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第24話「ニートで異世界転生したんだけど勇者にされてホームシックなんだけど何か質問ある?」(1/5)

自室のベットに、だらしなく座る青年がいた。

その名は――チョコレート。

異世界転生してきた勇者でありながら、戦闘力ゼロ、やる気ゼロ、働く気ゼロの三拍子。


今日も、ベットで横になっていた。

「なあなあ、キャンディさん」


「…はい?」

チョコレートの発言にキャンディは不思議そうに答える。 最近はビスケットの男っぽさから、

デリカシーの欠片もない台詞を連発していたが、

最近ではキャンディにも言うようになった最低な男なのである。



「俺思うんだけどさ?男子トイレとか、男湯とか、掃除のおばちゃんが掃除してるやん?」


「…はい……」

キャンディは本を読みながら相づちを打つ。



「でもさ?でもさ?俺が女子トイレに入ったら逮捕なんだよ?それってさ?理不尽じゃない?俺が女湯清掃しても逮捕なんだよ?理不尽じゃない?俺は男女平等だと思うんだよ。」



「この話題は社会的にも感情的にも意見が分かれるところ…。あなたの言う「理不尽さ」には、確かに疑問を感じる人もいる…、一方で公共の安心感やプライバシーの保護を重視する考え方もある……。

つまり 現実にはどうなっているかというと…、

多くの施設では、異性が清掃を行う場合は「清掃中」の札や案内が出され、利用者が入らないよう配慮されている。

一部の場所では、異性のスタッフによる清掃を避けるよう運営側が人員配置に配慮している。

-法的にも、異性が性別専用スペースに入る場合は業務であっても一定の配慮が求められる(例えば許可・告知・安全確認など)」

キャンディはコンピューターのように淡々と説明する。



「男女平等という視点で考えると、「同じ行動に対して違う結果になるのはなぜか?」というのは確かに本質的な問い…。でもこれは「物理的な平等」だけでなく「文化的な安心感」や「歴史的な背景」も絡んでくるので、単純な話ではない…。」

キャンディは更に淡々と続ける。



「あー、うるさ!もういいもういい!お前おもんない!」

だる絡みしといて相変わらず最低な男である。


「もしこのテーマについてもう少し深掘りしたいなら、海外ではどう扱われてるか…、ジェンダー配慮と業務効率のバランスとか…、いろんな角度から一緒に掘り下げてみても面白い…。興味…。」

普段無口なキャンディのだる絡み返しにチョコレートは、やっぱこの手の発言はビスケットにしようと思うのであった。




そんなとき、


応急の衛兵が走ってきた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




王宮の朝は、いつも通り騒がしい。

衛兵が走り回り、書記が書類を抱え、王クラッカーが酒瓶を隠している。


「チョコレート!お前、暇だろ!」


「いや、俺、今すごく忙しい。寝る予定だった」


「寝る予定は予定じゃない!働け!」


チョコレートはため息をついた。

「で、何?またギャンブルで国の金なくなった?」


この国王は昔、国を救った大英雄だ。


身銭を切り国の復興に使い貧乏王様



ってのは、建前で、本当はアルコール中毒のギャンブル中毒

とんでもない国王だ。


それを知ってるのはチョコレートだけだ。




「違う!今回はマジでヤバい!森だ!森で衛兵が全滅した!」


「……え?」


「生き残った一人が言ってた。仮面をつけた女がいたって。強さが異常だったって」


「それ、俺が行く意味ある?」


「ある!勇者だろ!あと、タダで行け!」


「……金出ないの?」


「出ない!」


「……ブラックだな、この国」


クラッカーは酒臭い息を吐きながら、地図を広げた。

「ここだ。『忘れ森』って呼ばれてる。昔、魔族が封印されたって噂もある」


「そういうの、だいたい嘘だよね」


「でも、衛兵が全滅したのは事実だ。しかも、仮面の女が一人でやったらしい」


「……それ、俺が行く意味ある?」


「ある!勇者だろ!」


「……俺、戦えないけど?」


「だから仲間連れてけ!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


自室

「何でキャンディとクッキーしかおらんの?ビスケットは?」

チョコレートは問いかける。



「パチンコが当たってるから来ないって」

クッキーはニコニコと嬉しそうに答える。


「キャンディは来てくれるか?」


キャンディは無言でうなずいた


「クッキーは?」


「あたし、一応魔王軍幹部なのよ?裏切り行為で魔王様に嫌われたくないわ。中立よ。」

クッキーは楽しそうだ。


「……詰んでない?」


「失礼…、1人で十分……。」


チョコレートは横目でキャンディを見る。


「ってか、バックレちゃえば?そんなチョコレートも素敵よ。」

クッキーもなかなかのクズだ。流石魔王軍。



チョコレートは、少しだけ真面目な顔になった。

「……マギーとゼリーが、行方不明なんだ」


「……は?」

クッキーとキャンディは顔を見合わせる。


「最後に目撃されたのが、森の近く。仮面の女に連れて行かれたって目撃情報があるんだと…。」



「……それは、色々とやばいね」

クッキーは眉間にしわをよせて親指の爪を噛む


意外に同じ魔王軍幹部を思いやる気持ちはあるんだな…



「まあ、マギーはいい奴だし。助けてやらないとな。クッキーも見直したよ。」

チョコレートは、ニコッと笑う。


「えっ?あたし?いい子?大切にしてる?」


「仲間を大事にするなんて、意外な一面だ。」


そういうと不思議そうな顔をするクッキー


「吸血鬼も古代妖精も不死身よ?何を心配するの?」


ま、まぁ…確かに?


「えっ、お前がやばいって」


「またマギーを刺激して、グミに戻ったら大変よぉ~。あの子は、あたしでも苦労する大幹部なんだから」


あっそっちですか…


「でも、ずっと大人しかったんだし。俺らが刺激しなければ、仮面女を血祭りにして問題も解決。その後は自分の城に戻って大人しくしてるんじゃないか?」


「最近その城のドアや壁を破壊した勇者の団体がいましてねぇ~。」

イヤらしく笑うクッキー


冷汗が止まらないチョコレート


「あれやったのビスケットやん!俺、全く関係ないじゃん!俺、むしろ謎解きダンジョン楽しんでたのに、俺は、むしろ止めてたじゃん!!!それで俺の責任は理不尽すぎる!!!」


キャンディが袖をちょいちょいっと引っ張る。


「…行く。」


はぁ~っと大きなため息をつき


そして、静かに言った。


「……俺、働きたくないけど。仲間が誘拐されたなら、仕方ないよな」

チョコレートは自分に言い訳するようにつぶやく。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



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