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Angel In Online  作者: 一狼
第1章 Start
5/84

4.助っ人と初PT

8月2日 ――2日目――


「ファイヤーボール!」


 右の剣に火球の魔法剣を。

 その状態を維持しながら、ホブゴブリンの攻撃をステップで躱しつつ、再び呪文を唱える。


「サンダーボール!」


 左の剣に雷球の魔法剣を纏わせ、タイミングを見計らいホブゴブリンに二刀流スキルの戦技・二連撃を叩き込む。


 戦技は必殺技みたいなものだ。

 魔法は呪文を詠唱し発動するが、戦技は思考操作により発動する。

 消費するのはなぜかMPだが。


 グギャァァァァ―


 攻撃を受けたホブゴブリンは一撃で消滅する。


 俺は再び始まりの森の奥に来ていた。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 昨日も夕食の後、ログインして狩りを再開した。

 AI‐On(アイオン)の世界の時間は現実世界とリンクしている。

 なので夕食後、8時過ぎにログインするとあたりは真っ暗だった。

 俺はランタンを購入して夜の森で、イメージによる戦技・魔法に変化をもたらす効果理論―略して『イメージ効果理論』―の実験、及び実験によって得られた効果を習得するための練習をした。


 まぁ、夜だったので出現するMOBも強くなってたし、視界が悪いのでそんなに長くは居られなかったが。


 そんなわけで昨日の続きをするべくログインして直ぐに森に向かおうとしたが、メニューを開いてみると魔術師(ソーサラー)のLvが23となっていた。


 職Lvが10を超えるたびにサブスキルのスロット枠が1つずつ増えていく。

 現在Lvが20を超えているので、サブスキルスロット枠が2つ増えたわけだ。


 新しいサブスキルを手に入れるため、商店街通りでランダムスキルブックを購入する。


 サブスキルを手に入れるには、スキルブックが必要になる。

 スキルブックには

 剣のスキルブックや火属性魔法のスキルブックなどの、専用スキルブック。

 サブスキルをランダムに覚えるランダムスキルブックの二種類が存在する。


 何故ランダムスキルブックを購入したかというと、レアスキルが出るのを期待して――ではなく、ただ単純にNPC売りの専用スキルブックは高いからである。


 簡単に手に入りそうな剣のスキルブックでさえ100,000ゴルドもするのだ。

 二刀流のスキルブックにもなると500,000ゴルドとゲーム開始ではとてもじゃないが手に入れられない。

 それに比べランダムスキルブックはたった1,000ゴルドしかしない。

 自分好みのスキルが出るのを期待してランダムスキルブックを購入するしかないのだ。

 全く、ここの開発者はどれだけランダムが好きなんだか。


 ちなみに、自分に必要のない控えにしてるサブスキルは空白のスキルブックに移すことが出来る。

 移されたスキルブックは専用スキルブックに変化する。

 後は、他のプレイヤーとの取引で自分の欲しいサブスキルを手に入れることも可能だ。


 とりあえずランダムスキルブックを2つ購入する。

 開いてみると雷属性魔法Lv1と水属性魔法Lv1を覚えた。

 雷属性魔法はいいが水属性魔法はダブリだ。


 スキルには(ジョブ)スキルとサブスキルの2種類存在する。

 と言っても効果は全く同じだ。

 ただ、成長の仕方が違うのだ。


 (ジョブ)スキルは職業が覚えるスキルだ。

 俺の魔術師(ソーサラー)で言えば


 杖

 火属性魔法

 水属性魔法

 風属性魔法

 地属性魔法

 魔力量強化

 身体強化魔法

 補助魔法


 となっている。

 Lvは職業のLvに準ずる。

 魔術師(ソーサラー)がLv23となっているので、それぞれのスキルはLvが23という扱いだ。


 職業はモンスターを倒して経験値をためてLvUpするのに対し、サブスキルはスキルを使用した分だけ経験値が溜まり成長する。


 そして今回の俺のように(ジョブ)スキルにも水属性魔法があり、サブスキルにも水属性魔法がある場合は、(ジョブ)スキルが優先される。

 つまりいくら水属性魔法を使用してもサブスキルの水属性魔法のLvは上がらないのだ。

 まぁ、メニューを開いて(ジョブ)スキルの水属性魔法を使用しないに設定すればサブスキルの方の水属性魔法のLvが上げることは出来る。

 今の段階ではそれをしても意味はないけど。


 しょうがないのでもう1つランダムスキルブックを買う。

 覚えたのは獣化スキルLv1だった。

 魔法とは別に戦技扱いで獣の力を借りて身体を強化するスキルだ。


 うん、雷属性魔法と獣化か。結構いいスキル覚えたな。


 気をよくした俺は新しく手に入れた雷属性魔法と獣化のLv上げと『イメージ効果理論』の練習の為に森の奥に行く。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「ふぅ~、さすがに2種類同時の魔法剣は扱いが難しいな」


