001
君と僕は、『すべて』一緒だった。
違う所なんて一つも無い。
なのに、無力な僕は君を助ける事は愚か、君の傍にいてやる事もできない。
やあ。
やあ。
朝だね。
朝だね。
今日も君には日が当たらないね。
・・・・
大丈夫かい?
大丈夫だよ。
そうかい。
....そうかい―
◆
黄昏色の夕日に向かって走っていく君を見送り、今日はもう一人ぼっち。
ばいばい―
笑顔でそう言う君に私は「ばいばい」と、呟き小さく手を振る。走り去っていく君に向けて振っていた手を力無く下ろし、君の消えた黄昏色の空を背を向け足を踏み出す。
私も、家に帰ろう。
一歩一歩、遅く、一定の間隔で足を踏み出していく。
私の目の前に伸びる影は、左右に奇妙に揺れながらどんどん伸びて行く。
日の半分が山に隠れ、町が薄暗くなってゆく。暗くなった町に街灯が灯る。
夜だ。
暗い、暗い。
日は、あっという間に西の空、山の向こうへ消え私の知らない世界に朝を届けに行ってしまった。
足が重い、体も重い。踏み出す足の一歩一歩が、吐き気を、頭痛を呼び起こす。
街灯の明かりしか無い、暗い夜道に一人の私。
次の角を曲がり、2つ信号を渡るとそこには私の家がある。
光の届く事の無い閉塞感―
太陽のような光の無い、君のような優しさの無い、感情の閉ざされた、自由を奪われた支配された世界。