第18話「ロリコンニート勇者です。仲間をロリ化させたんだけど何か文句あるw?」(1/6)
城の一室。
カーテンは閉め切られ、外の光は遮断されている。
その部屋の中心で、チョコレートはゴロゴロと寝転がりながら、タブレットを操作していた。
「はぁ~、このアニメのロリキャラ、最高に癒されるな……。働かなくても心が満たされるって、これもう社会の勝利じゃない?」
彼が見ているのは、異世界で人気の“ロリ魔法少女”アニメ。
内容はほぼ理解していないが、キャラの可愛さだけで満足しているようだった。
「この前、夢で見たロリキャンディも可愛かったなぁ…、お兄ちゃんとか呼ばせてぇ~。」
17話まで見て、少しでもキャンディに同情してくれた読者に謝ってほしい。
この男はロリキャンディ可愛いとしか思わなかったらしい。
隣のソファでは、キャンディが無言で紅茶を飲み本を読んでいる。
その目は真剣で、チョコレートの妄言は聞いていない。
異世界転生してきた勇者でありながら、戦闘力ゼロ、やる気ゼロ、働く気ゼロの三拍子。
今日も、ベットで横になっていた。
「なあなあ、ビスケットさん」
「あぁん?」
チョコレートの発言にビスケットは怪訝に答える。 最近はビスケットの男っぽさから、
デリカシーの欠片もない台詞を連発するからだ。
「でもさ?女子が『子ども好き!』とか言うと家庭的だの、ポジティブな印象を持たれるやん?」
「…」
もう真面目に聞かないで適当に聞き流す。
「でもさ?でもさ?男子が『でへへ、僕、子ども好き』って言うと、イケメン以外、完全にロリコン変態、変質者!ってなるのは平等じゃないと思うんだ。理不尽じゃない?俺は男女平等だと思うんだよ。」
「るっせーな。あたいに言うなや。ぶっ飛ばすぞ。」
ビスケットに怒鳴られて少しすねるチョコレート
「ビスケットは最初から、こんなんなんかな?最初はお淑やかなんかな?」
「は?何か言ったか?」
不機嫌そうに睨む。
「ロリコンとかクソきもいがや。」
ビスケットはチョコレートに言いきった。
その瞬間、部屋の空気がピリッと変わった。
窓の外から、黒い霧のようなものが城を包み込む。
「……ん?なんか、嫌な予感がするんだけど」
キャンディが紅茶を置き、静かに立ち上がる。
「はろろ~~~ん」
黒い霧はクッキーで、クッキーが笑顔で侵入してきた。
「ロリって最高だな……。全く〇学生は最高だぜ。」と呟いたチョコレートの言葉に、クッキーが急に反応した。
「あるよ!そういう能力持った魔王軍幹部!時間操作系の呪術使い!前の勇者が封印したけど、まだ生きてるはず!」
「え、マジで!?それ、今どこに?」
「“無限の地下図書館”の奥。魔王様も“助けなくてよろしい”って言って放置命令出したけど、あたし、昔そこに死霊探しに行ったことあるし!」
キャンディが眉をひそめる。
「……危険。」
ビスケットも腕を組んでうなずく。
「そいつ、前の勇者がわざわざ封印したんだろ?そんなヤバいやつ、解放するなんて正気じゃねぇがや」
チョコレートは、ふてぶてしい顔でソファに寝転びながら言い返す。
「でもさ、前の騒動のとき、俺が協力したよね?クッキーの家出のときも、ビスケットの反乱のときも、キャンディの自分探しのときも俺、ちゃんと付き合ったよね?」
「……それは……」
キャンディが言葉に詰まる。
「なのに、俺の“ロリ化計画”だけ反対するのって、ちょっと不公平じゃない?俺だって勇者だし、夢くらい見させてよ。」
「夢の方向性が間違ってるがや!」
ビスケットがツッコむが、チョコレートは聞く耳を持たない。
「とにかく、封印されてる場所に行ってみよう。見るだけ。見るだけだから。ね?」
「もしかして、魔王軍幹部にビスケットはビビってんの?」
どかっ!!!
その言葉にビスケットは壁を拳で殴り穴をあける。
「誰が誰にビビってるって?」
「…心外」
キャンディも不満そうだ。
「あ~また壁に穴開けやがって…」
クッキーはニヤニヤしながら、地図を広げる。
「じゃあ、行こっか。“無限の地下図書館”へ。あたし、久しぶりに死霊も補充したいし!一気にテレポートするよ~ん。」
床に大きな魔方陣が描かれ下から風が吹き荒れる。
「チョコレートさん!遊びに来たと!」
「ま、まぎー?」
チョコレートは驚く
「えっ?ええっ?何なんですかこれ?」
何と間が悪い事に、マギーも一緒に図書館にワープされるのだった。
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“無限の地下図書館”は、かつて魔王軍の知識を集めた巨大な施設だった。
今では封印された魔王軍幹部が眠る、危険区域として扱われている。
「ここ、空気が重いな……」
チョコレートがぼそっと呟く。
「……死霊が喜びそう」
クッキーはうっとりした顔で、壁のひび割れに手を当てている。
「こんなとこ、さっさと終わらせて帰るがや!」
ビスケットは拳を鳴らしながら、先頭を歩いている。
「……静かに」
キャンディは周囲を警戒しながら、無言で石を拾ってポケットに入れていた。
クッキー、キャンディ、ビスケットは前列を歩き
「凄か!」
マギーはチョコレートを尊敬のまなざしで見る
「いや、過去に封印されて野放しの魔王軍幹部がいるって聞いてね。俺としては野放しにはできないかなってwww」
チョコレートは決め顔で言う。
「勇気があるとよ。だって、あの魔王軍幹部グミさんと同じくらい強か人なんやろ?」
グミとチョコレートは仲良く後列を歩く
そして、図書館の最深部。
封印の魔法陣が刻まれた巨大な扉の前に、彼らはたどり着いた。
「これが……時間逆行の魔法を使う幹部、“ゼリー”の封印か」
チョコレートが呟く。
「名前からしてヤバそうだがや……」
ビスケットは封印を剣で壊す気満々。
そのとき、扉がひとりでに軋みを上げて開いた。
「え、勝手に開くの?俺、何もしてないよ!?」
中から現れたのは、黒いローブをまとった小柄な人物。
顔は見えないが、空気が一変する。
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