 目の前のホブゴブリンを片づけて一息をつく。


 昨日よりさらに森の奥に来るとモンスターも強さを増していく。

 ジャイアントスパイダー、ジャイアントバイパーといった森のモンスターや、ゴブリンの亜種のゴブリンソルジャー、ゴブリンシャーマン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンより上位のホブゴブリン、さらにはボガード、オーガまで出てきている。


 さすがにモンスターは強くなっていくが、こちらにとっては『イメージ効果理論』のいい練習台だ。


 さらに奥に進もうとすると剣戟や魔法の戦闘音が聞こえてくる。

 どうやら近くで誰かが戦っているようだ。


 音のする方に行ってみると戦士(ファイター)3人、盗賊(シーフ)魔術師(ソーサラー)僧侶(プリースト)の6人のパーティーが戦闘中だった。


 ホブゴブリン4匹が後衛の3人に襲いかかろうとしていた。

 前衛の戦士(ファイター)3人はオーガ3匹が相手で精いっぱいで後衛まで手が回っていなかった。

さらにその奥にはゴブリンアーチャーとゴブリンシャーマンが控えていた。


 あれ? これって結構ピンチじゃね?


 そう思った俺は左右の剣を抜き、獣化スキルの戦技・ベアアーム――筋力強化――を発動しつつ呪文を唱え戦列に加わる。


「ファイヤーボール!」


 俺の放った火球は後衛の盗賊(シーフ)に向かおうとしていたホブゴブリンに当たり一撃で消滅させる。


「助太刀するよ!」


「すまない、助かる!」


 攻撃しておいてから断りを入れるのもなんだがその盗賊(シーフ)のそばに行く。

 どうやら大分ピンチだったらしく盗賊(シーフ)はかなり安堵した表情を浮かべる。


 ところが後衛に向かおうとしていた残りのホブゴブリンが3匹とも俺の方に向かってくる。


「え?」


「は?」


「あれ?」


 自分達に向かおうとしていたホブゴブリンがいきなり方向を変えたので後衛の3人は唖然とする。


「ちょっとー!?」


 俺は突然向かってきたホブゴブリン3匹を相手に悲鳴を上げ、剣で捌きながらステップで躱しながら対処する。

 が、さすがに3匹は辛い!

