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8『シリアスムードにゲッソリ』

 8話目です



 すみません とても遅れました


 そのわりに内容に自信は・・・


 とにかく見てやって下さい!!


 それでは8話目です どうぞ!



 Q、世界征服とはなんぞや?


 A、それは、なんだかんだでテンションが上がってしまった人達が、いろいろと(テロ的な)手を尽くして世界を乗っ取ろうとすることです。所謂成功例無しのムリゲーってヤツ。






 ………。



「……は?」



 どうも、俺です。




 すんません。妙な始まり方をしました。


 秘書っぽい人の言葉があまりに予想外過ぎました。


 いや、聞き間違いか? 世界制服って言った? 今世界制服って言ったよね? 間違いなく言ったよね?


 えっ、マジで? 世界制服ってアレでしょ? 誰でも一度は将来の夢として語るアレでしょ? あの超恥ずかしいやつでしょ?

 いやいや、ソレ冗談にしか聞こえないって。


っていうか冗談だよね。……マジで? 何度でも聞き返すわ。マジで?



「……」


「……」


「……」


 目笑って無ェー。


 どうすんだよリアクションとれねーよ。どうすればいいのよコレ。何が正解。正解って一体何。この人達が望むリアクションって一体何なの。


「す、素晴らしいお仕事ですね……とか?」


 テストの解答が解らないからとりあえず解答欄に当てずっぽうな答えを書いた気分。というか正しくそれな状態。



「何故疑問系なのか気になるところですが……ふんっ、まぁいいでしょう。矮小で素朴な人間を代表した貴方のような生物でも、我々の行おうとしている計画の素晴らしさを理解するだけの知能はあったようですね」



 あれっ…今の正解? スゲー貶されたんだけど。怒っては無いっぽいし……これで良いのか?


「博士っ、やはり我々の崇高な目的の前には下僕畜生と言えども感動するものなのですね! 目的を達成した暁には全世界の生きとし生けるもの全てに理解されるのでしょう!」


「え? ああ、うん」


 下僕畜生とは俺のことか? いちいち俺を貶しておかなきゃ気がすまんのか?


 ……まぁ、いい。そんなことよりだ。



 秘書っぽい人のテンションが目に見えて上がっていくぞ? 既に白衣さんを軽く振り切るくらいのゲージの上がりぐあいだ。あの白衣さんが若干ダルそうな反応をみせているくらいに秘書っぽい人のテンションが高い。


 顔がニヤけている。


 機嫌が良さそう……、っていうか嬉しそう…? ワケわからん。不気味だ。



「我々は最終目標に世界平和を掲げています。しかし、その為には皆の中心に立ち、世界をリードする力を持った正しき指導者の存在が不可欠なのです!」


 テンションゲージ的な物がぶっ壊れた秘書っぽい人の熱弁が更にヒートアップ。


 あれか、車に乗ると性格が変わる人みたいなもんか? さっきまでのクールビューティな感じが見当たらん。


 もはや別人じゃねぇか。


「──そう! 我々が目指すのは、この全世界をより良き方向へと導く正義の支配者──指導者というポジションなのです!」


 おいおいおい、新手の宗教勧誘みたいな言い回しだぞ。思想は過激派テロリストに近いし。


 いや、もはやテロリストなんじゃね?


「……(俺)」


「……(白衣さん)」


 そんなテロリスト予備軍思想の秘書っぽい人曰く。


『──良いですか? 世界には我々以外にも世界征服を目論む不埒者がいて──』


 ……。




『──この世界には未だに多くの問題が残っています。それは何故か? 各国々のトップ……つまり、既存の政府が腐りきっているからです! 数々の汚職、天下り、怠惰な政策、無能な政治家共がはびこっています! だからこそ正しき指導者として今こそ我々がっ──』



 ……。



『──今こそ! 世界が! 人々が求めているのですっ! 正しき指導者を! 誇り有る革命者を! 強き英雄を! ならばこそ我々が立つべきなのです!! 我々の戦う意味は──これは聖戦なのです!』




 ……ふぁ。



『──しかし! この世界に偉大な繁栄をもたらしたかつての英雄達も自らの手で道を切り開いた! 後に伝説とも語り継がれる偉業の数々が彼らを真の英雄としたのです! 世界中の人々は我々を犯罪者と、憎むべき悪と呼ぶことでしょう! だが、そんなことは言わせておけば良いのです! 我々が計画を実現させれば──』



