006
それから、警察官が家にやって来て私に簡単な事情聴取。怪我の手当てと、幾つかの質問に答えると警察署へと連れて行かれた。
私は、警察署で3日間程詳しい事情聴取を受けてから。家に帰ることができた。
お父さんは、警察に捕まった後、精神病院に入院することになったそうだ。日々のストレスから頭がおかしくなってしまったらしい。
そんな3日間程を過ごした後、家まで送られた私は一人リビングのソファに腰掛けていた。
視線を下げお母さんの倒れていた場所に目をやる。と、あの時の出来事が脳裏に蘇り全身に鳥肌が立った。
震える身体をいなし、逃げるように家の外に飛び出した。
走り続け、気がつくと太陽は西の空へと傾きだし町が夕日に染まろうとしていた。
私は、疲れてしまった足をふらふらと進ませ近くにあった公園に入っていった。
黄昏色に染まる公園、ブランコに力無く腰を落とす。
ああ、これからどうしようか。
家族はいなくなってしまった。
警察官には強がって一人で大丈夫なんて言ってしまったが、こんな子供に何ができるのだろう。
私は、これからどうすればいいのだろう。
そんな事を考えていたとき私の頭の上から少年の声が降ってきた。
「こんな所でどうしたんだい?」
私は、顔をゆっくりと上げると声の主を見た。
「うわぁ、ひどい怪我!どうしたの?大丈夫?お母さんは?いないの?ねぇ、ねぇ」
もの凄い勢いで語りかけてくる。
それが、彼との出会いだった。
それから、私は彼に全てを話した。
なぜか、彼に今までのことを話すという事に抵抗がなかった、気がする。
彼は、真剣に話を聞いてくれた。私が泣き出してしまった時は優しく背中を撫でてくれた。
回想終了