 ステップのレベルを上げていなければとっくにHPを全損していただろう。

 ホブゴブリンの攻撃を躱しながら前衛の方を見るとオーガまでもが目の前の戦士(ファイター)を無視してこちらに来ようとしていた。

 さすがにそれは戦士(ファイター)達が何とか食い止めてはいたが。

 その後方のゴブリンアーチャーとゴブリンシャーマンもホブゴブリンの合間を縫って俺に攻撃をしてくる。

 それすらもステップで躱し続ける。


「凄い・・・」


「まじかよ・・・」


剣舞(ソードダンス)・・・」


 俺の驚異の回避を目のあたりにした3人は攻撃するのも忘れて驚愕の目でこちらを見ている。


 呪文を唱え終えた俺は、目の前の2匹のホブゴブリンに向かって突っ込む。

 その内の1匹に鍔迫り合いに持ち込み密着した後、呪文を発動する。


「ファイヤーアロー!」


 俺と鍔迫り合いしていたホブゴブリンのすぐ後ろに無数の炎の矢が出現し、俺に向かって(・・・・・・)発射される。

 炎の矢は2匹のホブゴブリンに命中し消滅させる。

 密着状態だった俺はホブゴブリンにを盾にしていたのでダメージは無い。

 もっとも、自分の呪文ではダメージは受けないのだが。

 ダメージは受けないけど衝撃はあるからホブゴブリンを盾にしたんだけどね。


 2匹を倒してすぐさま振り返り残りの1匹に二刀流スキル戦技・十字斬り叩き込み距離を開ける。

 その間に呪文を唱えて魔法剣を発動する。


「ファイヤーボール!」


 再び近づいてきたホブゴブリンに魔法剣を叩き込むと、ホブゴブリンは火球の効果により火達磨になり消滅する。


「うそ~、一人でホブゴブリン4匹倒しちゃったよ~」


「ありえねぇー」


「さすがは魔法少女・・・」


 呆然とこちらを見る3人。

 おいおいおい、呆けてないで前衛3人に援護してやれよ。


「まだ戦闘中だよ! 前衛に援護よろしく! わたしは後ろのアーチャーとシャーマンを相手にしてくるから!」


「あ、う・うん~」


 僧侶(プリースト)の女性は思い出したかのようにヒールを唱え始める。

 魔術師(ソーサラー)盗賊(シーフ)も援護を始める。


 アーチャーとシャーマンの遠距離からの攻撃をステップで回避しつつ呪文を唱える。

 ちょっと距離があるので空間一点発動型の魔法を叩き込む。


「バーストフレア!」


 アーチャーとシャーマンの間に赤い光が集い始め、次の瞬間赤い光の球を中心に爆炎が巻き起こる。

 爆炎に巻き込まれたアーチャーとシャーマンは消滅する。


 この空間一点発動型魔法は強力だが、発動すると発動起点から動かせないから移動されると躱されるというデメリットがある。


 向こうを見るとあちらもオーガを倒したところだった。

 パーティーリーダーらしき片手剣と盾の戦士(ファイター)がこちらに向かってくる。


「俺はロックベル。すまない、助かったよ。全滅を覚悟していたところだったんだ」


「わたしはフェンリル。どういたしまして。さすがにあの数はきつそうだったからね」


 他のメンバーもこちらにやってくる。


「すげえよ! 一人でほとんどのモンスターを倒しちゃったよ!」


「あの回避も凄かったな」


「あたしは一撃で倒す魔法に興味があるけど」


「さすがは噂の魔法少女だね~ 生で爆裂剣見れて感動した~」


「というか魔術師(ソーサラー)で前衛をこなすなんて戦士(ファイター)の面目丸つぶれじゃないか」


 それぞれが思い思いのことを口にする。

 ん? ちょっとまて、今とんでもないことを言わなかったか?


「ちょ、ちょっと待って、噂の魔法少女って何!?」


「あれ? 掲示板見てない? あなたのことすごい噂になってるわよ」


 魔術師(ソーサラー)の女性は面白そうに言う。

 俺は慌ててメニューを開いて掲示板を確認する。


「な・何これ~~~~~~~~~!!?」


「おいおい、今まで気が付かなかったのか? あんた随分と注目されてるみたいだぞ」


 ロックベルもにやにやしながら言う。


「や、注目されているのは何となく分かっていたけど、マジで魔法少女の名前が広がってるとは思わなかった・・・」


「でも~ どう見ても魔法少女ですよね~」


 僧侶(プリースト)の女性がやけに間延びした口調で追い打ちをかける。

 周りの人たちもうんうんと頷いている。


「せ・せめて魔法少女はやめて・・・ この年で魔法少女はマジでへこむから・・・」


 おまけに中身は男だからダメージは倍である。


「ん~ じゃあ~ 剣の舞姫(ソードダンサー)て呼ぶ~?」


「お、良いね。さっきの神業回避は正に剣舞(ソードダンス)だったからな」


 僧侶(プリースト)の女性の答えに盗賊(シーフ)が賛同する。

 剣の舞姫(ソードダンサー)って・・・ 中二病みたいじゃないか・・・

 まぁ、魔法少女よりはましか?


