9/11
008
星を見に行こう
その話をしてから一日が経った。
今日も、彼を歩道橋に送り届けた後いつもと同じ、私は町を散歩する。
今日も、空は晴れている。雲ひとつない
私は、いつもと同じ、目的もなく町を徘徊する。
角を曲がり角を曲がる。横断歩道を越え、歩道橋を越える。
足を止めることはない。けっして
公園に行き、丘を登る、木の根に腰を下ろし木々の隙間から漏れる陽が目を覆う。
私の、私の平凡で平穏な日常が。壊れ始めている
あの日から、私は何もいらなかった。彼以外。
彼は私のことを守ってくれると言ってくれた。
ただ私は、それだけでよかった。
それだけがよかった。
向こうの、青かった空は鈍色に染まり始めている。
大地は赤く染まり、鈍色の空に揺らめく。
戦争だ