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10『改造人間の俺に人権ってありますか?』

 10話目です。


 最近、本当に寒いですねぇ。

 太陽にはもう少し頑張ってもらいたいところです。


 まぁ、季節によっては有給休暇でもとって、ゆっくりして欲しくなる時もありますけど。


 こう寒いと指がかじかんで執筆がやりにくいですね。


 嘘です。すいません。


 前に投稿してからちょっと日をあけすぎました。


 でもまぁ、のんびり生きましょうよ。急ぐと転んだり事故ったり、曲がり角で女の子とぶつかってラブコメったりしてしまいますよ。



 そんなこんなで10話目です。どうぞ見ていって下さい。


『ジャッジ 操作を始めます』


 そう言うと幽霊さんはモニターの方を向いて直立したまま黙りこんでしまった。


 遠い目をして立ちすくむその様子は、黄昏ている自分を格好いいと勘違いしている中学生のようである。


 っとまあ、そんな馬鹿な事を連想している内に部屋が薄暗くなっていく。


 言うまでもなくびびりな俺は内心ビクビクガクガクブルブルしながら、どうしたものかと思っていると、──『ブゥン』という低い音がモニターの方から響いた。


「ぬぉっ!?」


 同時に明るい光がモニター方向から部屋を照らす。


 見てみるとさっきまで真っ暗だったモニターの画面が、なにやら英文を写し出しているではないか。まぶしっ。あの、もうちょい光抑えてくれない? あぁ、どうも。


「おぉ……」


 思わず感嘆の声がもれてしまった。


 何かよく分からないが映画館級の大画面モニターが動き始めた事に単純な感動を覚えてしまったのだ。近いし。


「じゃあ頼むのだよ」


 白衣さんが幽霊さんに何かを指示する。


『ジャッジ 了解しました』


 白衣さんと幽霊さんが短いやり取りをすると、もう一度『ブゥン』という音が室内に響いた。


 さっきまでモニターに映し出されていた解読不能の英文が消え、次に表示されたのは


「……うげっ」


 日本地図だ。


 学校に通った記憶のある方なら誰しも一度は見た事のある日本地図。多分通って無くても見たことくらいあるだろう。当然俺だって見た事はある。


 都道府県を全て覚えろという問題には小学・中学・高校と、苦しめられ続けた強敵だった。


 そもそも興味のカケラも無い俺に都道府県を覚えるなんて無理に決まっている。


 テストではレッドポイントとか普通だったな~。今でも見ると吐き気がする。はっきり言おうと思う、日本と言わず地図と名のつくものは大っ嫌いです。


「そうなのだよ。君にはまずこれを──見て欲しいのだよ」


 そうとは知らず、白衣さんがパチンと指を鳴らして幽霊さんに指示を出す。


『ジャッジ』


 それを受けた幽霊さんが返事をする。またモニターの画面を見たまま直立不動になる幽霊さん。


 モニターに映し出された日本地図にポチポチと赤い点が表示され始める。うぇっぷ…。日本地図を視界に入れると吐き気がする…。気をまぎらわせなければ。何かないか……何か。



 あれ? そういえばいまさらだけど幽霊さん、リモコンとか使って無いみたいだけどどうやってモニターの操作してんの?


「これが何か分かるかな?」


 リモコン無くても幽霊ならこのくらい簡単なのだろうか? ポルターガイスト? 流石幽霊だぜっ。と、幽霊さんについてのたわいもない疑問に意識をまぎらわせつつ、日本地図に全体的に散りばめられた赤い点を見てみる。


「うっぷ……何って──ゲホッ─言われてもなぁ──ガハァッ! …ゼェゼェ…!」


 鼻先にニンニクと十字架を突きつけられた吸血鬼並みに瀕死な状態で応答する。


 ざっと数えただけで2~30個以上はある赤い点。


 それが数えるのが面倒なくらい日本中に散らばっている。


 しばし黙考。


「これはまさか! 伝説の古代文明“アトランティス”の造り出した「違います」えー」


 全部言いきらない内に割り込まれてしまった。犯人は秘書っぽい人だ。いきなりどうしましたか? 今まで空気だったから寂しかったんですか?


 ガシッ(アイアンクローの音)。


「貴方は馬鹿ですか? いや馬鹿ですね 「えっ ちょっ何で 暴力反対いだだだだだだだっ」黙ってろ馬鹿」


 この人の暴力は照れ隠し的なアレですか? まさかのツンデレ? 萌えるわ~(笑)。


 メキメキッ!!(指が食い込む音)