「はぁ、魔法少女じゃなければ何でもいいです・・・」


「それよりその魔法少女の格好の秘密が知りたいんだが」


「あ、あたしは一撃魔法と爆裂剣の秘密が知りたい!」


「あ、俺も爆裂剣の秘密が知りてぇ。俺でも使えるのか?」


 両手斧の戦士(ファイター)魔術師(ソーサラー)の女性、両手剣の戦士(ファイター)が聞いてくる。

 あ~、魔法少女も噂になってるし、聞かれるたびに秘密にするのも面倒だ。

 この際だからばらして広めてもらおう。その方がいちいち説明しなくてもいいや。


「え~っと、なんで魔法少女の格好してるかというと・・・」




「ぶはっ! 萌えスキル! 何それ! 面白すぎるんだが!」


「『イメージ効果理論』・・・? そんなことが可能なのか・・・?」


「というか極大魔力スキル? 何それ、チートすぎるでしょ・・・」


 と、まあいろいろ思うところを口にするわけだが。


「魔法少女の格好になってるのは、わたしの職業が魔術師(ソーサラー)の影響でしょうね。あくまで見た目だけで装備はみんなと変わらないわよ」


「ふむ、あくまで見た目だけか。ということはもし戦士(ファイター)だったらビキニアーマーの格好もあり得たわけか」


「げ、さすがにビキニアーマーはあり得ないわ」


 ロックベルの発言に俺は顔を引きつる。


「うほっ、お嬢ちゃんのロリ巨乳のビキニアーマー! いいねぇ~ 一度は見てみたいな!」


 両手剣の戦士(ファイター)のセリフに女性陣2名はドン引きする。


「ここに変態が居ます~」


「そう、リックはそういう趣味だったのね」


「何を言う! 男はロマンを求めるものだ!」


「はいはい、それよりも魔法剣―『イメージ効果理論』はあたし達でも使えるのよね?」


 両手剣の戦士(ファイター)―リックの力いっぱいのセリフを魔術師(ソーサラー)の女性は呆れながら返す。

 うむ、リックの言うことは俺も分かる! 男はロマンを求める生き物なのだ!

 女の身体(アバター)じゃなければ賛同したんだが。


「あ、うん。『イメージ効果理論』は誰でも使えるよ。さっきのわたしのホブゴブリンに使ったファイヤーアローがいい例ね。

 デフォルトだと目の前に炎の矢が現れるけど、イメージ次第でさっきのようなことが可能ね」


「ああ、あれにはビックリしたな。まさか自分に向かって魔法を撃つとは」


「鍔迫り合いの状態で背後からズドン。結構不意を突いてるでしょ?」


 盗賊(シーフ)のセリフに俺は飛び切りの笑顔で返す。


「戦技にも同じことが言えるけどね。剣スキルの戦技・スラッシュはデフォルトだと縦斬りでしょ?  でもイメージ次第で横斬りのスラッシュ、袈裟斬りのスラッシュも使えるのよ。ってみんな無意識に使ってるんじゃないかな?」


「そういえば・・・確かに」


 俺の問いに戦士(ファイター)の3人は頷く。


「そのイメージの発展が魔法剣ね。これはかなりの練習が必要だと思うけど」


「でも~ ファイヤーボールを纏わせたくらいでホブゴブリンを一撃で倒せるものじゃないですよね~?」


「そうね、その理論でいくとあくまでファイヤーボールの攻撃力だけで、攻撃力そのものが上がるわけでもないものね。

 一撃で倒せる魔法剣の秘密が、極大魔力スキルってわけね。

 はぁ、10倍って何なのよ。チートにも程があるでしょ」


 魔術師(ソーサラー)の女性の理不尽さはもっともだ。実際使っている俺が言うのもなんだが、ザコモンスターが一撃って反則だよね。

 ただ、反則すぎるがゆえにデメリットも存在したりする。


「でもさっきの戦闘で気が付いたんだけど、確かにチートスキルだけど同時に地雷スキルなんだよね」


「お嬢ちゃん、どういうことだ?」


「うん、強力すぎるがゆえに敵愾心(ヘイト)を稼ぎやすいんだよね。いわゆる前衛殺し、PT殺しのスキルなのよ。

 さっきの戦闘でもそれを証明しているしね」


 俺の答えにみんなは、あぁ~と頷く。


 敵愾心(ヘイト)はどのMMOでも隠しパラメーターとして存在してる。

 火力の高い攻撃や、回復魔法などが敵愾心(ヘイト)を稼ぎやすくなっており、この数値の高い者が一番モンスターに狙われやすくなる。

 そのため盾役(タンカー)は挑発系のスキルを使ってモンスターの攻撃を一手に集めて後衛などに攻撃を行かないようにするのがMMOの常識だ。

 が、俺の極大魔力によって高められた攻撃は挑発系のスキルすら木端微塵に砕くらしい。


「確かにPT殺しのスキルだな。挑発系のスキルが一切役に立たないとは」


 ロックベルはさっきのオーガについて思い出しているのだろう。

 目の前に相手にしているにも拘らず俺に向かってこようとしてたんだからな。


「でも~ フェンリルさんは前衛もこなせるんだから問題ないんじゃないんですか~?

 さっきの剣舞(ソードダンス)で回避型のタンカーってものありだと思うんですけど~」


 僧侶(プリースト)のセリフに一同は黙り込む。


「確かに・・・」


「でもいくら回避型といっても魔術師(ソーサラー)の紙装甲はまずくないか?」


「あ~、その点については一応解決策を用意しているけど」


「まじかよ! どんだけ規格外なんだよあんた!」


 俺の言葉に両手斧の戦士(ファイター)が叫びをあげる。

 うん、自分でもそう思う。

 防御力のある回避型魔術師(ソーサラー)盾役(タンカー)。しかも一撃必殺の攻撃力のある火力(アタッカー)

