァイオレットだ。Lv24の戦士(ファイター)だ。ヴァイと呼んでくれ。よろしく頼むぜ」


「あたしはヴィオレッタ。Lv24の僧侶(プリースト)よ。ヴィオって呼んでね。ヴァイとはPTを組んでるわ」


「ちなみにこの2人はリアルで恋人同士だそうです。リア充爆発しろ」


「ちょっ! フェンリル、その情報はいらないだろう!?」


「フェンリルちゃん、黒いよ!」


 ちっ、どうせ「生きて現実(リアル)に帰ろうね」なんて言ったりしてるんだろ。


「えーと、次行っていいのかな・・? 真桜です。Lv22の召喚師(サモナー)です」


 真桜ちゃんは俺と同じくらいの身長の小柄な少女だ。

 召喚師(サモナー)は文字通りモンスターを召喚する職業だ。ただしネット小説とかのように無制限とか特別なモンスターを召喚できるわけではない。召喚できるモンスターも決まっている。


「真桜ちゃん、今召喚できるのはMobの種類は6種類だっけ?」


「うん、ゴーレム、ウルフ、フェアリー、リザードマン、ユニコーン、ラミアの6種類をLv20超えたから2匹同時召喚できるよ」


 思っていたよりは強力なモンスターを召喚できるみたいだ。ヴァイもそう思ったのか真桜ちゃんに質問をする。


「Lv20台にしてはかなり強力なMobを召喚できるんだな」


「でも召喚者のレベルに応じてMobのステータスも調整されるから強力とは言えないけど」


「それでも十分ですわ。水中戦闘に使えるのはフェアリー、リザードマン、ラミアの3匹に絞られますけどね。

 次はわたくしの自己紹介をさせてもらいますわ。わたくしローズマリーと申します。戦士(ファイター)のLv24ですわ。わたくしを呼ぶときはマリー様とお呼びくださいませ」


 お嬢様口調で自己紹介をするマリー様。どうも現実(リアル)でもお金持ちらしくお嬢様みたいなのだが。


「えっと、マリーはMMO自体が初心者なんだっけ? それでその喋り方とかはロールプレイなのかな?」


「ええ、面白いという噂を聞きVRMMOを始めましたのですけど、デスゲームと言うのに巻き込まれて大変不愉快な思いをしておりますわ。

 普段からこの喋り方をしておりますけど、ロールプレイとはなんでしょうか?」


「ああ、うん、分からなければそれでいいよ」


 やっぱり現実(リアル)でもお嬢様らしい。それとも素人のふりをした高度なロールプレイかもしれないが。


「ところで今まで1人でプレイしてきたの?」


「いいえ、今まで7人でPTを組んでおりましたが、このたびの臨時PTの招集に必要性を感じて来ましたの」


「え? それじゃあそのPTの人たち困ってるんじゃないの? マリーさんは前衛職だから急にいなくなったらマズいんじゃ・・・?」


 真桜ちゃんが心配そうに尋ねる。


「大丈夫ですわ。この件については皆様も納得して下さいましたし、何よりわたくし1人が抜けたところで負けるほど弱い人たちではありませんわ」


 彼女はお嬢様口調だが決して高飛車ではない。むしろ周りをちゃんと気遣い、すぐさま適応させる柔軟さを持ち合わせている。


「次は僕かな。Unicodeです。職業は付与術師(エンチャンター)です。Lvは21です。Unicodeは呼びにくいですからユニって呼んで下さい。今まで臨時PTであちこち渡り歩いてました」


付与術師(エンチャンター)の参加は大歓迎だよ。ユニ君は獣化スキルを持ってるんだよね?」


「え? はい、獣化スキル持ちですけど」


「フェンリルさん、付与術師(エンチャンター)であれば獣化スキルは必要ないんじゃありませんの?」


付与術師(エンチャンター)が戦技を使えるのが重要なの。水中でうっかりBuffが切れた場合、彼が居ればわざわざ水上に上がってかけなおす必要がないからね。と言うか『水龍の王』と戦闘中に水上に上がれる余裕なんか無いと思うし」