 ……終わらなーい。長ーい。




 秘書っぽい人が熱い語りを始めてからそこそこ時間(十分くらい?)が経ってる気もするが、いい加減長い。


 この小説を読んで話について行けてないor理解出来てない諸君。安心してほしい。この話を現場で聞かされている俺だって最初っから理解出来てやしない。


 学生時代。朝礼で校長からの無駄に長い演説を聞かされてる気分だ。元気にしてるかなぁ、あのハゲ。


 秘書っぽい人の演説に軽い懐かしさと郷愁を覚えながら右から左に聞き流す。


 ペラペラと良く喋る秘書っぽい人はどうやら世界制服というワードに並々ならぬ思い入れがあるらしく、止まる気配が無い。


「……」


「……?」


 仕方がないので隣の暇そうな白衣さんに視線を移す。


 簡潔で簡単な感じの説明をお願いします。


「つまり、世界征服するから協力したまえ。という事だよ」


 …まぁ、簡潔。



 んなこと出来る訳無いでしょうよ。実現不可能に決まってるじゃまいか、まったく。バカなの?


「むっ、私達なら可能なのだよ! 楽勝なのだよ!」


「……」


 両腕を目一杯に拡げて主張する白衣さん。なかなかかわいいぞ、子供っぽくて。


「いやいや、無理だから。世界制服とか簡単に言うけどそんなに」


「ふっ、何を言うのかと思えば……」


 白衣さんに鼻で笑われた。やんのかこのやろう。


 白衣さんが俺を指差す。念のため後ろを確かめるが何もない。


「…?」


 何さ。


「忘れたのかい? ソレを造ったのは私なのだよ」


 俺に向けていた人差し指をピースに変えてニヤけた顔で言う白衣さん。見事過ぎるどや顔をキメた。


「俺を作ったのはオヤジとお袋であって、けしてまだ初経もきてないようなガキでは無い」


「しょっ!? わっ、私が言っているのはその身体の事なのらよ!」


 何かムカついたのでセクハラしてやった。


 さっきまでのどや顔は何処へやら、真っ赤になってワタワタとする白衣さん。なのらって……。


「落ちつけ。語尾が可笑しな事になってんぞ。二つの意味で」


 しれっとした顔で指摘してやる。


「君が妙な事を言うからなのだよ!」


 羞恥で真っ赤にした顔を怒りで更に赤くした白衣さんが腕をバタバタと上下しながら怒るが、被害は無さそうなのでとりあえず無視して自分のメタルバディを見下ろす。


「……」



 忘れてたわ~。



 全然違和感とか無ェんだもん。思いっきり忘れてたわ~。


 だが、


「こんな義手やら義足やらの延長にあるようなもんだけで世界がとれるかっ」


 言いつつ手をグーパーしてみる。


 ふむ。確かに凄いよ? この流線形のディテールにこだわってしっかりと造られたところとか? 全くと言っていいほど違和感が無いところとか、触った感覚や温度まで感じるところとか……。


「あれっ。けっこうすごくね?」


 最近びっくりする事がありすぎて、もはやよく考えて無かったわ。っていうか思考を放棄してた。


 いや、実際そんなもんなんだよ。


 二話も挟んでおいて今更? とか言わないでね。


「二話も挟んでおいて今更!?」


 ナイスリアクション白衣さん。でも俺の思考とあんまりシンクロしないで。


「まぁまぁ、落ち着いて。……でもさ、それだけで世界征服なんて出来なくない? もっとこう……さ、政治的なものとかあるわけじゃん?」


 難しい事は分からんけども。


「そうだね、君の疑問に答えておこう。しかし、その為には確認をとっておく必要があるのだよ」


「えっ? 何?」


 白衣さんの雰囲気がガラッと変わった。なんて言うか、シリアスムード? みたいな?


