viola
次の電車まで5分と少し。
駅の電光掲示板を眺め次の電車の到着時刻を確認する。
季節は冬、風が冷たく西の空には夕日が輝く。
金網の向こう。そこにあるのは小さな広場、地面は舗装されて道が造られている。
その広場で遊ぶ小さな子供たち。
それを、ただぼんやりと眺める。
ふと、そこに気になるものを見つけ視線を向ける。
花壇。
どこにでもあるような、ごくありふれた花壇。
そこに生えている草。
夕日によって日のあたらない草花がちらほら。
ホームの陰になり日のあたらない花、その花は恐らく夕方だから日があたらない訳ではなさそうだ。
昼も夜も、朝も夕方も。
そんな事、お構いなしに暗い世界でその短い命の灯が消えていく。
その時、その花は日向で生きた花にどんな感情を抱くのだろうか。
憎しみや、苦しみ。
罵倒を吐き散って行くのではないだろうか。
日向の花を憎み散り行く日陰の花。
それを動かず見つめる日向の花。
陰に囚われ苦しみ黒く枯れて行く日陰の花。
それを日向から如何する事もできず眺める事しかできない日向の花。
日陰の花は、日向の花を憎む。
日向の花は如何する事もできず散り行く友を眺める事しかできない。
―悲しい、噺だ。
そんな事を考えながら線路へ向きなをる。
やってきた電車に乗り込み帰路に―