第71話「ワイ、ニート。パッパと喧嘩したんだけど助けてクレメンスww?」(3/4)
病院の廊下は、まるで時間が止まったかのように静かだった。
白い壁、白い床、白い天井。
窓の外には、春の夕暮れが広がっていた。
空は淡い橙色に染まり、街の輪郭がぼんやりと霞んでいた。
チョコレートは、父の白衣の背中を見つめながら、椅子に座っていた。
小さな足は床に届かず、ぶらぶらと揺れていた。
手の中には、母がくれたハンカチが握られていた。
それだけが、今の彼を現実につなぎ止めていた。
午前十時。
母・ポッドの脳死判定の一回目が行われた。
医師たちは難しい言葉を並べていたけれど、チョコレートにはよくわからなかった。
ただ、母が目を開けないことだけは、はっきりとわかった。
「お母さん…ほんとに、起きないの…?」
誰に聞くでもなく、ぽつりと呟いた。
父・カカオは、静かにしゃがみ込み、チョコレートの目線に合わせた。
「チョコレート。母さんは、もう死んだんだ。」
「でも…でも、息してるじゃん…!胸が動いてるもん…!」
父の足に縋り付き泣く
「それは機械が動かしているんだ。母さんの体は、もう自分では動けない。心臓も、呼吸も、全部機械の力だ。」
機械的にたんたんと話す父
論理的で頼もしかった父が、今は機械仕掛けの血の通わない人形のように思えた
「うそだ…うそだよ…!」
チョコレートは、父の足を叩いた。
何度も、何度も。
涙で顔がぐしゃぐしゃになっていた。
午後四時。
第二回目の脳死判定が終わり、医師が静かに告げる。
「正式に、脳死と判定されました。」
その言葉が、病室の空気を一気に冷たくした。
人工呼吸器の音だけが、規則的に響いていた。
「母さんは、ドナー登録していた。腎臓が、今すぐ必要な人がいる。…助けられる命がある。」
また機械的に発言した。
涙すら見せない父
「そんなの知らない!お母さんは、お母さんだよ!誰かのために“使う”なんて…そんなの、ひどいよ…!」
”バカだよね。脳が死んでるなら、もう目覚めないんだし。それなら苦しんでる生きれる命のために臓器提供に使った方が効率的じゃないか…。”
よくそんな酷い言葉を言えたもんだ。
カカオは、しばらく黙っていた。
そして、立ち上がり、病室の外にいた若い医師に声をかけた。
「すまない。チョコレートを外に連れて出してくれ。邪魔だ。」
何て冷酷なんだ
「いやだ!いやだ!お母さんのそばにいる!離れたくない!」
「いいのですか?おそらくこれが最後のお別れになるかと…」
別の医師が父に聞く
「構わん。…これ以上。どうなるって言うんだ…。何分待てばいい?その間も腎臓の鮮度は、どんどん劣化して移植が難しくなる。」
こいつは母を、もう腎臓としか見ていない。
チョコレートは、病室のドアにしがみついた。
小さな手で必死に抵抗した。
だが、医師は優しく、しかし確実に彼の腕を外し、抱きかかえるようにして廊下へ連れて行った。
「父さん!やめてよ!お母さんを殺さないで!お願いだから…!」
その叫びは、廊下に響いた。
窓の外では、夕焼けが赤く燃えていた。
まるで、空そのものが泣いているようだった。
カカオは、振り返らなかった。
ただ、静かに同意書にサインした。
その手は、わずかに震えていた。
その夜、ポッドの人工呼吸器は外された。
不思議なことに血圧が下がっていく中、声をかけたときだけ一瞬だけ上昇する。
それが辛くて、苦しくて…
彼女の腎臓は、別の命を救った。
だが、チョコレートの心には、深い傷が残った。
そして、父と子の間には、言葉では埋められない距離が生まれた。
◆キャラクター人気投票&作品の今後について◆
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いつも本作品をご覧いただき、誠にありがとうございます。
作者の**双葉フレディ**です。
本作品は連載開始から約1ヶ月を迎え、これを記念して**キャラクター人気投票**を実施させていただくこととなりました。
日々のエゴサーチを通じて、延べ**1,000名近くの方々**に作品をご覧いただいていることが分かり、心より感謝申し上げます。
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●人気投票ルール
- **1アカウントにつき最大3票まで**投票可能です。
- 投票は、作品内のどの感想欄でも構いません。コメント欄にキャラクター名をご記載いただければ集計いたします。
- **1人で1キャラに3票すべてを投じることも可能**です。
- 投票の締切は**9月末日**とさせていただきます。
なお、4キャラに投票された場合など、合計票数が3票を超える場合は、各キャラに均等に票数を割り当てる形となります。
例:4キャラに投票した場合、1キャラあたり0.75票となります。
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●作品の今後について
現在、人気投票の結果は**0票**となっております。
この状況を踏まえ、今後の作品の展開についても検討を進めております。
当初は数年にわたって連載を続ける構想でおりましたが、現時点では**9月末を一区切り**とし、**年内で完結させるかどうか**を判断する予定です。
また、作者自身の創作意欲にも波があり、正直なところ少し気持ちが離れてきている部分もございます。
それでも、これまで応援してくださった皆様には心より感謝しております。
物語の進行には登場人物の存在が不可欠です。
そのため、もし人気投票の結果、登場人物が全員退場となった場合には、**物語の継続が困難となり、打ち切り**という形を取らざるを得ません。
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●最後に
読者の皆様の声が、物語の未来を形づくります。
お気に入りのキャラクターへの投票や、作品へのご感想など、ぜひコメント欄にてお寄せいただければ幸いです。
皆様のご参加を、心よりお待ちしております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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