「……先にそんな体にしておいてこんなことを言うのもおかしな話なんだけど」


 今さっきも話題に出たようにこの状況メタルバディは俺にとって本意では無い。


「え~と、どしたの? いきなり改まって」


 が、今は仕方がない事であると割り切っている。


「……君は、私達の仲間になりたい……?」


 どうした事だろう。


 突然白衣さんの口調が暗い影をおびたような印象に変わる。

 シリアスな話に入るのか? 苦手なんだけどなぁ、シリアス…。


「……これから先の話は私達の組織にとって正に肝とも言うべきものなのだよ。今までの話もそうだが、あまり部外者に話して良い事では無かったのだよ。これからは特にね……」


 つまり、こっから先は仲間にしか話せないって事か。


 っていうか、何をそんなにシリアスっぽい感じになってるんだろう?


 そんなことそれこそ今更だと思うのだが。


「私がこれから君に求める答えがとても卑怯だという事は分かってるよ。選択肢なんて無いってことも。だけど、選んで欲しい。後悔をしないように……」


 そう言って俺の目を見る白衣さん。強い責任感をその目に感じる。


「……」


 なんだろう 辛そうだ



 「私達の仲間になれば いつかは体を取り戻すことも出来るだろう…… しかし 断るというのなら その体は返してもらう ……つまり 心苦しいが君には死んでもらうことになるのだよ」



 だが断るっ。



 …あぁ、いやごめん嘘。ふざける気は無かった。ただこの妙な雰囲気を自分の中で壊したくなっちゃって。


 俺ってシリアスっぽい場面が極端に嫌いだからつい……。


「白衣さんごめん。話が唐突過ぎてついていけなかったりします」


「……私達は、言うなれば“悪の秘密結社”だよ。……聞こえの良い理想なんて掲げてはいるけど、君達一般人からすれば今の平和を乱す“ただの悪者”に過ぎない……結局ね」


 異様に低いトーンで白衣さんは続ける。


「私達の仕事は言ってしまえば現在の世界の安定を崩すということ。それを手伝う…というか片棒を担ぐ事になるのだよ。世界から憎まれる事になる。覚悟の無い人間は耐えられないだろう」


 さらに、白衣さんは続ける。


「……だからここで、覚悟を決めて欲しい。…仲間として世界征服に手を貸すか、……ここで死ぬかを選んで欲しい……」


 白衣さん。最後は言い切る前に俯いてしまった。


「あ~、とりあえず俺がその問いに答える前に、一つ質問に答えて欲しいんだ」


「……なにかな?」


 相変わらず暗い声の白衣さん。俯いたまま反応する。


 何か恐いんだけど。


「ひゃくいしゃん……、白衣さんは何で俺を助けたの?」


 白衣さんの暗い雰囲気に圧されて若干噛んでしまった。


「……」



 黙り込んでしまう白衣さん。


「さっき秘書っぽい人が 『資金が無くなった』って言ってたの思い出したんだけど……、そんなに余裕の無い状態だったのに俺みたいなただの人間を助けたのはどういう事なのか気になっちゃってさ」


 白衣さんの反応を伺う様に話しかける。俯き加減で顔が影になってて見えない。


「それは……どうしても必要な研究があって「資金を全部使ってまで?」……っ」


 台詞の途中で割り込む。白衣さんが嘘を言ってると思ったからだ。


「多分だけど、いや本当に勘なんだけどさ。必要な研究ってのは嘘だよね? だってこんなに凄い物が作れるなら侵略兵器なんて完全なロボットを造った方が良いはずだもん。例えば、ガ〇ダムみたいなね? なのに一般人の、しかも人間としての自我を持った改造人間なんて造る必要が無い」


