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第5話「暗殺者とリッチーが喧嘩してんだけど何か質問あるw?」

夜の帳が街を覆い、静寂が支配する中、二人の影が月光に照らされて向かい合っていた。


キャンディは無言。

その瞳には感情の色はなく、ただ殺意だけが宿っていた。


一方、クッキーは笑っていた。

その胸元には、愛らしいブローチが輝いていた。


「ねえ……あたしの邪魔、するの?」

クッキーは首を傾げ、涙を浮かべながら微笑む。

「魔王様の愛を確かめるために、あたしはここにいるの。なのに……なのに……!」


キャンディは答えない。

ただ、音もなく距離を詰め、短剣を抜いた。


刹那、空気が裂ける。

キャンディの一撃は、死角から鋭く振るわれた。


だが、クッキーは狂っていても魔王軍最強幹部。

瞬時に防壁魔法を展開し、刃を弾いた。


「ふふっ……やっぱり、あたしって愛されてるから強いのよねぇ!」

クッキーは笑いながら、死霊たちを次々と召喚する。


キャンディは無言のまま、死霊を一体ずつ、正確に、冷酷に分解していく。

その動きはまるで機械のようだった。


しかし、死霊の数は増え続け、キャンディの動きに疲労の色が見え始める。


そして、次の瞬間——


「でも、あたしの魔王様への愛には、誰も勝てないのよ!!」

狂気の叫びとともに、クッキーは死霊の大群を操り、キャンディに襲いかかる。


だが——


今まで馬鹿正直に全ての死霊の相手をしていたキャンディは、死霊をかいくぐり



クッキーに向かって突進、一気にクッキーとの距離を縮めた。


クッキーも後退したが、意表をつかれ反応が遅れ、

キャンディの攻撃を完全に避けることはできなかった。



そして鋭い一閃、短剣を振るった。

その一撃は、クッキーの防御をすり抜け、腕に深々と刻まれた。


「……っ!」

クッキーは震えながら、血を見つめる。


遠くでチョコレートが死霊から逃げながら叫ぶ。

「おお!キャンディ最強!俺、働かなくても世界救えるじゃん!」


キャンディは息を整え、再び構える。

にっ、不敵に笑うキャンディ…。


「ねえ……嬉しい?」

クッキーがぽつりと呟く。


キャンディは一瞬だけ足を止めた。


「嬉しいか?って聞きました。かの有名な王宮の暗殺者が、この程度のかすり傷で歓喜?」


「ふふっ大した暗殺術ですね(笑)」 クッキーの挑発にキャンディは、

再び距離をつめる。 二人の戦いは激しさを増し、

周囲の建物や地面が破壊されていった。



「ふふっ……あたしの愛は、こんなもんじゃないのよ?」

クッキーは涙を流しながら笑っていた。

その笑顔は、愛に飢えた狂気のそれだった。




そして、次の瞬間——


短剣が宙を裂き、ブローチに命中。

ガキィン!という音とともに、宝石が砕け散った。



心臓を狙った斬撃がブローチに阻まれ、苦悶の表情をするキャンディ


しかし、それ以上に


「……っ!!!」

クッキーの瞳が見開かれ、ガタガタと震える。


「それは……それは魔王様からもらったのよ!?あなた、なんてことをしてくれたの!?!?」

彼女の声は震え、怒りと悲しみが混ざり合っていた。


「もう許さない……遊ぶだけのつもりだったけど、貴方だけは本気で殺すわ……」

その瞬間、空気が変わった。




「来なさい……我が愛の証人たちよ!!」


召喚されたのは、かつて歴史に名を刻んだ三人の死霊戦士——


“雷刃”ヌーボ:雷を纏う剣士。高速の斬撃で空間を裂く。

“死の舞姫”ウメジャム:毒と幻惑を操る暗殺者。美しく、残酷。

“鉄壁王”ポポロン:絶対防御を誇る盾の巨人。動かぬ壁。

キャンディは、初めて足を止めた。

彼女の無表情に、わずかな焦りが浮かぶ。


ヌーボの雷が地面を焼き、ウメジャムの毒霧が視界を奪い、ポポロンの盾が逃げ場を塞ぐ。

キャンディは、斬撃をかわしながらも、次第に追い詰められていく。


「消えろ!下賤な賊め!!!」

クッキーは確実に勝利を確信していた。


だが——


キャンディは、ふと手元の短剣を見つめた。



「このままじゃ負け…最後の……」


キャンディはヌーボに短剣を投げる…が、当然のように剣ではじかれて、

短剣は宙に浮かぶ…


その後、石をポポロンに投石する。

これも案の定、はじかれてしまう。



そしてキャンディはウメジャムを蹴ろうとするが、


あっさりとウメジャムにもかわされてしまう…。



攻撃は全て失敗と見せかけて、

ウメジャムへの蹴りはフェイントでキャンディは自分の靴を飛ばす。


その飛んだ靴は、空中のポポロンがはじいた石に当たり軌道がズレ、



その石はヌーボによって弾けれ、かなり離れたキャンディの短剣にまで当たった。



石が当たり跳ね返った短剣が、月光を反射しながら宙を舞う。


クッキーの顔が凍りついた。


「……え?」


短剣は、一直線に飛び——

クッキーの首元に、深々と突き刺さった。


沈黙。


死霊たちは動きを止め、召喚された死霊戦士たちも沈黙。


クッキーは、震える手で首元を押さえながら、崩れ落ちた。


キャンディは、ボロボロの身体を引きづりながらクッキーに歩み寄り、短剣を握る。


「……苦戦」


夜の街に、再び静寂が戻った。


瓦礫の隙間から顔を出したチョコレートが、震えながら叫ぶ。


「お、お前……やっぱ最強じゃん……!俺、働かなくていいじゃん……!」




「惜しかったわね。あたしはリッチーなのよ?」

クッキーの目がぱっと開き、キャンディの手をつかむ。



その後、沈黙していた死霊戦士がキャンディを拘束する。


キャンディ

「そんな…。」


「あたしが生者なら勝敗は貴方に、上がっていたわね。でも、残念ながら、あたしはリッチーなので、魔王様の寵愛を受けてますので!!!」

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