「納得いたしましたわ。流石剣の舞姫(ソードダンサー)ですね。あらゆることを想定して対処する、臨時PTを招集するリーダーに相応しいですわ」


「僕も納得しました。流石ですね」


 あれ? 何か評価が上がっちゃってるんですけど。やばい、このままじゃリーダーをやらされそう。


「最後は俺だな。集合時間ぎりぎりになって申し訳なかったな。俺は紺碧っていうケチな盗賊(シーフ)だ。Lvは26。ギルド『9人の女魔術師(ソーサレスナイン)』に所属してる。ここに来たのはギルドマスターの命令だ」


「え?! もうギルド作ってるんだ。スゴイ」


「マジか。しかも名前からすると10人以上メンバーが居るってことだよな?」


「あ、僕聞いたことあります。火力をメインに集めた最速で作ったギルドだって」


「ああ、何をトチ狂ったか魔術師(ソーサラー)だけでギルドを作っちまってな。しかも9人全員女ときたもんだ。だがその9人の女どもに憧れてどんどん人が集まってきたのさ。ま、俺もそのうちの1人ってわけだ。

 その憧れのギルマスの命令が『水龍の王』の情報を集めてこいってのと、剣の舞姫(ソードダンサー)あんたのスカウトだよ」


「うぇえ!? わたしのスカウト!?」


「そ、あんたは名声も実力もあるからな。ギルマスもあんたをお気に入りだしな」


「え・えっと、その話は『水龍の王』を倒した後にしない? すぐ答えを出せるわけでもないし」


「ああ、いいぜ。スカウトは出来たらの話だからな。色いい返事期待してるぜ」


 今のところギルドに所属するつもりはないんだけどなぁ~

 下手に集団に交じってネカマがばれた時の反応が怖いし・・・


「全員の自己紹介が終わったところで、今後の作戦を立てたいんだけど」


「作戦と言っても、このまま『水龍の王』を倒しに行くんではないのですの?」


「流石にこのまま行くのは無謀よ。わたしの考えとしてはこの7人での連携を慣れるためにサンオウの森で1日もしくは2日ほど戦闘を行い、そのあとで水中での戦闘に慣れるために3日ほど費やしたいんだけど。あと、『水龍の王』に挑戦するのはLv30を超えてから」


「Lv30の目安は転職をしてからか。確かに上級職には役立つ職もあるし、何より上級職になってからの方が生存率が上がる」


 紺碧さんのセリフにはギルドか個人のかは分からないがかなりの情報を持ってそうに感じる。


「そ、デスゲームになったからには死ぬわけにはいかないからね。なるべく安全確保はしておかないと」


「なぁ、安全確保が大事なら8月31日以降に『水龍の王』を倒さないか?

 そりゃあ、ルーナちゃんには悪いと思うがデスゲームになってまでNPCを気遣う必要はないと思うんだが」


 俺も一度は考えた案をヴァイが提案してくる。

 ヴァイとヴィオは村に早く着いたため村の状況や『水龍の王』の衰弱化を知っている。だが――


「その案は却下よ。いくらNPCだからってぞんざいに扱っていいわけではないと思うの。ここのAIを見れば分かる通りほとんど人間と変わらないわ。自分たちの為だけに彼女を犠牲にはできない。