 うん、規格外すぐる。


「まぁ、全滅寸前を助けてもらったし、有力な情報も聞けて良かったよ。

 ・・・なぁ、もしよかったらPTを組まないか?」


 ロックベルの魅力的な提案に俺は考え込む。

 確かにパーティープレイはMMOの醍醐味だ。

 けど、今はまだスキルを完全に使いこなしてるわけではないし、『イメージ効果理論』の検証・練習はまだ終わったわけではない。

 そんなのPTを組みながらやればいいのかもしれないが、さすがに中途半端は嫌だった。

 ただでさえ変わり種のスキルを保持してるんだし。


「え~と、今日1日の臨時PTでも良かったらいいよ」


「そうか、今日だけでも十分ありがたい。よろしく頼むよ」


「ひゃっほー! ロリ巨乳ゲット! 自己紹介がまだだったな。俺はリック。」


「リック、お前は・・・ 俺はブラッシュ」


「リックあなたって人は・・・ あたしは七海」


「リック、ロリコンさんだ~ あ、私はブルーオーシャンです~。おーちゃんって呼んで下さい~」


「リック・・・お前PT抜けるか? 俺は景虎」


 そしてお互い自己紹介をしていく。

 PTリーダーの片手剣のロックベル。

 軽薄そうな両手剣のリック。

 ガタイのいい両手斧のブラッシュ。

 サブリーダーの盗賊の景虎。

 知的美人の魔術師の七海。

 間延びした口調の僧侶のブルーオーシャン。


「えっと、わたしはフェンリル。改めて今日1日よろしくね」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


魔法少女改めソードダンサーのスレ


1:ブルーオーシャン

 魔法少女さんと接触することが出来ました~

 魔法少女さんの秘密を知ることが出来ました~

 魔法少女さんの姿はなんと萌えスキル!が原因でした~

 萌えスキルは姿を『萌え』にすることが出来るスキルです~

 なので魔術師だった魔法少女さんは魔法少女の姿に変わったのです~

 爆裂剣は魔法剣でファイヤーボールを剣に纏わさせるイメージでかけてるそうです~

 なのでイメージ次第で他の魔法をかけることが出来るみたいです~


 あ、ちなみに魔法少女さんは魔法少女の名前が嫌なみたいなので、

 今度からは剣の舞姫〈ソードダンサー〉って呼ぶことにしました~

 本人の了承もとってます~

 なんで剣の舞姫〈ソードダンサー〉なのかは剣の舞姫〈ソードダンサー〉さんの戦闘を直接見てください~

 それで納得すると思います~


2:光の王子

 >>1 報告乙

 そうか~魔法少女にはそんな秘密があったのか~

 って萌えスキルってなんだよwww


3:ローズマリー

 おもしろそうなスキルですわね^^

 それよりも魔法剣の方が気になりますわ

 そんなことが可能なのでしょうか?


4:ジャッジメント

 いや、実際魔法少女・・・いや、ソードダンサーがやってるんだから可能なのだろう

 ただ、俺らが出来るのかは疑問だが


5:ブルーオーシャン

 本人いわく要練習だそうです~


6:ジャッジメント

 可能なのか・・・

 夢が広がるじゃねえかw


7:オーバードラゴン

 いや、無理だろう

 どうやってイメージするんだよ

 あれはソードダンサーの固有スキルだと思った方がいい


8:天夜

 俺は剣の舞姫の名前の方が気になるよw

 名前から察するに回避系の二つ名みたいだが


9:景虎

 あれは俺も見たが一見の価値ありだ

 あの神業回避はまるで剣で舞っているようだった


10:天夜

 ほほう、同じ回避系の戦士としては見てみたいもんだな

 ん?

 ちょっと待て

 剣の舞姫は魔術師なんだよな?

 なんだその前衛仕様はwww


11:心音

 確かにw

 魔術師なのに魔法剣で攻撃して舞うように回避ってw

 魔術師なのに魔術師じゃないwww


12:ジャックランタン

 魔法剣は一撃でMOBを倒せるものなのか?

 いくらなんでもチートすぎやしないか?


13:景虎

 あ~その辺のことはさすがに本人に聞いた方がいいかな?


14:光の王子

 なんだ! まだ秘密があるのか!ww


15:オーバードラゴン

 さすがは魔法少女・・・もといソードダンサーだ

 話題に欠かさないね~


16:邪気癌

 >>1 重要なことを聞きたいんだが・・・


17:ブルーオーシャン

 なんですか~?


18:邪気癌

 胸はDカップ以上はあったのか!?w


19:光の王子

 >>18 お前はそれしか言えないのか!ww



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