「あれ何だこの力!? あ痛だだだだだだだっ! まるで万力のように俺の頭蓋が砕かれて痛ででででででっ! 冗談っ、冗談ですううう!」


 今回で確信が持てた。秘書っぽい人は俺の心を読んでいるに違いない。人権侵害の域を越えている。


 アイアンクローをかけられて頭をメキメキ言わせている(現在進行形)俺を、白衣さんは「ふぅ やれやれだぜっ」



みたいな顔とジェスチャーで見ていた。そんな白衣さんにヘルプの視線を送る。


 しかし、何を勘違いしたのか、


「ふっ、仕方がない! まったく…、本当に仕方がない! 分からないみたいだから私が教えてあげるのだよ! よ~く聞いておきたまえよ!」


 変に高いテンションで説明し出した。あっ、やばい。視界がぼやけてきた……。


「ふっふっふっふっ、まずこの世界に世界征服を狙う組織が我々以外にも複数存在していると話したのを憶えているかい? その数は恐らく君が考えているよりも多いんだよ」


 そういえば頭の良い人は他人の知らないような事を教えたりするのが好きだって、たしかじいちゃん言ってたなぁ。あと他人の話を聴かないとも言ってた。


 あぁやばい…、じいちゃんが呼んでる気がする。


「──の中でも日本には特に集中しているのだよ! つまり──聞いてる?」


 もうムリ、やばい、死ぬ、助けて。最後の力を振り絞って右手を延ばす俺。


「……つまり! 日本全体にあるこの赤い点は地球侵略を狙う我々以外の組織──」


 あのガキこっちの状況を見て一瞬考えた後、見なかった事にしやがった。


  ゴギャッ(秘書っぽい人の手が何かを砕いた音)


「所謂──“敵”なのだよ」




 ビーッ!! ビーッ!!


 白衣さんが言い終わるとほぼ同時にけたたましい電子音が鳴り響く。モニターには『WARNING!!』の文字がでかでかと出ている。


「これはアラート!? どうしました!?」


 突然鳴り響いた警報の原因を幽霊さんに尋ねる少し焦ったカンジの秘書っぽい人。アイアンクローは継続中。ぷらーん(今の俺の状態)。



『ジャッジ 報告します 警戒していた例の敵対組織にこれまでに無い明確な動きがありました 現在は航空機で編隊を組みつつ移動中 東京に向けて移動中 恐らく都市攻撃級の侵略作戦を仕掛けるつもりのようです』


 幽霊さんが淡々と答える。警報に反して冷静なその声からは全く感情が読めない。


『ジャッジ 映像出ます』


 モニターが切り替わり日本地図の代わりに何処かの上空を飛んでいるヘリコプターを映し出す。ヘリコプターと言っても頭に『軍☆用』の文字が着くような馬鹿デカイヤツだ。映画とかで見たような黒光りする銃も見える。実におとろしい。


「遂に動き出しましたね――“独立変革大隊”」


 秘書っぽい人の呟きが聞こえると同時、大型ヘリの横っ腹に書かれている“独†変†隊”という文字がモニターに写された。


 アイアンクローが解かれ、自由になったものの、1日に頭へ受けるダメージの量が既に限界を越えているため膝がガックガクの俺。足にクるぜ。


『ジャッジ “独立変革大隊”──略称“独†変†隊” 我々と同じように最近発足したばかりの新参です』



 またまた感情の起伏が無い淡々とした声で喋り出す幽霊さん。


 ……誰に話しているのだろうか? 白衣さん達って訳ではないだろうし…。あれっ? これはもしかしてもしかするともしかしたりして俺の為に説明してくださっていらっしゃいますのでしょうか!?


 やべぇよ~、この人(幽霊)すげー良い人(幽霊)だよ~。気遣いが出来るとても良い人(幽霊)だよ~。


 と、多少回復した俺は久しぶりに(幽霊から)人間らしい気遣いをされた事に涙を流さんばかりの感動を覚えていた。


『――半年前に“過激派”を名乗った組織で、その目的は我々同様“世界征服”を掲げています。しかし、恐らく根本にある目的は全く異なるものであるというのがDr. 梨理華の考えです』


「痛ててっ。あ~…、“根の目的”ってアレ? ──白衣さんや秘書っぽい人が言ってた世界平和ってヤツのこと?」



『ジャッジ そのとおりです 我々の“世界征服”の先には“世界平和”という未来図に繋がっています つまり全世界を掌握し尽くし小さな争いさえ無くす事 それがいわゆる“我々の”根の目的です しかし彼ら──』


 今まで無表情で淡々とした幽霊さんの顔が、少し嫌悪に染まった気がした(多分気のせい)。『“独立変革大隊”が“世界征服”を目指す根本にある目的は「その過程から得られる“利益”そのものなのだよ」


 幽霊さんの言葉を盗ったのは白衣さんだ。


「戦争は金になる。それ自体が大きな商売になるのだよ。あらゆる国が強力な武器兵器を求め金を湯水のように使うからね」


 モニターに向けて一歩二歩とゆっくりと近づきながら、


「別におかしい事は無いのだよ。ただでさえ数多いそれぞれの組織の目的が同じである方がおかしい訳だしね」


 言いながら何かを考えている様に顎に手を当てたり指をクルクル回したりする白衣さん。


 不意にポンッと手を叩く音が響く。


「クックックック。よしっ、これはちょうどいいのかもしれないのだよ!」



 なんだか実に愉しげな声色のセリフが聞こえてくるが、モニターの画面が逆光になっていて真っ黒な影しか見えない。


「は、白衣さん。いったい何がちょうどいいかもしれないんでしょうか?」


 逆光で全身真っ黒な影の白衣さんは妙に迫力があって、若干びびりながら訊いてみる。


「クッハッハッハッ──そんなこと、勿論決まっているではないか!」


 白衣さんの真っ黒な影がゆっくりと俺に向けて指をつき出す。激しく嫌な予感がする。


「ちょうどいいから君に──」


 あっ、今一瞬笑ってんのが見えた。


「初仕事をしてもらうんだよ!」





 激しく嫌な予感が当たる気がします。



 パスって何回まで有りでしたっけ……。




 お帰りなさいませ~。


 こんなカンジに仕上がりました。


 それじゃまた次回の投稿で会いましょう。


 寒っ。

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