 それにそういう考えこそがAccess社の(トラップ)かもしれないしね。彼女を見捨てたことにより何かのフラグが立たなかったとかの」


「あー確かに、何か罠のような気もするな。わりぃ失言だった」


「フラグとか何のことかわかりませんですけど、人として彼女を見捨てることは出来ませんわ」


「だね、いくらデスゲームだからって自分の好き勝手やってたらあとでしっぺ返しを食らうと思うの」


「うん、僕もルーナちゃんを助けたい。NPC相手に何むきになってるんだって言われてもね」


「なんか責められてるように聞こえるのは気のせいか?」


 別に責めてるわけではないと思うが言い出しっぺのヴァイは自分が責められてると感じてるみたいだ。


「あんたがバカなことを言ったからでしょ。甘んじて受け止めなさい」


「くぅ、彼女なんだから少しは優しい言葉でもかけてくれよ・・・」


 はいそこ、いちゃいちゃしない。羨ましくなんかないんだからな。


「『水龍の王』の力が最大になる8月31日前より早めに倒すということでリーダーの案でいこうぜ」


 紺碧さんがうまく作戦会議を締める。

 しまった! このままじゃリーダーをやらされてしまう。よし、紺碧さんをリーダーに推薦しよう。


「紺碧さん、上手く纏めてくれてありがとう。ねぇ、良かったらリーダーやらない?」


「「「「「「え? なんで?」」」」」」


 うぉ、皆でハモった。


「なんでって、わたしリーダー向きじゃないし、流石にプレッシャーを感じているのよね」


「そんなことありませんわ。フェンリルさんあなたはリーダーとしての資質を持ってますわ」


「そうだよ、フェンリルちゃんは上手く皆を引っ張ってくれてるよ」


「うん、僕もいろんなPT回ったけど、フェンリルさんは上手くやってるよ」


「なんかフェンリルちゃんは女らしさの中に男らしさがあって、それがみんなを引っ張っていく魅力的な部分になってるよ」


「他のみんなが来る前にあんたと組んで狩りをしたけど、上手い指示だったぜ。あんたがリーダーでいいと思うぜ」


「みんなが言うとおりあんたがリーダーだ。俺は盗賊(シーフ)だからな、裏方があってるんだよ」


 うおおぉぉ、みんなそれらしいこと言ってるけど適当なこと言ってるだろ!?

 くそ、やってやるよ。


「はぁ、分かったわ。やるからにはみんなわたしの指示を聞いてもらうわよ。いいわね」


 みんなはもちろんだとばかり頷く。

 俺たちは当初の予定通りレベル上げと連携を訓練するためにサンオウの森に向かう。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


エンジェルクエスト攻略に関するスレ


812:ジロウ

 ちょっと疑問に思ったんだけど、なんでエンジェルクエストの情報が少ないんだろう?

 βプレイヤーが情報を隠匿してるのかな?


813:クリムゾン

 >>812 過去ログ嫁


814:フレグランス

 >>812 このスレの最初の方にも出てたけど

 オープンβにはエンジェルクエストが存在しなかったんだよ


815:ジロウ

 mjd!?


816:光の王子

 オープンβ時は代わりに精霊クエストが存在したらしい


817:XYZ

 そういえば誰か東和都市に行った人いる?


818:メイプル

 まだ王都周辺です~


819:フリーザー

 東和都市って王都から東の街道の先だよね?

 まだ行ったことねー


820:るるぶる

 こちら現場のるるぶるです

 私は今うわさの東和都市に来ております

 都市の雰囲気は時代劇を思わせる作りとなっておるようです


821:XYZ

 >>820 都市のどっかにでっかい門ない?

 フレが鬼の柄が描かれた門があるって言ってたから

 その門って王に通じるダンジョンの入り口じゃね?

 もしよかったら調査と報告よろしく


822:るるぶる

 分かりました

 こちらで調査を開始したいと思います

 分かりしだい視聴者のみなさまへご報告させていただきます

 こちら現場のるるぶるででした


823:独眼竜

 ウエストシティにもでっかい門があるって聞いたけど

 もしかしてそれも王のダンジョンかもな


824:XYZ

 誰か調べてくれ~


825:愚か者の晩餐

 ロック平原の南にある塔の名前が分かった

 ガラクタの塔で居るのが『廃棄の王』


826:ジロウ

 >>825 ガラクタでできた塔なのか?w


827:愚か者の晩餐

 >>826 名前がそうなだけ。いたって普通の塔だった

 ちなみにLv25で調査しようと突入したら速攻死にかけた;;


828:メガMAX

 生きていただけまし


829:フレグランス

 しかしLv25で死にかけって相当レベル高そうだな


830:光の王子

 そういえば『水龍の王』に挑戦したソードダンサーは大丈夫かな?

 無謀な挑戦じゃなければいいけど



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