 白衣さんの表情が泣き出しそうに少しずつ歪んでいく。


 ……いや、イジメてるわけではけして……。


 でも、必要以上に悪ぶってる白衣さんの態度が気になる。


「っ……そんなの気まぐれだよ! そんなことより! 私の質問に答えてよ!?」


 声を張り上げる白衣さん。顔は下を向いたままだ。


「仲間になるか! 死ぬか!早く選んで!」


 白衣さんのフーッフーッていう肩で息をする音がやたら大きく聞こえる。






「俺は…」



 答えは既に決まってる。何の事は無い。



「仲間になるよ」 これしかない。



「本当に良いんですか?」


 いつの間にか演説を終わらせていた秘書っぽい人が聞いてくる。


「当たり前ですよ、……白衣さんは俺を助けただけなんだから」


 今、俺の(都合の良い)頭の中にはこんなストーリーが(都合良く)広がっている。


 ある日、世界平和という大望をもって世界征服を目論む白衣さんの前に事故にあって瀕死の俺が現れた。


 傷は深く現代の医療技術ではとても治せない。


 優しい白衣さんは瀕死の俺を助ける為に秘書っぽい人とコツコツと貯めていた侵略資金を全てつぎ込んでしまった。


 必死の処置のおかげで俺はどうにかこうにか生きる希望を得るものの、改造人間という微妙な宿命を背負ってしまうことになったわけだ。


「──そして、白衣さんはいろんな責任を感じた結果、俺にせめてもの選択の自由をくれたんでしょ?」


 全部都合の良い俺の頭が作り出した妄想でしかない。でも、その妄想は全部が全部間違ってる訳では無い……と思いたい。いや、きっとそうだ。



 なぜかそんな不思議な確信がある。


「っ……そ、んなこ、と、ないよ…」


 それでも否定する白衣さん。

 多分白衣さんはさっきの時もコレを言おうとしていたのだろう。それを秘書っぽい人が代わりに言ってしまった。しかし、白衣さんは責任を感じているからこそ自分で話す事を決めた。


 自分のやった事が自己満足でしかないからこそ、それが分かっているからこそ、白衣さんは責任を感じて“悪役”を演じたのだ。憎まれやすい“能天気なマッドサイエンティスト”を演じたのだ。


 そういう事だろう。


「だって、わ、ったしは、き、君を……っ」



 しゃくり上げる声のせいで、下を向いてても白衣さんが泣いてるのが分かる。


「ありがとう白衣さん、もう強がる必要は無いよ? 俺を助けてくれたんだから、白衣さんに責任は無いよ」



 中腰になって白衣さんと目線を合わせる。白衣さんがゆっくりと顔を上げその顔が見えるようになる。


 やっぱり泣いてた。



 「白衣さんに悪役は向いてないよ。優しいもん、白衣さんは」


 そういいながら、白衣さんの肩に力は入れないようにそっと手を添えて笑いかける。


 こういう時どんな言葉を掛ければ良いのかは全く分からない。


 しかし女の子の涙は苦手なのだ。早く泣き止んで欲しいという願いを込めての笑顔だったのだが。


「うぅ……えぐっ……ふぅえぇええええん!!」


 予想に反してマジ泣きし出す白衣さん。


 緊張の糸が切れたとでも言うように余計に大泣きを始めてしまった。


「……これは…予想外」

 何とか泣き止んでもらおうと試みるものの効果無し。正にあるぇえええ? 状態。


 オロオロする俺。



「秘書っぽい人、ヘルプ!!」


「……誰が秘書っぽい人ですか」



 秘書っぽい人に助けを求めるが助ける気がない。


 何これ、孤立無援ってヤツ?


「あわわわっ……、頼むから泣き止んでくれよ~、白衣さ~ん(泣)」



 超オロオロする俺であった……。








「グスッ……ヒック……」


 やっと白衣さんが泣き止み始めた(?)頃。


「お…、落ち着いたでゲソか……白衣さん」



 今の俺に言葉を当てはめるならゲッソリがぴったりでゲソ。



 変顔だじゃれ物真似一発芸エロ詩吟自虐物ボケetc…。


 あらんかぎりのボキャブラリーを用いて白衣さんを泣き止ませる手段を粗方試したでゲソ。



 語尾がおかしくなるくらいには頑張ったでゲソよ……。



 ……すみません。戻します。


 この体に体力という概念があるのか知らんが少なくとも精神的なナニかがすり減った気はする……。


 とてつもなく疲れた……。



「……うん、もう大丈夫だよ。ズズッ」



 鼻水を吸い込みながらこちらを窺う白衣さん。涙で赤くなった目が痛々しい。



「そう……、良かった。……本当に良かったでゲッソリ……」


 あぁ、進化してしまった……。






 

 お帰りなさい


 今回はいろいろ試行錯誤していたら何故か長くなってしまいましたが・・・



 どうでした?


 話を進める為に頑張ったらこんなカンジになってしまいました


 コメディよりシリアスの方が書きやすい気がする



 感想とかいただけると嬉しいのですが


 あと 誤字脱字の報告もして下さると助かります


 まったりのんびり投稿ですがしっかり続けるつもりです!!


 次回に会いましょう!


 ではでは!!



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